竜人族の末っ子皇女の珍☆道☆中

秋月一花

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1章:旅人として

困っている人を見かけたら? ☆21☆

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「ルーランの仕事を増やしてしまったな」
「シュエの頼み事ならいつでも! 可愛いいとこの頼みですもの」

 村に近付いていくと、不躾な視線を向ける村人たちに気付き、ルーランは笑顔で手を振っていた。

 村の男性たちは、その姿にぽぅっと頬を赤く染め、女性たちは面白くなさそうに彼女を睨む。

 絶世の美女と翠竜すいりゅう国でもいわれているルーランだ。人目を集めるのは仕方ない。

 そしてその姿を、少し羨ましそうに見つめるシュエ。

「どうしました?」
「わらわも成人する頃には、ルーランのようになれるかのぅ?」
「あら、可愛い悩みですこと。成人する頃には、シュエはわたくしよりももっと魅力的な女性になっておりますわよ」

 ねぇ、リーズ? と彼に話題を振るルーラン。

 いきなり話題を振られて、リーズはシュエに視線を落とし、「……ええ、きっと」とだけ答えた。

 ルーランはすっと目元を細めて、呆れたようにリーズを見る。

「まったく、なぜそこで断言しないのですか。これだから堅物と言われるのですよ」
「私のことをそう呼ぶのは、あなたくらいなのですが……?」
「あら、わたくしの仕事仲間では、あなたが堅物と話していますわよ?」
「……仲が良いのぅ、お主ら」

 きゅっとリーズとルーランの手を取り、シュエは二人を見上げた。

「リーズが堅物かどうかは置いといて、ここが村長の家じゃ」

 いつの間にか村長の家の前までついていた。シュエが手を離すと、ルーランがこほんと一度咳払いをしてから、「では、さっそく取りかかりますか?」と彼女に尋ねる。

「うーむ、まずは一応、村長にルーランを紹介してからじゃの」

 シュエが扉を叩くと、すぐに村長が出てきた。

 そして、ルーランの姿を見て目を丸くし、シュエとリーズに困惑したような顔を向ける。

「さっき話していた知人じゃ。名はルーラン。職業は万屋じゃ」

 シュエは二人を交互に見てから、自分が連れてきたルーランを紹介した。

「初めまして、ルーランと申します。本日はよろしくお願いいたしますね」

 ルーランが村長ににっこりと笑顔を浮かべると、村長は目を丸くして彼女を見てから、

「こりゃまた、別嬪べっぴんさんが……」

 と、ほんのりと頬を朱に染めていた。

 褒められたルーランは「うふふ」と嬉しそうに笑い声をこぼして、リーズが呆れたような視線で彼女を眺める。

「それでは、早速作業に取りかかりますわ。村長さん、よろしくて?」
「あ、ああ。えーっと、わしはどうしたら?」
「どうやって鍵をつけるのか気になるようでしたら、見ていても構いませんが……。シュエはどうします?」

 ルーランがこてんと首を傾げて、シュエに問いかけた。

「わらわはちぃと散歩してくる。くぞ、リーズ」
「はい、シュエ」

 シュエはリーズの手をきゅっと掴んで、ルーランを村長宅に残して歩き出す。

 リーズはぺこりと頭を下げてから、彼女の隣に並んだ。

「どこへ向かうのですか?」
「村の中をぐるりと散歩するだけじゃ。鬼火の様子も気になるしのぅ」

 意外そうに目をまたたかせたリーズは、きゅっと彼女の手を握り返す。

「シュエが気にすることですか?」
「だって鬼火じゃぞ? しかも結構な数の。畢方がこの村に向かっていたのは、鬼火の導きだったのかもしれんぞ? わらわたちが原因ではなく!」

 ぐっと拳を握って力説するシュエに、リーズは眉を下げて肩をすくめた。確かに、鬼火は多い。小さな村にはそぐわない多さだ。
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