竜人族の末っ子皇女の珍☆道☆中

秋月一花

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1章:旅人として

新たな国 ☆20☆

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「他の種族の事情は知らんからのぅ」

 てくてくと歩きながら翠竜すいりゅう国で関わってきた人たちを思い浮かべていると、目的地についたようだ。

「……ここに人って住めるのか?」
「うーん、まぁ、住めるからいるんじゃないですか?」

 見るからにボロボロな家屋の中に、糸が続いている。追跡用の魔法だ。翠竜国でも一時期流行ったことがある。

 だが、この糸は切ろうと思えば切ることができるので、そこから攻防戦が始まることもあったらしい。

 とはいえ、切ることができるのは竜人族だからだ。

 人間には到底切れることはないくらいの強度なので、糸に気付いてもどうすることもできなかったろう。

「この場合は……、たのもー! かのぅ?」

 ボロボロの扉を勢いよく開ける。鍵はかかっていなかった。簡単に開いたことに少し驚きつつも、ずかずかと大股で中に入る。

「げっ」
「先程ぶりじゃの、おぬしら」

 軽く手を上げてからひらりと振る。そして、部屋の中を見渡して人数と顔を確認した。

 ――少年を囲んでいた大人たちで間違いない。

「さて、お主たちも罪を償うべきじゃと思うのじゃが?」

 にこりと口元に弧を描く。しかし、目は笑っていない。

 シュエは扇子を取り出し、笑みを消した。

「弱者を狙う者は、わらわの中で『悪人』なのじゃ」

 シュエが一歩、前に踏み出す。

「わらわはわらわの正義のために、戦うことにしよう」

 パチン、と扇子を閉じて、シュエは床を蹴った。リーズは辺りを見渡し、剣を抜くには差マイナ、と考えて小さく息を吐く。体術にはあまり自信はないが、大丈夫だろうと構え、気絶させることを優先した。

 ボロボロの家に、「ぐぇっ」やら「ひぃっ!」やら短い悲鳴が響く。

 次々と急所を突き、気絶させていく。一人、二人と床に伏せていくのを見て、最後の一人がヤケになったようにシュエに向かってくる。

 リーズの手が男性の後頭部に置かれ、そのままダンッ! と音を立てて床に叩きつけた。

「うわ、痛そう……」
「お怪我は?」
「ないない」

 リーズは男性の後頭部から手を離し、ほっとしたように微笑む。

「では、この者たちも冒険者ギルドに連れていきましょうか」
「そうじゃな」

 リーズがてきぱきと気絶している相手を縛っていく。それから、両肩に俵担ぎにし、ボロボロな家屋から出ていった。

 俵担ぎにしている人数が人数だからか、冒険者ギルドに近付くたびに注目を集めている。

「おーい、こいつらも預かってくれんかのぅ?」

 冒険者ギルドの扉を開けて、大きな声で話しかけた。

「……なんというか、すごいな嬢ちゃんたち……」

 冒険者たちは少し呆れ気味にシュエとリーズを交互に見て、両肩を上げる。

 ギルド長が再び顔を見せ、シュエとリーズ、そして彼が担いでいる人たちを見て額に手を置いて天を仰いだ。
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