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2章:冒険者として
暗殺者ギルド ☆3☆
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揚げ物用の鍋に油をたっぷりと入れ、百六十度まで熱してから寝かせた鶏もも肉を油に入れる。
ゆっくり、じっくりときつね色になるまで揚げていく。量が量なのでシュエとリーズはそれぞれ揚げていく。漂う良い香りに食欲が刺激された。
揚げたてのからあげを一つ、つまみ食いする。塩、醤油、紹興酒だけのシンプルな味付けだが、紹興酒の効果で柔らかく、何個でもぺろりといけそうだ。リーズも一つ食べ、ふっと表情を綻ばせる。
「美味しいですね」
「うむ。どんどん揚げていこう」
このからあげの良いところは、冷めても柔らかいところだ。どんどんと揚げていき、全部揚げ終わった頃には最初に揚げたからあげは冷めてしまったが、それはそれ。
「うーむ、これだけ揚げるとなると、やはり疲れるのぅ」
ふぅ、と小さく息を吐いたシュエの額には、汗が滲んでいた。
その汗をリーズがハンカチで拭う。
「さて、まずはこのからあげを運ぶとするか」
「シュエは少し休んでいてください」
ひょいとリーズが大量のからあげを持っていく。テーブルの上に置いた途端、その場にいる人たちの腹の虫が鳴いた。ごくり、と唾を飲むのを聞いて、リーズは周りの人たちを見渡した。
「どのくらい、まともに食べていないのですか?」
「……いや、食べてはいる、いるはずなんだが……」
「料理が下手すぎて食べたくないというか……」
それを聞いた少年が不思議そうな表情を浮かべる。
「なら、外食はしないの?」
「そんな金があればなぁ……」
遠い目をする暗殺者ギルドの人たちに、リーズはなんとなく事情を察した。おそらく、この暗殺者ギルドの人たちはまともに依頼を達成したことがないのだろう、と。
(……寄せ集めの集団に見えますからね……)
肩をすくめたリーズに、シュエは三角巾とエプロンを外してテーブルに近付いた。
「ああ、お腹空いた。……なんじゃ、お主ら、その顔は」
からあげを食い入るように見つめる姿に、シュエはびくっと肩を跳ねあげ、リーズに顔を向ける。
「残りのからあげも持ってきますね」
「頼んだ」
リーズが台所に向かい、残りのからあげを持ってくる。部屋の中に漂う食欲をそそる匂いに、腹の虫の大合唱。
「……たくさんあるから、たんとお食べ。毒なんぞ盛っておらんからの」
シュエのその言葉に、彼らは一気にからあげに手を伸ばして、口の中に放り込む。その勢いに圧倒されながら、困ったようにこちらを見る少年たち。
「お主らの分は別に用意しておるから安心せよ」
「あ、ありがとう……?」
「こんなに大量に揚げるなんて、大変だったでしょう」
「慣れておるから平気じゃよ。わらわの得意料理の一つなんじゃ」
得意げに胸を張るシュエに、少年は「すごいね!」と目を輝かせた。
ゆっくり、じっくりときつね色になるまで揚げていく。量が量なのでシュエとリーズはそれぞれ揚げていく。漂う良い香りに食欲が刺激された。
揚げたてのからあげを一つ、つまみ食いする。塩、醤油、紹興酒だけのシンプルな味付けだが、紹興酒の効果で柔らかく、何個でもぺろりといけそうだ。リーズも一つ食べ、ふっと表情を綻ばせる。
「美味しいですね」
「うむ。どんどん揚げていこう」
このからあげの良いところは、冷めても柔らかいところだ。どんどんと揚げていき、全部揚げ終わった頃には最初に揚げたからあげは冷めてしまったが、それはそれ。
「うーむ、これだけ揚げるとなると、やはり疲れるのぅ」
ふぅ、と小さく息を吐いたシュエの額には、汗が滲んでいた。
その汗をリーズがハンカチで拭う。
「さて、まずはこのからあげを運ぶとするか」
「シュエは少し休んでいてください」
ひょいとリーズが大量のからあげを持っていく。テーブルの上に置いた途端、その場にいる人たちの腹の虫が鳴いた。ごくり、と唾を飲むのを聞いて、リーズは周りの人たちを見渡した。
「どのくらい、まともに食べていないのですか?」
「……いや、食べてはいる、いるはずなんだが……」
「料理が下手すぎて食べたくないというか……」
それを聞いた少年が不思議そうな表情を浮かべる。
「なら、外食はしないの?」
「そんな金があればなぁ……」
遠い目をする暗殺者ギルドの人たちに、リーズはなんとなく事情を察した。おそらく、この暗殺者ギルドの人たちはまともに依頼を達成したことがないのだろう、と。
(……寄せ集めの集団に見えますからね……)
肩をすくめたリーズに、シュエは三角巾とエプロンを外してテーブルに近付いた。
「ああ、お腹空いた。……なんじゃ、お主ら、その顔は」
からあげを食い入るように見つめる姿に、シュエはびくっと肩を跳ねあげ、リーズに顔を向ける。
「残りのからあげも持ってきますね」
「頼んだ」
リーズが台所に向かい、残りのからあげを持ってくる。部屋の中に漂う食欲をそそる匂いに、腹の虫の大合唱。
「……たくさんあるから、たんとお食べ。毒なんぞ盛っておらんからの」
シュエのその言葉に、彼らは一気にからあげに手を伸ばして、口の中に放り込む。その勢いに圧倒されながら、困ったようにこちらを見る少年たち。
「お主らの分は別に用意しておるから安心せよ」
「あ、ありがとう……?」
「こんなに大量に揚げるなんて、大変だったでしょう」
「慣れておるから平気じゃよ。わらわの得意料理の一つなんじゃ」
得意げに胸を張るシュエに、少年は「すごいね!」と目を輝かせた。
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