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1章
4話
「そして、はい。これがパン。こっちは水。いきなり追い出されたから、これしか持ち出せなかったんだよね」
「貴重な食料なのに、本当に良いの?」
「いいわよ。困ったときはお互いさまって言うじゃない?」
「命の恩人に、食の恩人も加わった……」
そんなことをいうディーンに、わたしは小さく笑った。……こうして誰かと一緒に食事を摂るのって、いつぶりだろう? 確か、去年のお祭り以降はひとりで食べていたから……、結構長い間ひとりで食べていたなぁ。ふかふかのパンを頬張りながら、そんなことを考えながらごくんと飲み込む。
「あ、そうだ。ディーン、敬語じゃなくていいよ」
「え、でも……」
「それでね、あの、こんなことをいうのはおかしいかもしれないけれど……、わたしと友達になってくれない?」
「友達?」
「うん。わたし、この国でひとりぼっちなのよ。たまにこうして話してくれると嬉しいんだけど、どうかな?」
期待に満ちた目でわたしはディーンを見た。ディーンは小さく笑みを浮かべて、「喜んで」といってくれた。やった! 友達ゲット! 念願の友達!
ダラム王国の神殿にずーっといたから、友達を作る暇なんてなかったのよね……!
初めての友達に、わたしの心はとっても高鳴った。だってずっと憧れていたのだもの!
パンを食べ終えて、水を飲んで、たき火で身体を温めていたら、足音が聞こえた。ディーンが顔を上げて、警戒するように眼光を鋭くさせる。
「見つけた! 隊長!」
「バーナード……、よくひとりで無事だったな……」
「いや、それが瘴気の森から瘴気が消えて、魔物がいな……って、誰です、この女」
「はじめましてー、ディーンの命の恩人のアクアです!」
せめて女性と呼ばんか! と思ったけれど、とりあえずにっこり笑って自己紹介をする。……さっき、ディーンは『バーナード』って呼んでいたよね。『セシル』とは違う人なのかな?
そのバーナードはわたしに対して怪訝そうな表情を浮かべながら、「命の恩人?」とディーンに聞いていた。そんなに怪しまなくてもいいじゃない!
「本当だよ。なんとか倒せたけど、魔物相手に重傷を負った。だが、アクアが回復魔法を掛けてくれたおかげで助かったんだ」
「この女が回復魔法を……?」
「せめて女性って呼んで!」
「そうだぞ、バーナード。騎士の癖にレディへの扱いがなってないぞ」
……騎士? ディーンとバーナードって騎士だったの? え、わたし騎士を助けち
ゃったのか……。騎士か……、あまりいい思い出ないのよね。ダラム王国の騎士ってこっちを睨んでくるし、冷たい視線を送っていたし、あ、もしかしてその時からあの殿下、新しい聖女を見つけていた!?
……あり得る……。とってもあり得る! ってことは、あの殿下に付き合わされた騎士たちもいるってこと? ……いやもうわたしには関係ないんだけどさ!
「ともかく、ここにいるのは危険だから、帝都に戻ろう」
「……この女も連れて行くんですか?」
「命の恩人だからね。行こうか」
「あ、ちょっと待って! 火を消すわ!」
森の中で火事を起こしちゃ大変だからね。魔法でつけたから、魔法で終わらせないと。本当は土魔法が一番良いんだろうけど、わたし、土魔法は苦手だから水魔法で。ばしゃっと。よし、消火完了。この方法、簡単に火が消せて便利なのよ……。ちょっと呆れたような視線を感じたけれど、気にしない。わたしは鞄を持ってふたりに振り返った。
「おまたせ! 歩いていくの?」
「いや、転移魔法を使う。いいな? バーナード」
「……はいはい、ちゃんと持って来てますよ」
アルストル帝国の騎士は転移魔法を使えるのかな? と考えていたら、バーナードがごそごそと懐から石? を取り出した。
「なぁに、それ?」
「転移石。これがあれば転移の魔法が使えない者も、転移を使えるようになるんだ」
「へぇ、さすがアルストル帝国! 便利なものがあるのね!」
……でも転移かぁ……。大丈夫かなぁ。ちょっと不安になりつつも、ディーンの「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」と気遣ってくれた。転移のミスでここに居るって話したからね。わたしが不安がっているのがわかったのだろう。それにしてもものすごく疑いの視線を感じる。バーナードはわたしに対して、かなりの警戒心を持っているように見えるけど……。……まぁ、その気持ちもわからないでもない。正体不明の人物だものね。
「それじゃ、帝都に向かうよ。オレの手を握って」
「はぁい」
「……俺は自分で使います」
わたしと手を繋ぐのがそんなにイヤか! ……まぁいいや。わたしはディーンと手を繋いだ。それからすぐに、転移石を使ったようで、パッとどこかのお屋敷前に辿りついた。……よかった、ちゃんとついたみたい。
ほっと安堵したのと同時に、じゃあなんで神殿の転移は普通に使えなかったのか……。わざとか、やっぱりわざとなのか神官長……!
「貴重な食料なのに、本当に良いの?」
「いいわよ。困ったときはお互いさまって言うじゃない?」
「命の恩人に、食の恩人も加わった……」
そんなことをいうディーンに、わたしは小さく笑った。……こうして誰かと一緒に食事を摂るのって、いつぶりだろう? 確か、去年のお祭り以降はひとりで食べていたから……、結構長い間ひとりで食べていたなぁ。ふかふかのパンを頬張りながら、そんなことを考えながらごくんと飲み込む。
「あ、そうだ。ディーン、敬語じゃなくていいよ」
「え、でも……」
「それでね、あの、こんなことをいうのはおかしいかもしれないけれど……、わたしと友達になってくれない?」
「友達?」
「うん。わたし、この国でひとりぼっちなのよ。たまにこうして話してくれると嬉しいんだけど、どうかな?」
期待に満ちた目でわたしはディーンを見た。ディーンは小さく笑みを浮かべて、「喜んで」といってくれた。やった! 友達ゲット! 念願の友達!
ダラム王国の神殿にずーっといたから、友達を作る暇なんてなかったのよね……!
初めての友達に、わたしの心はとっても高鳴った。だってずっと憧れていたのだもの!
パンを食べ終えて、水を飲んで、たき火で身体を温めていたら、足音が聞こえた。ディーンが顔を上げて、警戒するように眼光を鋭くさせる。
「見つけた! 隊長!」
「バーナード……、よくひとりで無事だったな……」
「いや、それが瘴気の森から瘴気が消えて、魔物がいな……って、誰です、この女」
「はじめましてー、ディーンの命の恩人のアクアです!」
せめて女性と呼ばんか! と思ったけれど、とりあえずにっこり笑って自己紹介をする。……さっき、ディーンは『バーナード』って呼んでいたよね。『セシル』とは違う人なのかな?
そのバーナードはわたしに対して怪訝そうな表情を浮かべながら、「命の恩人?」とディーンに聞いていた。そんなに怪しまなくてもいいじゃない!
「本当だよ。なんとか倒せたけど、魔物相手に重傷を負った。だが、アクアが回復魔法を掛けてくれたおかげで助かったんだ」
「この女が回復魔法を……?」
「せめて女性って呼んで!」
「そうだぞ、バーナード。騎士の癖にレディへの扱いがなってないぞ」
……騎士? ディーンとバーナードって騎士だったの? え、わたし騎士を助けち
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……あり得る……。とってもあり得る! ってことは、あの殿下に付き合わされた騎士たちもいるってこと? ……いやもうわたしには関係ないんだけどさ!
「ともかく、ここにいるのは危険だから、帝都に戻ろう」
「……この女も連れて行くんですか?」
「命の恩人だからね。行こうか」
「あ、ちょっと待って! 火を消すわ!」
森の中で火事を起こしちゃ大変だからね。魔法でつけたから、魔法で終わらせないと。本当は土魔法が一番良いんだろうけど、わたし、土魔法は苦手だから水魔法で。ばしゃっと。よし、消火完了。この方法、簡単に火が消せて便利なのよ……。ちょっと呆れたような視線を感じたけれど、気にしない。わたしは鞄を持ってふたりに振り返った。
「おまたせ! 歩いていくの?」
「いや、転移魔法を使う。いいな? バーナード」
「……はいはい、ちゃんと持って来てますよ」
アルストル帝国の騎士は転移魔法を使えるのかな? と考えていたら、バーナードがごそごそと懐から石? を取り出した。
「なぁに、それ?」
「転移石。これがあれば転移の魔法が使えない者も、転移を使えるようになるんだ」
「へぇ、さすがアルストル帝国! 便利なものがあるのね!」
……でも転移かぁ……。大丈夫かなぁ。ちょっと不安になりつつも、ディーンの「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」と気遣ってくれた。転移のミスでここに居るって話したからね。わたしが不安がっているのがわかったのだろう。それにしてもものすごく疑いの視線を感じる。バーナードはわたしに対して、かなりの警戒心を持っているように見えるけど……。……まぁ、その気持ちもわからないでもない。正体不明の人物だものね。
「それじゃ、帝都に向かうよ。オレの手を握って」
「はぁい」
「……俺は自分で使います」
わたしと手を繋ぐのがそんなにイヤか! ……まぁいいや。わたしはディーンと手を繋いだ。それからすぐに、転移石を使ったようで、パッとどこかのお屋敷前に辿りついた。……よかった、ちゃんとついたみたい。
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