恩を返して欲しいのはこっちのほうだ!

「アクア・ルックス! 貴様は聖女を騙った罰として、国外追放の刑に処す!」
「ちょ、今、儀式の途中……!」
「ええい、そんなものこちらにいらっしゃる本物の聖女が継いでくれるわ! さっさと俺の前から消えろ! 目障りなんだよ!」

 ……そんなに大声で、儀式中に乱入してくるなんて……この国、大丈夫?
 まぁ、そんなに言うのなら国外追放受けて入れてやろうじゃないか。……と思ったら。

「ああ、その前にお前が使っていた道具すべて、王家に渡してもらうからな! アレだけ王家の金を使ったのだ、恩を返してもらわねば!」
「……勝手に持って来ただけじゃん……」

 全く、恩を返して欲しいのはこっちのほうだ!
 誰のおかげで魔物が入ってこなかったというのか……!
 大義名分を手に入れたわたしは、意気揚々とこの国を去った。

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