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1章
27話
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頭の中がごちゃごちゃしていたわりにはすぐに眠れたと思う。たった一日の情報量が多すぎたのか、陛下と話すことに緊張していたのかはわからないけれど、……いや、多分精神的につかれていたんだろうなぁ。
小鳥のさえずりで目が覚めて、あー、また日の出とともに起きちゃったと心の中で呟く。これはもう癖になっているから、仕方ないといえば仕方ないのだけど。起き上がって、胸元で両手を組んで目を閉じる。朝のお祈り。お祈りが終わってから、ベッドから出て背伸びをした。
空気の入れ替えをしようと窓を開けて、風を感じて微笑む。早朝の風って、冷たくて気持ちいいよね~。こう、眠かったのが段々と飛んでいくというか。う~ん、説明するのが難しい。
きょろきょろと辺りを見渡して、誰もいないことを確認し、窓から出て行こうとするとノックされた。びくっと肩が跳ねあがる。……さすがに抜け出すわけにはいかないか、せっかくだから王城のてっぺんから帝都を見てみたかった。
「……はーい……」
それにしても、こんな朝っぱら誰だろう? と思いながら返事をすると、ディーンの声が聞こえた。
「おはよう、アクア。入ってもいい?」
「おはよう、ディーン。どうぞー、入って」
扉を開けて中に入って来たディーン。トレイを持っていることに気付いて、「どうしたの、それ?」と声を掛けると、テーブルの上にトレイを置いてわたしを見た。
「昨日、夜になにも食べずに寝たから、お腹空かせているんじゃないかと思って。具沢山のミネストローネ、持って来たよ」
「うわー、ありがとう! ちょうどお腹が空いていたの!」
ふんわりといい匂いがしていたのは、これの匂いだったのか! やったー、美味しそうなスープだー!
すっと椅子を引くディーンに、「あ、ありがとう」と声を掛けてから座る。……うーん、イケメンがやると自分がお姫さまにでもなったような感覚に襲われるなぁ……。あ、王族の血が流れているんだっけ、わたし……。
実感がなさ過ぎて、なんだかなぁ……。
「それにしても、相変わらず毎朝早いね」
「癖になってるもん。そういうディーンこそ、早いのね」
「ミネストローネ頼んでいたからね。さ、冷めないうちにどうぞ」
「うん、いただくね」
スプーンを手に取ってミネストローネを食べる。美味しい。色んな野菜の入った具沢山のスープ。これ一皿でお腹いっぱいになるくらいのボリュームだ。味が優しいからすいすい食べられるけど。うーん、美味しい……。食事は大事よね。お腹が空いたら考え方も悲惨なものになるもん。
「……幸せそうに食べるよね」
「食べ物があるのは幸せでしょ?」
前神官長がいっていた。飢饉が起きた時に平民たちがどんな生活を強いられたのかを。それはもう悲惨だったらしい。わたしは経験したことないけども、前神官長は淡々と教えてくれた。だから、知識だけはあるの。
そこからなんとか這い上がって、あそこまでの王国に発展したと前神官長は口にした。……当時の陛下はがんばったのね、と思った。……でも、すぐに考えを改めた。
がんばったのは陛下だけじゃない。貴族も平民もがんばったんだ。手を取り合ってがんばることが出来た時代。……今のダラム王国では、考えられないこと。
「ごちそうさまでした、美味しかった!」
「それは良かった。じゃあオレは片付けて来るから、部屋で待っていて」
「はーい」
……外に出ようとしていたこと、バレていないよね?
ディーンがトレイを持って部屋から出て行く。入れ替わるようにバーナードが入って来た。……見張り? 見張りなの? わたしが外に出ないように? 考えてみればふたりはわたしが浮遊魔法使えることを知っているものね。警戒して当然か……。ふわぁ、と眠そうに欠伸をするバーナードを見て、目を瞬かせる。
「随分眠そうね?」
「お前が起きるのが早いせいだろ……」
……なるほど、護衛対象が早起きだと護衛も早起きしなきゃいけないのか。大変だなぁ、護衛。……あれ、でもどうしてわたしが早起きのことを知っているんだろう?
「ノースモア公爵邸でも、日の出とともに起きていただろ」
「え、なんでバーナードが知っているの?」
「ディーンから聞いた」
あー……。ディーンから聞いたのか、納得。
「その分、寝るのも早いって聞いたけど」
「確かに早いかも……?」
ノースモア公爵邸でのことを思い出しながら肩をすくめる。だって仕事が終わるとやることがないのだもの。
「仕事終わった後にやりたい趣味とかないわけ?」
「趣味? んー……、仕事に追われていたし……?」
贈呈品の本を読むことくらいしか思い浮かばない。そして、この国に来てから十日くらいしか経ってないし、趣味らしい趣味を見つけることもなかったし……いや、まずは仕事に慣れるほうが先じゃん? クビになったけど!
「仕事に慣れてきたと思ったらこれだし」
「……なんというか、お前の人生割と振り回されているな……」
「本当にね。いや、これも神の思し召しと思えば……」
「思えていない言い方なんだが?」
「そもそも神さまって人の道しるべになるわけじゃないし……」
バーナードが首を傾げて、どういう意味だ? とばかりにわたしを凝視する。そんなに見なくてもいいのに。
「自分の目の前に広がる選択肢、そのすべてを神様が決めているって思うの?」
「……いや、それはないな」
「神さまはね、人々の支えではあるけれど、道を示すものじゃないと思うの。大事なのは、自分がどういう人生を歩むべきか考えること。自分の選択で失敗しても、神さまを逆恨みしないこと。結構多いんだよね~」
自分の選択すべてを神さまが選んだと思って、カジノで大負けして神さまを恨む人とか、好きな異性に告白して玉砕して神さまを恨む人とか。……どう考えても神さまのせいじゃないよね? といいたくなる人たちが結構いた。いや、本当に。
「神さまは便利屋じゃないのよ」
「……そりゃそうだ……」
小鳥のさえずりで目が覚めて、あー、また日の出とともに起きちゃったと心の中で呟く。これはもう癖になっているから、仕方ないといえば仕方ないのだけど。起き上がって、胸元で両手を組んで目を閉じる。朝のお祈り。お祈りが終わってから、ベッドから出て背伸びをした。
空気の入れ替えをしようと窓を開けて、風を感じて微笑む。早朝の風って、冷たくて気持ちいいよね~。こう、眠かったのが段々と飛んでいくというか。う~ん、説明するのが難しい。
きょろきょろと辺りを見渡して、誰もいないことを確認し、窓から出て行こうとするとノックされた。びくっと肩が跳ねあがる。……さすがに抜け出すわけにはいかないか、せっかくだから王城のてっぺんから帝都を見てみたかった。
「……はーい……」
それにしても、こんな朝っぱら誰だろう? と思いながら返事をすると、ディーンの声が聞こえた。
「おはよう、アクア。入ってもいい?」
「おはよう、ディーン。どうぞー、入って」
扉を開けて中に入って来たディーン。トレイを持っていることに気付いて、「どうしたの、それ?」と声を掛けると、テーブルの上にトレイを置いてわたしを見た。
「昨日、夜になにも食べずに寝たから、お腹空かせているんじゃないかと思って。具沢山のミネストローネ、持って来たよ」
「うわー、ありがとう! ちょうどお腹が空いていたの!」
ふんわりといい匂いがしていたのは、これの匂いだったのか! やったー、美味しそうなスープだー!
すっと椅子を引くディーンに、「あ、ありがとう」と声を掛けてから座る。……うーん、イケメンがやると自分がお姫さまにでもなったような感覚に襲われるなぁ……。あ、王族の血が流れているんだっけ、わたし……。
実感がなさ過ぎて、なんだかなぁ……。
「それにしても、相変わらず毎朝早いね」
「癖になってるもん。そういうディーンこそ、早いのね」
「ミネストローネ頼んでいたからね。さ、冷めないうちにどうぞ」
「うん、いただくね」
スプーンを手に取ってミネストローネを食べる。美味しい。色んな野菜の入った具沢山のスープ。これ一皿でお腹いっぱいになるくらいのボリュームだ。味が優しいからすいすい食べられるけど。うーん、美味しい……。食事は大事よね。お腹が空いたら考え方も悲惨なものになるもん。
「……幸せそうに食べるよね」
「食べ物があるのは幸せでしょ?」
前神官長がいっていた。飢饉が起きた時に平民たちがどんな生活を強いられたのかを。それはもう悲惨だったらしい。わたしは経験したことないけども、前神官長は淡々と教えてくれた。だから、知識だけはあるの。
そこからなんとか這い上がって、あそこまでの王国に発展したと前神官長は口にした。……当時の陛下はがんばったのね、と思った。……でも、すぐに考えを改めた。
がんばったのは陛下だけじゃない。貴族も平民もがんばったんだ。手を取り合ってがんばることが出来た時代。……今のダラム王国では、考えられないこと。
「ごちそうさまでした、美味しかった!」
「それは良かった。じゃあオレは片付けて来るから、部屋で待っていて」
「はーい」
……外に出ようとしていたこと、バレていないよね?
ディーンがトレイを持って部屋から出て行く。入れ替わるようにバーナードが入って来た。……見張り? 見張りなの? わたしが外に出ないように? 考えてみればふたりはわたしが浮遊魔法使えることを知っているものね。警戒して当然か……。ふわぁ、と眠そうに欠伸をするバーナードを見て、目を瞬かせる。
「随分眠そうね?」
「お前が起きるのが早いせいだろ……」
……なるほど、護衛対象が早起きだと護衛も早起きしなきゃいけないのか。大変だなぁ、護衛。……あれ、でもどうしてわたしが早起きのことを知っているんだろう?
「ノースモア公爵邸でも、日の出とともに起きていただろ」
「え、なんでバーナードが知っているの?」
「ディーンから聞いた」
あー……。ディーンから聞いたのか、納得。
「その分、寝るのも早いって聞いたけど」
「確かに早いかも……?」
ノースモア公爵邸でのことを思い出しながら肩をすくめる。だって仕事が終わるとやることがないのだもの。
「仕事終わった後にやりたい趣味とかないわけ?」
「趣味? んー……、仕事に追われていたし……?」
贈呈品の本を読むことくらいしか思い浮かばない。そして、この国に来てから十日くらいしか経ってないし、趣味らしい趣味を見つけることもなかったし……いや、まずは仕事に慣れるほうが先じゃん? クビになったけど!
「仕事に慣れてきたと思ったらこれだし」
「……なんというか、お前の人生割と振り回されているな……」
「本当にね。いや、これも神の思し召しと思えば……」
「思えていない言い方なんだが?」
「そもそも神さまって人の道しるべになるわけじゃないし……」
バーナードが首を傾げて、どういう意味だ? とばかりにわたしを凝視する。そんなに見なくてもいいのに。
「自分の目の前に広がる選択肢、そのすべてを神様が決めているって思うの?」
「……いや、それはないな」
「神さまはね、人々の支えではあるけれど、道を示すものじゃないと思うの。大事なのは、自分がどういう人生を歩むべきか考えること。自分の選択で失敗しても、神さまを逆恨みしないこと。結構多いんだよね~」
自分の選択すべてを神さまが選んだと思って、カジノで大負けして神さまを恨む人とか、好きな異性に告白して玉砕して神さまを恨む人とか。……どう考えても神さまのせいじゃないよね? といいたくなる人たちが結構いた。いや、本当に。
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