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1章
59話
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緊張した面持ちでルーカス陛下と対面する。ルーカス陛下は、わたしが抱っこしているココに視線を向けて、物珍しそうに眺めていた。……もしかして、ルーカス陛下もコボルトに会ったことがない?
「……それが、コボルトなのか?」
「ココはコボルト! まだ子ども!」
「……喋るのか」
「ココ、お話しできるよ! あのね、あのね、ココたちをアクアの傍にいさせて!」
必死にお願いするココに、ルーカス陛下はふむ、と小さく呟いてココに向けて手を差し出した。ココはわたしのほうに顔を向ける。わたしはちょっと残念に思いながら、ココをルーカス陛下へと渡した。ココを受け取ったルーカス陛下は、じーっとココを見つめていた。
不安そうなココの尻尾は下がり、耳も垂れていた。そしてルーカス陛下はなにを思ったのか――突然、ココの頭に手を置いてわしゃわしゃと撫でだした。クーン、とココが鳴く。どうやらルーカス陛下のなでなでは気持ち良いみたいで、今度は尻尾がパタパタと揺れ始めた。コボルトの機嫌ってわかりやすい。
「……それで、なぜアクアの傍にいたいのだ?」
ルーカス陛下にそう問われて、ココはハッとしたように顔を上げて、じっとルーカス陛下を見つめて手を上下に振りながら説明した。ダラム王国で魔物たちからコボルトを守ったこと、コボルトたちの住む場所をくれたこと、ゴーレムをくれたこと、その全部に恩返しをしたい、――と。
「……まさかコボルトたちのほうが理解していたとは……」
ぼそりと呟くルーカス陛下に、ココはこてんと首を傾げた。
「受けた恩を返したい、か。……ならば、許可せねばな。ただし、人数は五人までとする」
ざっと数えて二十人くらいいたことを伝えると、ルーカス陛下はこう提案して来た。
「ならば、あとの十五人で試してみて欲しいことがある」
「試してみて欲しいこと?」
「帝都の大通り近くに住む場所を確保するから、そこで週に一回で良い。音楽を流してくれ」
「……音楽を?」
ルーカス陛下がなぜそんなことをいうのかがわからなくて首を傾げると、ディーンが「ああ、なるほど」と納得していた。……ちょっと待って、なんでわかるの。
「確かにコボルトの音楽はとても良いものだったよ」
「最近、新しいことがないからな。国民たちも喜ぶだろう」
「新しいこと……?」
「そうだ。平穏といえば平穏だが、なにもないと刺激を求めて良くないことをする者もいるからな。コボルトの音楽ならば珍しいだろう」
……そりゃ聞いたことないだろうね。そういえばこの国にもコボルトっていたのかなぁ……。いたとしたら、移住してきたコボルトたちと仲良くしてくれるかなぁ……。
「それにあの大通りの屋敷も、管理してくれる者を探していたしな」
……もしかして、そっちのほうがメインだったりしませんか。いやいや、それでもコボルトたちを受け入れてくれるのはありがたい!
「じゃ、じゃあっ、コボルトたちをこの帝都で受け入れてくれるんですね!」
わたしがぱぁっと表情を明るくしてそういうと、ルーカス陛下は目元を細めて微笑んだ。
「バーナード」
「はい」
「確か、お前の家は音楽に興味を持つ者が多かったな?」
にやりと口角を上げるルーカス陛下に、バーナードの肩が揺れた。へぇ、バーナードの家って音楽に興味あるんだ。と感心していると、あまり触れて欲しくないのか、すっとバーナードが顔を逸らした。
「伯爵家から数人、コボルトと暮らす者を募集してくれ。その者たちはコボルトと人間を繋ぐことを仕事にしてもらう」
わぁ、それ良いな! 長老、表に出るようなこといっていたし、そうなれば誰かがコボルトたちに人間のことを教えたほうが良い。音楽に興味があるバーナードの家の人たちなら、コボルトたちを受け入れてくれるって考えたのかな?
「……えっと、えっと……?」
ココには情報量が多かったみたい。よくわからないようで、わたしたちのことを何度も見ていた。
「わたしの屋敷に五人、あとの十五人は帝都の大通りで住んでいいって!」
「ホント!?」
わたしがそう説明すると、ココは嬉しそうに尻尾をブンブンと振った。その様子を見たルーカス陛下はバーナードに視線を向ける。まるで、こんなに喜んでいるんだぞ? といっているようだ。
「……わかりました、聞いてみます」
バーナードは肩をすくめてそういった。そういえば、バーナードの家族って何人くらいいるんだろう。そういうの聞いたことなかったね。
「……ああ、それと、私の傍にもひとり置いてくれないか」
「へ!?」
「話を聞きたい」
あまりに意外な言葉を聞いて、わたしは目を瞬かせた。もしかして、ルーカス陛下……そのモフモフに魅了された!? と思っていたらルーカス陛下はコボルトが知っていることを話して欲しいみたいだ。音楽のことかな?
「今日はもう遅いから、ココは泊っていきなさい」
「良いの!?」
「ああ。アクア、構わないな?」
「あ、はい、もちろん! じゃあ、コボルトの村には明日、返事に行きますね!」
こくりとうなずいたあと、ルーカス陛下はわたしにこういった。
「コボルトを受け入れて欲しいというアクアの願いは叶えよう。代わりに、私の願いも聞いてくれ」
「えっと……、なんでしょうか」
「あとで詳しく話す。今日はもう休みなさい」
「はーい……」
「……それが、コボルトなのか?」
「ココはコボルト! まだ子ども!」
「……喋るのか」
「ココ、お話しできるよ! あのね、あのね、ココたちをアクアの傍にいさせて!」
必死にお願いするココに、ルーカス陛下はふむ、と小さく呟いてココに向けて手を差し出した。ココはわたしのほうに顔を向ける。わたしはちょっと残念に思いながら、ココをルーカス陛下へと渡した。ココを受け取ったルーカス陛下は、じーっとココを見つめていた。
不安そうなココの尻尾は下がり、耳も垂れていた。そしてルーカス陛下はなにを思ったのか――突然、ココの頭に手を置いてわしゃわしゃと撫でだした。クーン、とココが鳴く。どうやらルーカス陛下のなでなでは気持ち良いみたいで、今度は尻尾がパタパタと揺れ始めた。コボルトの機嫌ってわかりやすい。
「……それで、なぜアクアの傍にいたいのだ?」
ルーカス陛下にそう問われて、ココはハッとしたように顔を上げて、じっとルーカス陛下を見つめて手を上下に振りながら説明した。ダラム王国で魔物たちからコボルトを守ったこと、コボルトたちの住む場所をくれたこと、ゴーレムをくれたこと、その全部に恩返しをしたい、――と。
「……まさかコボルトたちのほうが理解していたとは……」
ぼそりと呟くルーカス陛下に、ココはこてんと首を傾げた。
「受けた恩を返したい、か。……ならば、許可せねばな。ただし、人数は五人までとする」
ざっと数えて二十人くらいいたことを伝えると、ルーカス陛下はこう提案して来た。
「ならば、あとの十五人で試してみて欲しいことがある」
「試してみて欲しいこと?」
「帝都の大通り近くに住む場所を確保するから、そこで週に一回で良い。音楽を流してくれ」
「……音楽を?」
ルーカス陛下がなぜそんなことをいうのかがわからなくて首を傾げると、ディーンが「ああ、なるほど」と納得していた。……ちょっと待って、なんでわかるの。
「確かにコボルトの音楽はとても良いものだったよ」
「最近、新しいことがないからな。国民たちも喜ぶだろう」
「新しいこと……?」
「そうだ。平穏といえば平穏だが、なにもないと刺激を求めて良くないことをする者もいるからな。コボルトの音楽ならば珍しいだろう」
……そりゃ聞いたことないだろうね。そういえばこの国にもコボルトっていたのかなぁ……。いたとしたら、移住してきたコボルトたちと仲良くしてくれるかなぁ……。
「それにあの大通りの屋敷も、管理してくれる者を探していたしな」
……もしかして、そっちのほうがメインだったりしませんか。いやいや、それでもコボルトたちを受け入れてくれるのはありがたい!
「じゃ、じゃあっ、コボルトたちをこの帝都で受け入れてくれるんですね!」
わたしがぱぁっと表情を明るくしてそういうと、ルーカス陛下は目元を細めて微笑んだ。
「バーナード」
「はい」
「確か、お前の家は音楽に興味を持つ者が多かったな?」
にやりと口角を上げるルーカス陛下に、バーナードの肩が揺れた。へぇ、バーナードの家って音楽に興味あるんだ。と感心していると、あまり触れて欲しくないのか、すっとバーナードが顔を逸らした。
「伯爵家から数人、コボルトと暮らす者を募集してくれ。その者たちはコボルトと人間を繋ぐことを仕事にしてもらう」
わぁ、それ良いな! 長老、表に出るようなこといっていたし、そうなれば誰かがコボルトたちに人間のことを教えたほうが良い。音楽に興味があるバーナードの家の人たちなら、コボルトたちを受け入れてくれるって考えたのかな?
「……えっと、えっと……?」
ココには情報量が多かったみたい。よくわからないようで、わたしたちのことを何度も見ていた。
「わたしの屋敷に五人、あとの十五人は帝都の大通りで住んでいいって!」
「ホント!?」
わたしがそう説明すると、ココは嬉しそうに尻尾をブンブンと振った。その様子を見たルーカス陛下はバーナードに視線を向ける。まるで、こんなに喜んでいるんだぞ? といっているようだ。
「……わかりました、聞いてみます」
バーナードは肩をすくめてそういった。そういえば、バーナードの家族って何人くらいいるんだろう。そういうの聞いたことなかったね。
「……ああ、それと、私の傍にもひとり置いてくれないか」
「へ!?」
「話を聞きたい」
あまりに意外な言葉を聞いて、わたしは目を瞬かせた。もしかして、ルーカス陛下……そのモフモフに魅了された!? と思っていたらルーカス陛下はコボルトが知っていることを話して欲しいみたいだ。音楽のことかな?
「今日はもう遅いから、ココは泊っていきなさい」
「良いの!?」
「ああ。アクア、構わないな?」
「あ、はい、もちろん! じゃあ、コボルトの村には明日、返事に行きますね!」
こくりとうなずいたあと、ルーカス陛下はわたしにこういった。
「コボルトを受け入れて欲しいというアクアの願いは叶えよう。代わりに、私の願いも聞いてくれ」
「えっと……、なんでしょうか」
「あとで詳しく話す。今日はもう休みなさい」
「はーい……」
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