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2章
第101話:ルーカス陛下の誕生日パーティー 2
「なんだか本当に『王さま!』って気がしますね、その恰好」
「正装だからな、ああ、そうだ。アクア、これを」
そういって近くに置いてあったアメジストのブローチをわたしに渡す。反射的に受け取ってしまったけれど、どうすればいいのかわからなくて首を傾げた。すると、胸元につけておけ、といわれたので素直に従う。
淡い紫色のドレスにキラキラ輝くアメジストのブローチ……。これほどまで着飾った日はあっただろうかと過去を思い出して苦笑を浮かべた。それに気付いたルーカス陛下が「どうした?」と尋ねてきたので首を横に振り「なんでもないです」と答える。
それから、プレゼントとして持って来たハンカチを手渡した。ルーカス陛下はハンカチを大事そうに受け取った。
「開けてもいいか?」
「どうぞ。……あの、下手でごめんなさい」
カサカサと包装紙を丁寧に剥ぎ取り、取り出したハンカチの刺繍に気付いてルーカス陛下は嬉しそうに笑みを浮かべた。
「ありがとう、大切に使う」
「あ、はい……。ええと、そんなものしか用意できなくてすみません……」
あまりにも嬉しそうだったから思わず謝ってしまった。すると、ルーカス陛下は目を丸くして「なぜ謝る?」と首を傾げた。なので、刺繍が下手だし、高価なものでもないから……と答えると、ルーカス陛下はわたしをじっと見つめて、
「私にとってはとても嬉しいプレゼントだったよ」
と、柔らかい声色でいってくれた。
「それに、……これは私個人に贈られたものだからな」
「それはどういう……?」
「他の人が用意するのは、『アルストル帝国の陛下』へのプレゼントだ。豪華絢爛なプレゼントの裏には、『これだけ良いものをあげたのだから、良い関係を築けるだろう』という思惑があるし、『うちにもこのくらいのプレゼントをくれるだろう』という無言のアピールだな」
それなりのものを贈ってはいるんだがな、と小さく付け足した。……国同士の繋がりってわたしはよくわからないけれど、プレゼントを贈り合うくらいには友好的な国が多いということなのか、それとも、帝国の力が振る舞われないようにということなのか……どっちもかな。
「アクアたちは先にパーティー会場に入場していてくれ。来賓たちの顔を見るのも良い勉強になるだろう」
「……来年の?」
「まぁ、そうなるな」
「最小限の人数でお願いします……」
「努力はする」
……これ結局結構な人数が集まりそうな気がする……。そう考えつつ、わたしたちは一足先にパーティー会場へと向かった。
パーティー会場は豪華絢爛、がぴったりだと思った。煌びやかな光を放つシャンデリア、よくわからないけれど高そうな調度品。立食パーティーのようで料理も並んでいるし、食器もグラスもめっちゃ高そう……。
そして、この会場に来ている人たちもかなり身分の高い人たちだろうと一発でわかるくらい、素人目から見ても質の良いドレスやタキシードを着ていた。あと、アクセサリーもとても高そうに見えた。ゴテゴテな指輪をはめている人も多かったけど、指一本一本に指輪をしていて指は動きにくくないのだろうか……そんなことに興味を抱いたりしていると、「アクアさま」と声を掛けられた。
「……っ、神官長……!」
「お久しぶりです、アクアさま」
「お久しぶりです。……えっと、どうして、ここに?」
「招待状をいただいたので……」
……そっか、きっとルーカス陛下が気を遣ってくれたのね。久しぶりに会った神官長は、以前よりも体調が良さそうに見えた。……あの頃の神殿は、仕事で忙しかったからね……。そして、そんなわたしたちに声を掛けて来る人がいた。
「その子が例の子かい、ヒューイ」
「はい、カルヴィンさま。アクアさま、こちらルガラント王国の国王、カルヴィンさまです」
「……はい?」
ルガラント王国って、神官長の故郷よね。どういうことなの、と思考がぐるぐるしだしたわたしに、ディーンとバーナードが「ああ」と呟いた。
「この子は事情を知っているんだっけ?」
「はい。話しましたから」
「そっか。初めまして、アクアさん。私はルガラント王国のカルヴィン。一応玉座に就かせてもらっている。それと、ルーカスの友人でもある」
「……は、はい……。お噂はかねがね……」
……いや、あの一回しか聞いていないけれど。ルガラント王国の陛下はルーカス陛下の友人だとは聞いていたけど……。ルーカス陛下よりも年上のように見えるなぁ。茶色の髪に、明るい茶色の瞳。着ているのは黒のタキシードだ。清楚感よりも大人の男性って感じの色気を感じる……かな?
「あ、ルーカスと私の年齢に気付いちゃった?」
「あ、えっと……」
「はは、多分考えている通りだよ。ルーカスより年上なんだ。だけど、彼は友人さ。同じ学び舎で共に過ごした仲だからね。それで、キミがルーカスの『身内』ってことで良いんだよね?」
「は、はい。アクア・ルックスと申します」
慌ててカーテシーをした。……だってあまりにも驚いて、身体が硬直してしまったのだ。そのカーテシーを見て、神官長が小さくうなずいた。……そうだ、考えてみればわたしにカーテシーを叩き込んだのはこの神官長だった……。
「うんうん、良い子だねー。おじさん可愛がっちゃうぞー」
「は、はは……」
どうしよう、まったくキャラが掴めない。ルガラント王国の陛下と神官長が普通に話しているのを見て、わたしの考えは本当に纏まらなくなった。……なんでこんなに仲が良いの? と、それしか考えられない。
「……あの、神官長とカルヴィンさまはどうやって知り合ったのでしょうか……?」
「……どうやって。最初は文通?」
「文通……?」
……神官長が文通している姿を想像してみたけれど、あまりうまく思い浮かばなかった。むしろ、書類に追われている姿が思い浮かんだ。
「聞いていたでしょう? 他国を招いた、と」
「……あ、ああ、そういうことですか……」
どうやって知り合ったのかはわからないけれど、神官長が『招いた』人なのね……。
「正装だからな、ああ、そうだ。アクア、これを」
そういって近くに置いてあったアメジストのブローチをわたしに渡す。反射的に受け取ってしまったけれど、どうすればいいのかわからなくて首を傾げた。すると、胸元につけておけ、といわれたので素直に従う。
淡い紫色のドレスにキラキラ輝くアメジストのブローチ……。これほどまで着飾った日はあっただろうかと過去を思い出して苦笑を浮かべた。それに気付いたルーカス陛下が「どうした?」と尋ねてきたので首を横に振り「なんでもないです」と答える。
それから、プレゼントとして持って来たハンカチを手渡した。ルーカス陛下はハンカチを大事そうに受け取った。
「開けてもいいか?」
「どうぞ。……あの、下手でごめんなさい」
カサカサと包装紙を丁寧に剥ぎ取り、取り出したハンカチの刺繍に気付いてルーカス陛下は嬉しそうに笑みを浮かべた。
「ありがとう、大切に使う」
「あ、はい……。ええと、そんなものしか用意できなくてすみません……」
あまりにも嬉しそうだったから思わず謝ってしまった。すると、ルーカス陛下は目を丸くして「なぜ謝る?」と首を傾げた。なので、刺繍が下手だし、高価なものでもないから……と答えると、ルーカス陛下はわたしをじっと見つめて、
「私にとってはとても嬉しいプレゼントだったよ」
と、柔らかい声色でいってくれた。
「それに、……これは私個人に贈られたものだからな」
「それはどういう……?」
「他の人が用意するのは、『アルストル帝国の陛下』へのプレゼントだ。豪華絢爛なプレゼントの裏には、『これだけ良いものをあげたのだから、良い関係を築けるだろう』という思惑があるし、『うちにもこのくらいのプレゼントをくれるだろう』という無言のアピールだな」
それなりのものを贈ってはいるんだがな、と小さく付け足した。……国同士の繋がりってわたしはよくわからないけれど、プレゼントを贈り合うくらいには友好的な国が多いということなのか、それとも、帝国の力が振る舞われないようにということなのか……どっちもかな。
「アクアたちは先にパーティー会場に入場していてくれ。来賓たちの顔を見るのも良い勉強になるだろう」
「……来年の?」
「まぁ、そうなるな」
「最小限の人数でお願いします……」
「努力はする」
……これ結局結構な人数が集まりそうな気がする……。そう考えつつ、わたしたちは一足先にパーティー会場へと向かった。
パーティー会場は豪華絢爛、がぴったりだと思った。煌びやかな光を放つシャンデリア、よくわからないけれど高そうな調度品。立食パーティーのようで料理も並んでいるし、食器もグラスもめっちゃ高そう……。
そして、この会場に来ている人たちもかなり身分の高い人たちだろうと一発でわかるくらい、素人目から見ても質の良いドレスやタキシードを着ていた。あと、アクセサリーもとても高そうに見えた。ゴテゴテな指輪をはめている人も多かったけど、指一本一本に指輪をしていて指は動きにくくないのだろうか……そんなことに興味を抱いたりしていると、「アクアさま」と声を掛けられた。
「……っ、神官長……!」
「お久しぶりです、アクアさま」
「お久しぶりです。……えっと、どうして、ここに?」
「招待状をいただいたので……」
……そっか、きっとルーカス陛下が気を遣ってくれたのね。久しぶりに会った神官長は、以前よりも体調が良さそうに見えた。……あの頃の神殿は、仕事で忙しかったからね……。そして、そんなわたしたちに声を掛けて来る人がいた。
「その子が例の子かい、ヒューイ」
「はい、カルヴィンさま。アクアさま、こちらルガラント王国の国王、カルヴィンさまです」
「……はい?」
ルガラント王国って、神官長の故郷よね。どういうことなの、と思考がぐるぐるしだしたわたしに、ディーンとバーナードが「ああ」と呟いた。
「この子は事情を知っているんだっけ?」
「はい。話しましたから」
「そっか。初めまして、アクアさん。私はルガラント王国のカルヴィン。一応玉座に就かせてもらっている。それと、ルーカスの友人でもある」
「……は、はい……。お噂はかねがね……」
……いや、あの一回しか聞いていないけれど。ルガラント王国の陛下はルーカス陛下の友人だとは聞いていたけど……。ルーカス陛下よりも年上のように見えるなぁ。茶色の髪に、明るい茶色の瞳。着ているのは黒のタキシードだ。清楚感よりも大人の男性って感じの色気を感じる……かな?
「あ、ルーカスと私の年齢に気付いちゃった?」
「あ、えっと……」
「はは、多分考えている通りだよ。ルーカスより年上なんだ。だけど、彼は友人さ。同じ学び舎で共に過ごした仲だからね。それで、キミがルーカスの『身内』ってことで良いんだよね?」
「は、はい。アクア・ルックスと申します」
慌ててカーテシーをした。……だってあまりにも驚いて、身体が硬直してしまったのだ。そのカーテシーを見て、神官長が小さくうなずいた。……そうだ、考えてみればわたしにカーテシーを叩き込んだのはこの神官長だった……。
「うんうん、良い子だねー。おじさん可愛がっちゃうぞー」
「は、はは……」
どうしよう、まったくキャラが掴めない。ルガラント王国の陛下と神官長が普通に話しているのを見て、わたしの考えは本当に纏まらなくなった。……なんでこんなに仲が良いの? と、それしか考えられない。
「……あの、神官長とカルヴィンさまはどうやって知り合ったのでしょうか……?」
「……どうやって。最初は文通?」
「文通……?」
……神官長が文通している姿を想像してみたけれど、あまりうまく思い浮かばなかった。むしろ、書類に追われている姿が思い浮かんだ。
「聞いていたでしょう? 他国を招いた、と」
「……あ、ああ、そういうことですか……」
どうやって知り合ったのかはわからないけれど、神官長が『招いた』人なのね……。
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