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2章
109話
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そして、招待状の返事の仕方も難なくクリアできた。わたしにいろいろ教えてくれる家庭教師が有能すぎる……。
「陛下の誕生日パーティーは楽しめましたか?」
すっとカップを手に取る姿すら優雅な女性――淡い金色の髪と新緑を思わせる緑の瞳、耳にはイヤリングが揺れている。毎度、同じイヤリングなのできっとずっと身に着けたいくらい大事なものなのだろう。
「おかげさまで」
「それはなによりです。これから、王族として……いえ、ウィルモット家の唯一の生存者として、あなたに接してくる人は多いでしょう」
こくりとうなずいた。そうだと思っていたから。……もうすでに招待状もたくさんもらっているしね。
「それにしても、マクファーソン家とは……、良い家を選びましたね。この時期でしたら、花祭りが見られるかもしれませんよ」
「花祭り?」
花祭り、というだけあって、やっぱり花を愛でるような感じの祭りなのだろうか。それはそれで見てみたい気がする……。
「ええ。始まったのは今より十年前。……シャーリーさまたちへの、せめてもの献花をと始めたことです」
「お母さまたちの……?」
家庭教師の女性――ユーニス。リックウッド伯爵夫人だ。ルーカス陛下から指名されたらしい。どんな家庭教師が来るのかとドキドキしていたのを思い出して、小さく笑みを浮かべた。……それに、マクファーソン家がお母さまたちのことを思ってくれていたのかがわかって嬉しかった。
「……でも、どうしてマクファーソン男爵が、お母さまたちのことを気に掛けたのでしょうか?」
「シャーリーさまは独身時代に、ステラさまと共にいろいろな地方へと足を運びました。マクファーソン男爵とも、そこで出会ったんですよ」
「へぇ!」
初めて知った。……というか、ステラと一緒にいろんな地方へ行っていた?
ステラはシャーリーを溺愛していたから、旅に同行させたのかな?
「そうだったんだ……」
「はい。マクファーソン男爵は、ステラさまたちと何度も会話をしたと耳にしております」
「……帝都はともかく、他の地方では魔物が出ることもあるのでは?」
「そうですね……。東側に行くにつれて、魔物と出会う確立と危険度が増します。ステラさまたちは、結界を張り直したり、救助をしたりと忙しいお方でした」
「詳しいですね」
「うふふ、こういう話ってどうしたって耳に入って来るものですから」
口元を手で隠して微笑む。……貴族のお茶会って、噂話の披露する場所でもありそうだな……。情報を得るための、お茶会。
「……あの、わたしのお母さまって魔法が得意だったりしますか?」
「いいえ、全然」
「では、お父さまは?」
「魔法ではなく、剣はそこそこだった、と記憶しております」
「そ、そこそこ……」
誰を基準にしたそこそこなのかが問題だ。
「……そうですね、並大抵の盗賊や山賊では太刀打ちできない方、だったかと」
「……それはまぁ……そこそこですね……?」
我流でも強くなれる人もいるけど、盗賊や山賊は騎士よりも剣術は劣るはず。そして、そういう人たちは小細工をしているのが普通、よね。自分が生き残るために。
「……傭兵と戦ったら、勝てたと思いますか?」
「傭兵のレベルにも寄るでしょう。……ですが、なにかを守りながら戦うというのは、難しいことです」
……お父さまは、わたしとお母さまを守るために……? 護衛としてついて来てくれた人たちだってそうだろう。そう簡単に倒されるはずのない人たちが、選ばれていると思うし……。
「……その当時に、わたしが回復魔法使えていたらなぁ……」
「仕方ありませんよ、いつその力に目覚めるかなんて、誰にもわからないのですから」
……そういえば、わたしが初めて回復魔法を使った時、前神官長すっごい顔していたなぁ。まるで、この世のものではないものを見たかのように。幼心にあれはちょっときつかった。
その当時から、わたしの回復魔法は全快することしか出来なかったからね。
「マクファーソン家のお茶会には、何人で向かいますか?」
「ディーンとバーナード、それからササとセセも一緒に向かいます」
「……なるほど。転移石は使いますか?」
「え? 使えるんですか?」
そうなったら、国内どこでも行き放題になるのでは……?
「……ああ、では、今日は転移石について軽く説明しましょう。転移石を使ったことはありますね」
「はい、わたしが……というか、ディーンが使うのに便乗するような形で」
「公爵家の転移石なら、いろいろな場所に迎えそうですね」
わたしが首を傾げると、ユーニスは転移石にはそれぞれ転移できる場所が決められていること、遠いところでも、転移の魔法陣が描かれた場所が無事なら転移出来ること、魔法陣は水晶で守られていて、それぞれの街の入り口に設置されていること……を教えてくれた。……そんな水晶見たことあったっけ……? と首を捻る。全くといっていいほど思い出せない。
「え、じゃあなんでディーンの家に直接行けたり、ダラム王国に転移出来たの?」
混乱してきた。
「公爵家にもその水晶置いてありますよ。そしてなぜダラム王国に行けたかというと……陛下のお力が強いから、とだけ」
魔力が強いから転移出来た? ……ルーカス陛下とわたし、どっちのほうが魔力、強いのだろう。
……あ、わたしの魔力を追って、ということならあのミニゴーレムが神殿にあった!
だから神殿に転移したんだ、きっと。一番わたしの魔力が残っているから!
「どこにでも行ける転移石は高価なので、あまり使われていないと思いますが……」
「そうなんだ?」
「はい、平民たちには普通の転移石でさえ……、そうですね、給料半年分、くらいでしょうか」
……それは高い。とっても高い。じゃあ普通の転移石を使っているのは、もしかして冒険者たちだったりするのかな? 危険な仕事もあるだろうけど、その分報酬は高いはずだから。……っていうか、転移石にグレードがあることを初めて知ったわ……。
「陛下の誕生日パーティーは楽しめましたか?」
すっとカップを手に取る姿すら優雅な女性――淡い金色の髪と新緑を思わせる緑の瞳、耳にはイヤリングが揺れている。毎度、同じイヤリングなのできっとずっと身に着けたいくらい大事なものなのだろう。
「おかげさまで」
「それはなによりです。これから、王族として……いえ、ウィルモット家の唯一の生存者として、あなたに接してくる人は多いでしょう」
こくりとうなずいた。そうだと思っていたから。……もうすでに招待状もたくさんもらっているしね。
「それにしても、マクファーソン家とは……、良い家を選びましたね。この時期でしたら、花祭りが見られるかもしれませんよ」
「花祭り?」
花祭り、というだけあって、やっぱり花を愛でるような感じの祭りなのだろうか。それはそれで見てみたい気がする……。
「ええ。始まったのは今より十年前。……シャーリーさまたちへの、せめてもの献花をと始めたことです」
「お母さまたちの……?」
家庭教師の女性――ユーニス。リックウッド伯爵夫人だ。ルーカス陛下から指名されたらしい。どんな家庭教師が来るのかとドキドキしていたのを思い出して、小さく笑みを浮かべた。……それに、マクファーソン家がお母さまたちのことを思ってくれていたのかがわかって嬉しかった。
「……でも、どうしてマクファーソン男爵が、お母さまたちのことを気に掛けたのでしょうか?」
「シャーリーさまは独身時代に、ステラさまと共にいろいろな地方へと足を運びました。マクファーソン男爵とも、そこで出会ったんですよ」
「へぇ!」
初めて知った。……というか、ステラと一緒にいろんな地方へ行っていた?
ステラはシャーリーを溺愛していたから、旅に同行させたのかな?
「そうだったんだ……」
「はい。マクファーソン男爵は、ステラさまたちと何度も会話をしたと耳にしております」
「……帝都はともかく、他の地方では魔物が出ることもあるのでは?」
「そうですね……。東側に行くにつれて、魔物と出会う確立と危険度が増します。ステラさまたちは、結界を張り直したり、救助をしたりと忙しいお方でした」
「詳しいですね」
「うふふ、こういう話ってどうしたって耳に入って来るものですから」
口元を手で隠して微笑む。……貴族のお茶会って、噂話の披露する場所でもありそうだな……。情報を得るための、お茶会。
「……あの、わたしのお母さまって魔法が得意だったりしますか?」
「いいえ、全然」
「では、お父さまは?」
「魔法ではなく、剣はそこそこだった、と記憶しております」
「そ、そこそこ……」
誰を基準にしたそこそこなのかが問題だ。
「……そうですね、並大抵の盗賊や山賊では太刀打ちできない方、だったかと」
「……それはまぁ……そこそこですね……?」
我流でも強くなれる人もいるけど、盗賊や山賊は騎士よりも剣術は劣るはず。そして、そういう人たちは小細工をしているのが普通、よね。自分が生き残るために。
「……傭兵と戦ったら、勝てたと思いますか?」
「傭兵のレベルにも寄るでしょう。……ですが、なにかを守りながら戦うというのは、難しいことです」
……お父さまは、わたしとお母さまを守るために……? 護衛としてついて来てくれた人たちだってそうだろう。そう簡単に倒されるはずのない人たちが、選ばれていると思うし……。
「……その当時に、わたしが回復魔法使えていたらなぁ……」
「仕方ありませんよ、いつその力に目覚めるかなんて、誰にもわからないのですから」
……そういえば、わたしが初めて回復魔法を使った時、前神官長すっごい顔していたなぁ。まるで、この世のものではないものを見たかのように。幼心にあれはちょっときつかった。
その当時から、わたしの回復魔法は全快することしか出来なかったからね。
「マクファーソン家のお茶会には、何人で向かいますか?」
「ディーンとバーナード、それからササとセセも一緒に向かいます」
「……なるほど。転移石は使いますか?」
「え? 使えるんですか?」
そうなったら、国内どこでも行き放題になるのでは……?
「……ああ、では、今日は転移石について軽く説明しましょう。転移石を使ったことはありますね」
「はい、わたしが……というか、ディーンが使うのに便乗するような形で」
「公爵家の転移石なら、いろいろな場所に迎えそうですね」
わたしが首を傾げると、ユーニスは転移石にはそれぞれ転移できる場所が決められていること、遠いところでも、転移の魔法陣が描かれた場所が無事なら転移出来ること、魔法陣は水晶で守られていて、それぞれの街の入り口に設置されていること……を教えてくれた。……そんな水晶見たことあったっけ……? と首を捻る。全くといっていいほど思い出せない。
「え、じゃあなんでディーンの家に直接行けたり、ダラム王国に転移出来たの?」
混乱してきた。
「公爵家にもその水晶置いてありますよ。そしてなぜダラム王国に行けたかというと……陛下のお力が強いから、とだけ」
魔力が強いから転移出来た? ……ルーカス陛下とわたし、どっちのほうが魔力、強いのだろう。
……あ、わたしの魔力を追って、ということならあのミニゴーレムが神殿にあった!
だから神殿に転移したんだ、きっと。一番わたしの魔力が残っているから!
「どこにでも行ける転移石は高価なので、あまり使われていないと思いますが……」
「そうなんだ?」
「はい、平民たちには普通の転移石でさえ……、そうですね、給料半年分、くらいでしょうか」
……それは高い。とっても高い。じゃあ普通の転移石を使っているのは、もしかして冒険者たちだったりするのかな? 危険な仕事もあるだろうけど、その分報酬は高いはずだから。……っていうか、転移石にグレードがあることを初めて知ったわ……。
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