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2章
114話
「……浄化の光……」
ステラがどういう状況で浄化を使ったのかはわからないけれど……。ステラはわたしと同じ浄化方法だとすれば、浄化の光が見られるだろう。……ステラがそれを使えるのなら、どうして他の人たちに教えなかったのだろう。自分の身に瘴気を宿すやり方よりは、身体に良いと思うのだけど……。
「わたしはダラム王国の神殿で浄化の仕方を教わったわ。あっちでは古代語を使った浄化の方法でね、多分あっちの神官長が教えてくれているんじゃないかなぁ……」
そう、ルーカス陛下の誕生日パーティーが終わってからも、神官長は帝都の神殿に足を運び聖女や聖者に古代語の使い方を教えてるようだ。……大丈夫なのかなぁ、まぁ神官長なら大丈夫な気がするけど……。……むしろ、積極的に関わろうとしているのは気のせいかな。
「……古代語を習っていたのですか?」
「あっちの神殿では大体古代語使っていたよ?」
五歳の頃から習い始めたのは魔法の使い方、神力《しんりょく》の使い方、古代語を含む文字の読み書き、発音。……まぁ、古代語を使っていたのは、前神官長の影響も大きいと思うけど……。
彼は古代語をいっぱい調べていたから。古代のことに興味があったみたい。
「……古代が好きなヤツでもいたのか?」
「いたねー。なんで文明が滅んだんだって謎に思っていたみたい」
……まぁ、その謎を解く前に……。と、私はふっと目を伏せる。過ごした時間は短かったけれど、彼から学んだことはたくさんあるし、神殿の人たちもその日からしばらくの間……幼いわたしのことを気遣ってくれた。
「……確かに、古代文明は謎に包まれていますね」
「でしょ?」
「今より栄えていた、とも言われているよね。古代文明に魅入られて研究室に籠る学者も多いようだよ」
「わからないことは追及する、その心意気は素晴らしいわね……」
でも研究所に籠るのはほどほどにしておかないと大変なことになるのでは……?
「そんなことを言ったら、世の中わからないことだらけだろ」
「否定はしませんが……」
ユーニスが眉を下げて微笑んだ。魔物だってわからないことのひとつだしね。
「でも」
「わかることもある!」
ササとセセが手を上げた。
「わかること?」
わたしが尋ねると、ふたりは顔を見合わせて尻尾を振りながらこういった。
「外で食べる」
「ごはんは美味しい!」
……それを聞いた時、わたしたちは顔を見合わせてそれからドッと笑った。
「確かに!」
屋敷の中で食べるのももちろん美味しいけれど、外の空気を感じながら食べるのも美味しいものだ。ササとセセも楽しそうに笑っていた。
「ふう、お腹いっぱい。ちょっと休憩してから出発しよう」
「そうだね」
みんなが小さくうなずいたので、わたしはそっと立ち上がって周りを見渡した。
「アクア?」
「ちょっとお祈りしてくるねー」
軽く手を振ってみんなから少し離れた。
手を組んで目を閉じ、胸の中で祈りの言葉を呟く。――どうか、わたしたちの旅路を見守りください、と。
返事のように身体が温かくなる。ゆっくりと目を開けると、ぴゅう、と風が吹いた。
空を見上げると晴天。わたしはくるりと振り返って、ディーンたちの元へと戻った。
「……そろそろ行こうか。バーナード、今度はオレが御者やるよ」
「じゃあ頼む」
そんな会話を交わしつつ、みんなで馬車に乗り込む。
お腹いっぱいになったからか、眠くなって……気が付いたらすやすやと眠っていた。
☆☆☆
――目を覚ましたら夕刻だった。わたしが目覚めたことに気付いたユーニスが、「目覚めましたか?」と聞いて来た。
「……うん、ここは?」
「町の入り口です。無事に入ることが出来るようですね」
「みたいだね。ここ、来たことある?」
ササとセセはないだろうから、ユーニスとバーナードに聞いてみる。すると、ユーニスは首を横に振り、バーナードは首を縦に振った。……ここにも魔物討伐隊として来たことがあるのかな?
「馬を休ませるためにな」
「そうね、馬だって疲れちゃうもんね」
うんうんと納得してうなずく。ってことは、ディーンも来たことがあるのだろう。
馬車は少し離れた宿屋? に向かい、停止した。ディーンが馬車の扉を開けて、わたしたちに手を差し伸べる。その手を取って降りると、大きな宿屋が目の前に。
「おお~……」
思わずそんな声が出た。ディーンの手を離してじっと宿屋を見つめる。ササとセセも降りてきて、「大きい!」、「これはなに?」と興奮してきたように尻尾が揺れている。可愛い。ただ、町の人たちがびっくりしたようにコボルトたちを見ていた。
驚いているだけで、怯えてはいない、かな?
「ちょっと宿屋の主人に話をしてくるから、待っていてくれる?」
「わたしも行く!」
「いや、待ってて。すぐに終わるから」
そういってディーンが宿屋の中に入って行く。それから五分もしないうちに戻って来て、部屋が取れたことを教えてくれた。
「食事はどうする? 町を見て歩こうか?」
「んーと、ササとセセも一緒で大丈夫かな?」
「大丈夫だと思う。オレもバーナードも一緒だし」
それなら……、最初の町を歩いてみようかな。ユーニスも一緒に行くことになった。みんなでご飯でも食べようという話になり、それなら……とディーンとバーナードが町の広場まで案内してくれた。
こっちを見る人たちが多い中、ササとセセは町中を歩くことが滅多にないからとても嬉しそうだ。
ステラがどういう状況で浄化を使ったのかはわからないけれど……。ステラはわたしと同じ浄化方法だとすれば、浄化の光が見られるだろう。……ステラがそれを使えるのなら、どうして他の人たちに教えなかったのだろう。自分の身に瘴気を宿すやり方よりは、身体に良いと思うのだけど……。
「わたしはダラム王国の神殿で浄化の仕方を教わったわ。あっちでは古代語を使った浄化の方法でね、多分あっちの神官長が教えてくれているんじゃないかなぁ……」
そう、ルーカス陛下の誕生日パーティーが終わってからも、神官長は帝都の神殿に足を運び聖女や聖者に古代語の使い方を教えてるようだ。……大丈夫なのかなぁ、まぁ神官長なら大丈夫な気がするけど……。……むしろ、積極的に関わろうとしているのは気のせいかな。
「……古代語を習っていたのですか?」
「あっちの神殿では大体古代語使っていたよ?」
五歳の頃から習い始めたのは魔法の使い方、神力《しんりょく》の使い方、古代語を含む文字の読み書き、発音。……まぁ、古代語を使っていたのは、前神官長の影響も大きいと思うけど……。
彼は古代語をいっぱい調べていたから。古代のことに興味があったみたい。
「……古代が好きなヤツでもいたのか?」
「いたねー。なんで文明が滅んだんだって謎に思っていたみたい」
……まぁ、その謎を解く前に……。と、私はふっと目を伏せる。過ごした時間は短かったけれど、彼から学んだことはたくさんあるし、神殿の人たちもその日からしばらくの間……幼いわたしのことを気遣ってくれた。
「……確かに、古代文明は謎に包まれていますね」
「でしょ?」
「今より栄えていた、とも言われているよね。古代文明に魅入られて研究室に籠る学者も多いようだよ」
「わからないことは追及する、その心意気は素晴らしいわね……」
でも研究所に籠るのはほどほどにしておかないと大変なことになるのでは……?
「そんなことを言ったら、世の中わからないことだらけだろ」
「否定はしませんが……」
ユーニスが眉を下げて微笑んだ。魔物だってわからないことのひとつだしね。
「でも」
「わかることもある!」
ササとセセが手を上げた。
「わかること?」
わたしが尋ねると、ふたりは顔を見合わせて尻尾を振りながらこういった。
「外で食べる」
「ごはんは美味しい!」
……それを聞いた時、わたしたちは顔を見合わせてそれからドッと笑った。
「確かに!」
屋敷の中で食べるのももちろん美味しいけれど、外の空気を感じながら食べるのも美味しいものだ。ササとセセも楽しそうに笑っていた。
「ふう、お腹いっぱい。ちょっと休憩してから出発しよう」
「そうだね」
みんなが小さくうなずいたので、わたしはそっと立ち上がって周りを見渡した。
「アクア?」
「ちょっとお祈りしてくるねー」
軽く手を振ってみんなから少し離れた。
手を組んで目を閉じ、胸の中で祈りの言葉を呟く。――どうか、わたしたちの旅路を見守りください、と。
返事のように身体が温かくなる。ゆっくりと目を開けると、ぴゅう、と風が吹いた。
空を見上げると晴天。わたしはくるりと振り返って、ディーンたちの元へと戻った。
「……そろそろ行こうか。バーナード、今度はオレが御者やるよ」
「じゃあ頼む」
そんな会話を交わしつつ、みんなで馬車に乗り込む。
お腹いっぱいになったからか、眠くなって……気が付いたらすやすやと眠っていた。
☆☆☆
――目を覚ましたら夕刻だった。わたしが目覚めたことに気付いたユーニスが、「目覚めましたか?」と聞いて来た。
「……うん、ここは?」
「町の入り口です。無事に入ることが出来るようですね」
「みたいだね。ここ、来たことある?」
ササとセセはないだろうから、ユーニスとバーナードに聞いてみる。すると、ユーニスは首を横に振り、バーナードは首を縦に振った。……ここにも魔物討伐隊として来たことがあるのかな?
「馬を休ませるためにな」
「そうね、馬だって疲れちゃうもんね」
うんうんと納得してうなずく。ってことは、ディーンも来たことがあるのだろう。
馬車は少し離れた宿屋? に向かい、停止した。ディーンが馬車の扉を開けて、わたしたちに手を差し伸べる。その手を取って降りると、大きな宿屋が目の前に。
「おお~……」
思わずそんな声が出た。ディーンの手を離してじっと宿屋を見つめる。ササとセセも降りてきて、「大きい!」、「これはなに?」と興奮してきたように尻尾が揺れている。可愛い。ただ、町の人たちがびっくりしたようにコボルトたちを見ていた。
驚いているだけで、怯えてはいない、かな?
「ちょっと宿屋の主人に話をしてくるから、待っていてくれる?」
「わたしも行く!」
「いや、待ってて。すぐに終わるから」
そういってディーンが宿屋の中に入って行く。それから五分もしないうちに戻って来て、部屋が取れたことを教えてくれた。
「食事はどうする? 町を見て歩こうか?」
「んーと、ササとセセも一緒で大丈夫かな?」
「大丈夫だと思う。オレもバーナードも一緒だし」
それなら……、最初の町を歩いてみようかな。ユーニスも一緒に行くことになった。みんなでご飯でも食べようという話になり、それなら……とディーンとバーナードが町の広場まで案内してくれた。
こっちを見る人たちが多い中、ササとセセは町中を歩くことが滅多にないからとても嬉しそうだ。
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