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2章
119話
――って、感心している場合じゃないね!
わたしたちは顔を見合わせて、外に出た。この場所でわかることはなさそうだと感じ取ったからだ。
「……なんの手掛かりもなし、か」
「アクアを狙う人がいるってことは、これで確定したね」
帝都に居た時はそういうことなかったのにね。……と、いうことはわたしを狙った人はわたしがお茶会に行くことを知っている人になるけれど……、結構多くの人が知っているのよね。あんな風に紹介されたから、招待状が渡されていることも知っているだろうし……。
思い当たる人がいないってわけじゃないけど、さすがに時期早々な気がするし……。……でも、当たっている気がするのよねぇ……。わたしの浄化を拒絶したおじいちゃん……、な気がする……。でも、どうして? 理由がわからない。
「アクア?」
「あ、ごめん、なんでもない」
考えこんじゃった。――あのおじいちゃんとわたし、なにか繋がりがあったかなぁ、全然思い出せない……。そして、恨みを買うことをした覚えもないんだけどなぁ……。
「……とりあえず、呪術で人が死んだことで瘴気が集まってきちゃっているから、浄化するね」
「え、ここで?」
「うん、ここで」
杖を取り出して目を閉じる。この町全体を包み込むイメージを膨らませて、神へと祈りを捧げる。どうかかの地の瘴気を浄化したまえ――と。返事のように杖が温かくなった気がする。一気に浄化を終わらせると、杖をしまった。
「これでしばらくは大丈夫だと思う。遺体はちゃんと弔ってあげてね」
「は、はい……。……なんだか、空気が澄んだ気がしますね……」
「それだけ呪術は瘴気を呼び込むってことよ。魂は解放したし、浄化もしたからしばらくはこの空気が続くと思うよ」
「ありがとうございます、アクアさま」
「どういたしまして。……ユーニスたちはもう起きたかな、もう出発しようよ」
「……そうだね、すぐに出発しようか」
ディーンが眉を下げてうなずいた。……わたしが狙われたってことは、もしかしたら次があるかもしれない。そうなる前にこの町から立ち去ったほうが良いだろうと判断して、宿屋に戻る。早朝だというのに、ユーニスもササもセセも宿屋の入り口の前に立っていた。
「アクアさま!」
「……びっくりした。どうして外に居たの?」
「アクアさまたちの姿がなかったので……。ここで待っていればすれ違う可能性も低いと判断して、お待ちしておりました」
「……そっか、ありがとう」
ディーンとバーナードは休ませていた馬車を引き取りに行ったみたいだ。
「ごめんね、折角の旅なのにバタバタしちゃって」
「アクアさまのせいではありませんわ」
きっぱりとそういってくれて、なんだか胸の中が温かくなった。
ディーンとバーナードが馬車を連れて戻ってきたので、わたしたちは早速馬車に乗り込んで町から去ろうとした。すると、その前に宿屋の主人が「良ければ……」と馬車の中で食べる軽食を用意してくれた。それを「ありがとう」と受け取って、わたしたちはこの町から去った。
そして、今日は先にディーンが御者をするようで、バーナードが馬車の中にいた。
「珍しいね、バーナードが先じゃないなんて。……というか、ディーンもあなたも寝てないよね、大丈夫なの?」
「……万が一、眠りそうな時は安全っぽいところで仮眠するから平気。それと、俺が今日こっちにいるのは、ディーンに『先に御者やるね』って言われたからだ」
どうやら馬車を迎えにいっている間にそんな会話をしたみたいだ。バーナードはこれからわたしたちが向かう町や村のことを話してくれた。
「……魔物討伐隊の仕事であちこち回っていたのは理解したけど……、すごいね」
その情報量がとても多かったのだ。魔物が現れたらどんな時でも駆けつけていたみたいね。転移石があるから、それも容易かったのだろう。転移石すごいなぁ。行きは転移石、帰りは周辺の魔物たちを倒しながらある程度徒歩だったらしい。
「それが仕事だったし。あの頃と比べると月に何度も遠くに行かなくても良いから、楽っちゃ楽だな」
「……ねぇ、魔物討伐隊ってディーンの部隊以外にもいるのよね?」
「ああ、俺が第一だったから、今は第二が第一になってんじゃね?」
……騎士たちってどのくらいいるのだろう。あの町には騎士ではなく警備隊だったし。ああ、そもそも騎士って陛下に忠誠を誓うわけじゃないしな……お城の騎士ならともかく。
それぞれの領主に忠誠を誓うから、陛下は領主を通り越して命令は出来ないはず。
「……あれ? じゃあ魔物討伐隊はやっぱり陛下に忠誠を誓ったの……?」
「ビジネス騎士って感じだけどなー。まぁ、どのくらいの強さかは知っているだろうから、任せても良いって思ったんじゃねぇかな。多分」
……確かに。魔物討伐隊、信頼されていたんだろうなぁ。
「……ところで、ビジネス騎士ってなによ」
「陛下が言ったんだよ。自分に忠誠は誓わなくて良い。ただし、自分が真に守りたいと願う者に忠誠を誓えって。――だから、ディーンがお前をレディにしたんだろ」
――あれそんな意味を持っていたの!?
わたしたちは顔を見合わせて、外に出た。この場所でわかることはなさそうだと感じ取ったからだ。
「……なんの手掛かりもなし、か」
「アクアを狙う人がいるってことは、これで確定したね」
帝都に居た時はそういうことなかったのにね。……と、いうことはわたしを狙った人はわたしがお茶会に行くことを知っている人になるけれど……、結構多くの人が知っているのよね。あんな風に紹介されたから、招待状が渡されていることも知っているだろうし……。
思い当たる人がいないってわけじゃないけど、さすがに時期早々な気がするし……。……でも、当たっている気がするのよねぇ……。わたしの浄化を拒絶したおじいちゃん……、な気がする……。でも、どうして? 理由がわからない。
「アクア?」
「あ、ごめん、なんでもない」
考えこんじゃった。――あのおじいちゃんとわたし、なにか繋がりがあったかなぁ、全然思い出せない……。そして、恨みを買うことをした覚えもないんだけどなぁ……。
「……とりあえず、呪術で人が死んだことで瘴気が集まってきちゃっているから、浄化するね」
「え、ここで?」
「うん、ここで」
杖を取り出して目を閉じる。この町全体を包み込むイメージを膨らませて、神へと祈りを捧げる。どうかかの地の瘴気を浄化したまえ――と。返事のように杖が温かくなった気がする。一気に浄化を終わらせると、杖をしまった。
「これでしばらくは大丈夫だと思う。遺体はちゃんと弔ってあげてね」
「は、はい……。……なんだか、空気が澄んだ気がしますね……」
「それだけ呪術は瘴気を呼び込むってことよ。魂は解放したし、浄化もしたからしばらくはこの空気が続くと思うよ」
「ありがとうございます、アクアさま」
「どういたしまして。……ユーニスたちはもう起きたかな、もう出発しようよ」
「……そうだね、すぐに出発しようか」
ディーンが眉を下げてうなずいた。……わたしが狙われたってことは、もしかしたら次があるかもしれない。そうなる前にこの町から立ち去ったほうが良いだろうと判断して、宿屋に戻る。早朝だというのに、ユーニスもササもセセも宿屋の入り口の前に立っていた。
「アクアさま!」
「……びっくりした。どうして外に居たの?」
「アクアさまたちの姿がなかったので……。ここで待っていればすれ違う可能性も低いと判断して、お待ちしておりました」
「……そっか、ありがとう」
ディーンとバーナードは休ませていた馬車を引き取りに行ったみたいだ。
「ごめんね、折角の旅なのにバタバタしちゃって」
「アクアさまのせいではありませんわ」
きっぱりとそういってくれて、なんだか胸の中が温かくなった。
ディーンとバーナードが馬車を連れて戻ってきたので、わたしたちは早速馬車に乗り込んで町から去ろうとした。すると、その前に宿屋の主人が「良ければ……」と馬車の中で食べる軽食を用意してくれた。それを「ありがとう」と受け取って、わたしたちはこの町から去った。
そして、今日は先にディーンが御者をするようで、バーナードが馬車の中にいた。
「珍しいね、バーナードが先じゃないなんて。……というか、ディーンもあなたも寝てないよね、大丈夫なの?」
「……万が一、眠りそうな時は安全っぽいところで仮眠するから平気。それと、俺が今日こっちにいるのは、ディーンに『先に御者やるね』って言われたからだ」
どうやら馬車を迎えにいっている間にそんな会話をしたみたいだ。バーナードはこれからわたしたちが向かう町や村のことを話してくれた。
「……魔物討伐隊の仕事であちこち回っていたのは理解したけど……、すごいね」
その情報量がとても多かったのだ。魔物が現れたらどんな時でも駆けつけていたみたいね。転移石があるから、それも容易かったのだろう。転移石すごいなぁ。行きは転移石、帰りは周辺の魔物たちを倒しながらある程度徒歩だったらしい。
「それが仕事だったし。あの頃と比べると月に何度も遠くに行かなくても良いから、楽っちゃ楽だな」
「……ねぇ、魔物討伐隊ってディーンの部隊以外にもいるのよね?」
「ああ、俺が第一だったから、今は第二が第一になってんじゃね?」
……騎士たちってどのくらいいるのだろう。あの町には騎士ではなく警備隊だったし。ああ、そもそも騎士って陛下に忠誠を誓うわけじゃないしな……お城の騎士ならともかく。
それぞれの領主に忠誠を誓うから、陛下は領主を通り越して命令は出来ないはず。
「……あれ? じゃあ魔物討伐隊はやっぱり陛下に忠誠を誓ったの……?」
「ビジネス騎士って感じだけどなー。まぁ、どのくらいの強さかは知っているだろうから、任せても良いって思ったんじゃねぇかな。多分」
……確かに。魔物討伐隊、信頼されていたんだろうなぁ。
「……ところで、ビジネス騎士ってなによ」
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