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2章
121話
町の外れに一際大きな屋敷が建っていた。どうやら、目的地はそこのようだ。町の人たちは老若男女問わず、花を持っていた。一輪の花だったり、花束だったり様々だけど、みんなキラキラとした表情を浮かべていたのが印象的だった。
マクファーソン男爵の屋敷につくと、ディーンとバーナードが呼び鈴を鳴らした。すると、すぐにメイド服の女性が現れて、門を開けてくれた。
「ようこそいらっしゃいました、アクアさま、みなさま。こちらへどうぞ」
門を開けてくれたメイドについていく。辺りを見渡すと、花がたくさん植えられていた。こんなにたくさんの花を育てているのなら、きっと腕の良い庭師がいるのだろう。
「……花が気になりますか?」
「気になる、というか……。綺麗だなぁって」
「ふふ、ありがとうございます。花祭りで使う花も育てています」
「へぇ……!」
たくさんの花の中からどんな花を花祭りの花にしたのだろう。……あ、でもわたし、花のことには詳しくないんだよね……。
花々を眺めながら歩いていると、屋敷の玄関の前までついた。メイドが扉を開けて、中へ入るようにうながす。わたしたちが屋敷の中に入ると、パタンと扉が閉まった。そして――……。
「……リネットさま、ですよね?」
夫婦かな? と思う男女のうちの、女性が話し掛けてきた。わたしがうなずくと、彼女はぱぁっと表情を明るくさせた。あまりにも眩しい笑顔を向けられて、困惑した。
「こらこら、リネットさまが困っているだろう。……改めまして、ようこそ、マクファーソン家へ。歓迎いたします」
「あ、ありがとうございます。……あの、わたしのことは、どうかアクアと呼んでください」
記憶がよみがえったとはいえ、リネットよりもアクアと呼ばれていた時間のほうが長い。だからなのか、アクアと呼ばれるほうがすぐに反応出来る。マクファーソン夫妻は小さくうなずいて「かしこまりました」といってくれた。
「こちらへ。お茶会の準備は出来ております」
「は、はい……」
ふたりは、わたしがドレスを着ていないことに反応を示さなかった。聖職者のローブを着ているのを見て、どうしてここに来たのかを理解したみたいに。
スタスタと歩く夫妻の後をついていく。どうやら中庭でお茶会をするらしい。……招待状の返事をする時にコボルトも一緒に連れていきますって書いたからか、ササとセセにもちらりと視線を向けただけだった。……帝都の噂ってどこまで広がっているのかな、コボルト音楽隊のことが広がっているならその反応もまぁ、わかるのだけど。
「こちらです。娘とそのご友人も一緒ですが……」
「ありがとう。ユーニス、行こう」
「はい、アクアさま」
「ディーンたちは待っていてくれる?」
「うん、楽しんでおいで」
こくり、と首を縦に動かした。楽しめるかどうかちょっと不安でもあるのだけど、ここまで来たのだから……と自分を励ます。……知らない人の前に行くって結構勇気がいるよね……!
わたしとユーニスが談笑している女性たちのところに近付くと、ひとりの女性が立ち上がった。
「ごきげんよう、リネットさま……いえ、アクアさまとお呼びしたほうが良いでしょうか?」
「ごきげんよう、アクア、と呼んでください」
わたしが名乗ると他の女性たちも立ち上がった。全員がカーテシーをするのを見て、わたしもカーテシーをする。わたしの服装がローブなことに気付いた女性が、
「あら、ドレス姿ではありませんのね」と心底不思議そうにいわれた。
「はい。ドレス姿では動きが制限されてしまいますので……」
ドレスとハイヒールのセットは動きづらいことこの上ないからね!
「――本日は、お招きありがとうございます。みなさまと楽しいひと時を過ごせたら嬉しいです」
「まぁ、そんなに堅苦しくなくて宜しいのですよ。さぁ、座ってくださいな。わたくしはただ、アクアさまとお話しがしたかっただけですので……」
「ありがとう。そう言ってもらえると助かるわ」
急に砕けた話し方をすると、他の令嬢たちもびっくりしたように目が丸くなった。ユーニスがそれを見て、こほん、と咳払いをした。
「初めまして、私はユーニスと申します」
「ユーニスさま……、あ、リックウッド伯爵夫人ですね。お会いするのは二回目になりますわ」
「はい、アルマさま。二年前のパーティーでお会いしましたね」
二年前に一度会った人のことを覚えているの!? 忘れる自信しかないわ、わたし……。
それはともかく、椅子に座って他の人たちの様子を窺う。みんなわたしよりも年上のようだ。大人の女性の集まりって感じなのだけど、どうしてわたしに招待状をくれたのだろう。
「……その花、町民に渡されましたか?」
「はい。綺麗な花ですね」
「ありがとうございます。育てた人たちの愛情をたっぷりと受けているので、綺麗に育ったのだと思います」
嬉しそうに微笑む女性を見て、もしかしたら花祭りの日に呼んでくれたのかな、と思った。
マクファーソン男爵の屋敷につくと、ディーンとバーナードが呼び鈴を鳴らした。すると、すぐにメイド服の女性が現れて、門を開けてくれた。
「ようこそいらっしゃいました、アクアさま、みなさま。こちらへどうぞ」
門を開けてくれたメイドについていく。辺りを見渡すと、花がたくさん植えられていた。こんなにたくさんの花を育てているのなら、きっと腕の良い庭師がいるのだろう。
「……花が気になりますか?」
「気になる、というか……。綺麗だなぁって」
「ふふ、ありがとうございます。花祭りで使う花も育てています」
「へぇ……!」
たくさんの花の中からどんな花を花祭りの花にしたのだろう。……あ、でもわたし、花のことには詳しくないんだよね……。
花々を眺めながら歩いていると、屋敷の玄関の前までついた。メイドが扉を開けて、中へ入るようにうながす。わたしたちが屋敷の中に入ると、パタンと扉が閉まった。そして――……。
「……リネットさま、ですよね?」
夫婦かな? と思う男女のうちの、女性が話し掛けてきた。わたしがうなずくと、彼女はぱぁっと表情を明るくさせた。あまりにも眩しい笑顔を向けられて、困惑した。
「こらこら、リネットさまが困っているだろう。……改めまして、ようこそ、マクファーソン家へ。歓迎いたします」
「あ、ありがとうございます。……あの、わたしのことは、どうかアクアと呼んでください」
記憶がよみがえったとはいえ、リネットよりもアクアと呼ばれていた時間のほうが長い。だからなのか、アクアと呼ばれるほうがすぐに反応出来る。マクファーソン夫妻は小さくうなずいて「かしこまりました」といってくれた。
「こちらへ。お茶会の準備は出来ております」
「は、はい……」
ふたりは、わたしがドレスを着ていないことに反応を示さなかった。聖職者のローブを着ているのを見て、どうしてここに来たのかを理解したみたいに。
スタスタと歩く夫妻の後をついていく。どうやら中庭でお茶会をするらしい。……招待状の返事をする時にコボルトも一緒に連れていきますって書いたからか、ササとセセにもちらりと視線を向けただけだった。……帝都の噂ってどこまで広がっているのかな、コボルト音楽隊のことが広がっているならその反応もまぁ、わかるのだけど。
「こちらです。娘とそのご友人も一緒ですが……」
「ありがとう。ユーニス、行こう」
「はい、アクアさま」
「ディーンたちは待っていてくれる?」
「うん、楽しんでおいで」
こくり、と首を縦に動かした。楽しめるかどうかちょっと不安でもあるのだけど、ここまで来たのだから……と自分を励ます。……知らない人の前に行くって結構勇気がいるよね……!
わたしとユーニスが談笑している女性たちのところに近付くと、ひとりの女性が立ち上がった。
「ごきげんよう、リネットさま……いえ、アクアさまとお呼びしたほうが良いでしょうか?」
「ごきげんよう、アクア、と呼んでください」
わたしが名乗ると他の女性たちも立ち上がった。全員がカーテシーをするのを見て、わたしもカーテシーをする。わたしの服装がローブなことに気付いた女性が、
「あら、ドレス姿ではありませんのね」と心底不思議そうにいわれた。
「はい。ドレス姿では動きが制限されてしまいますので……」
ドレスとハイヒールのセットは動きづらいことこの上ないからね!
「――本日は、お招きありがとうございます。みなさまと楽しいひと時を過ごせたら嬉しいです」
「まぁ、そんなに堅苦しくなくて宜しいのですよ。さぁ、座ってくださいな。わたくしはただ、アクアさまとお話しがしたかっただけですので……」
「ありがとう。そう言ってもらえると助かるわ」
急に砕けた話し方をすると、他の令嬢たちもびっくりしたように目が丸くなった。ユーニスがそれを見て、こほん、と咳払いをした。
「初めまして、私はユーニスと申します」
「ユーニスさま……、あ、リックウッド伯爵夫人ですね。お会いするのは二回目になりますわ」
「はい、アルマさま。二年前のパーティーでお会いしましたね」
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それはともかく、椅子に座って他の人たちの様子を窺う。みんなわたしよりも年上のようだ。大人の女性の集まりって感じなのだけど、どうしてわたしに招待状をくれたのだろう。
「……その花、町民に渡されましたか?」
「はい。綺麗な花ですね」
「ありがとうございます。育てた人たちの愛情をたっぷりと受けているので、綺麗に育ったのだと思います」
嬉しそうに微笑む女性を見て、もしかしたら花祭りの日に呼んでくれたのかな、と思った。
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