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3章
137話
一通りの自己紹介が終わり、雑談をしているとやっぱりわたしに友好的だなぁと思う。
目をキラキラと輝かせながら、わたしの言葉に耳を傾けている。
……わたし、そんなに彼らの好感度を上げるようなことをしていたっけ……? と、内心首を傾げずにはいられない。
「そういえば、みんな若いよね……?」
「ああ、はい。聖女や聖者は年の若い人から選ばれやすいんです」
リリィがそう言った。
わたしはお茶を一口飲んでから、「そうなんだ、なにか理由があるの?」と問う。
すると、それにはザイラスが答えた。
「我々、聖者や聖女は、結婚したら神殿を出ていくことになるので……」
……うん? 結婚?
目が丸くなった、と思う。ちらっとルーカス兄さまたちを見たけれど、驚いてはいないようだった。
アルストル帝国の聖女や聖者は結婚出来るんだ、へぇ……。
でも結婚すると神殿を出ていくのか……。うーん?
「じゃあ、七人揃っていない時もあるんだ?」
「そうです! でも、結構すぐに見つかりますよ!」
そういったのはライラだ。
「神力を持つ子は結構いるんです。差はありますけれど……」
フレドリックがつけ足した。
……まあ、帝国だし、人口も多いだろうからすぐに見つかるって感じなのかな……?
それとも、神力を持っている人たちがここに集まっているとか? それならすぐに代わりの聖女や聖者が現れてもおかしくない。
「面白いねぇ……」
場所によっては全然違うのか。
アルストル帝国とダラム王国の神殿の差があって、なかなか興味深い。多分、他の国でも違ったりするんだろうなぁ。
「ああ、ここに居たのですね、皆さん」
柔らかく、穏やかな声が聞こえた。
誰だろう? と振り返ると、聖職者のローブを着たおじいさんが立っていた。彼は、私を見ると目を大きく見開き、ぽかんと口を開けて小声でこういった。
「姉さん……!?」
驚いているようだった。っていうか、姉さんって……。
「えっ?」
と彼を見るわたし。
ルーカス兄さまはちらりと彼に視線を向けると、
「久しぶりだな」
そう、声を掛けた。
「大聖女ステラの肖像画を見に来た」
さらに続けて言葉を掛けると、ハッとしたように彼がまばたきをして、それから胸元に手を当てて一度深呼吸をした。
「ルーカス陛下、ご無沙汰しております。司祭のモーリスがご挨拶いたします」
恭しく頭を下げる彼。どうやらこの人はモーリスという名前らしい。
わたしを見て、『姉さん』と口にした。
「……彼女は?」
「大聖女ステラの孫だ。よく似ているだろう?」
ちらっとこっちを見るルーカス兄さま。
わたしは立ち上がって、自己紹介をした。
「今はアクアって名乗っているの。よろしくね!」
――彼は間違いなく、わたしの本名を知っているだろう。
モーリスさんは眩しそうにわたしを見た。そして、柔らかく微笑んだ。
「……アクア、ですか。ええ、よろしくお願いします」
優しい口調でそういうと、辺りを見渡してお茶が大分減っていることを確認してから、「では、大聖女ステラの肖像画までご案内します」といったので、わたしたちは大聖女ステラの肖像画を見るために移動した。
神殿内を歩いていると、お祈りに来ている人たちがこちらを物珍しそうに見ている視線が突き刺さる。
ルーカス兄さまやディーン、バーナードというイケメン揃いだからだろうか……。
「……ステラさま……?」
「ステラさまにそっくり……」
……あ、注目集めているのわたしのほうだったみたい……。
……っていうか、そんなに似ているかなぁ。子どもの頃はあんまり気にしていなかったから……というか大聖女ステラに関する記憶も朧気だ。
たまにウィルモット家に遊びに来ていたような気はするんだけど、顔を思い出せるかというと……。
「こちらです」
モーリスさんが扉を開けて、中へ入れてくれた。
大きな肖像画だった。思わず目を奪われる。
「……わぁ……!」
大聖女ステラの肖像画を見るのは、初めてだ。
優しそうなまなざし、にっこり、ってほどではないけれど、口角の上がった穏やかな微笑み。まるで、そこに存在しているかのような……。
「これが、大聖女ステラの若い頃……!」
わたしと同じくらいの年だろうか? それとも、もっと年上?
思わず感嘆の息を吐いた。
ルーカス兄さまも懐かしそうに見つめている。
「……アクアは、大聖女ステラのことを、どのくらい覚えている?」
そう問われて記憶を探るように目を閉じた。
そして、思い出すのはお母さまが語ってくれた『優しいおばあちゃん』。
「……お母さまから聞いた話しか……。わたしの好きなお菓子を持って来てくれたってことは覚えているわ。その時、わたしは寝てたらしいけど……。……あ。今思えば一回だけ見たことあるかも……?」
わたしがそういうと、モーリスさんはどこか安堵したように、「そうですか……」と微笑んだ。
本当に一度だけ、それも、『たぶん』がつく。
お母さまに会いに来ていたのか、わたしはこっそりと覗くことしかしなかった。
でも、お母さまと『大聖女ステラ』の間には、穏やかな雰囲気が流れていた……気がする。
「きっと、姉にとってシャーリーさまと過ごす時間は、『大聖女ステラ』ではなく、ただの『ステラ』として過ごせる、貴重な時間だったのでしょう」
目をキラキラと輝かせながら、わたしの言葉に耳を傾けている。
……わたし、そんなに彼らの好感度を上げるようなことをしていたっけ……? と、内心首を傾げずにはいられない。
「そういえば、みんな若いよね……?」
「ああ、はい。聖女や聖者は年の若い人から選ばれやすいんです」
リリィがそう言った。
わたしはお茶を一口飲んでから、「そうなんだ、なにか理由があるの?」と問う。
すると、それにはザイラスが答えた。
「我々、聖者や聖女は、結婚したら神殿を出ていくことになるので……」
……うん? 結婚?
目が丸くなった、と思う。ちらっとルーカス兄さまたちを見たけれど、驚いてはいないようだった。
アルストル帝国の聖女や聖者は結婚出来るんだ、へぇ……。
でも結婚すると神殿を出ていくのか……。うーん?
「じゃあ、七人揃っていない時もあるんだ?」
「そうです! でも、結構すぐに見つかりますよ!」
そういったのはライラだ。
「神力を持つ子は結構いるんです。差はありますけれど……」
フレドリックがつけ足した。
……まあ、帝国だし、人口も多いだろうからすぐに見つかるって感じなのかな……?
それとも、神力を持っている人たちがここに集まっているとか? それならすぐに代わりの聖女や聖者が現れてもおかしくない。
「面白いねぇ……」
場所によっては全然違うのか。
アルストル帝国とダラム王国の神殿の差があって、なかなか興味深い。多分、他の国でも違ったりするんだろうなぁ。
「ああ、ここに居たのですね、皆さん」
柔らかく、穏やかな声が聞こえた。
誰だろう? と振り返ると、聖職者のローブを着たおじいさんが立っていた。彼は、私を見ると目を大きく見開き、ぽかんと口を開けて小声でこういった。
「姉さん……!?」
驚いているようだった。っていうか、姉さんって……。
「えっ?」
と彼を見るわたし。
ルーカス兄さまはちらりと彼に視線を向けると、
「久しぶりだな」
そう、声を掛けた。
「大聖女ステラの肖像画を見に来た」
さらに続けて言葉を掛けると、ハッとしたように彼がまばたきをして、それから胸元に手を当てて一度深呼吸をした。
「ルーカス陛下、ご無沙汰しております。司祭のモーリスがご挨拶いたします」
恭しく頭を下げる彼。どうやらこの人はモーリスという名前らしい。
わたしを見て、『姉さん』と口にした。
「……彼女は?」
「大聖女ステラの孫だ。よく似ているだろう?」
ちらっとこっちを見るルーカス兄さま。
わたしは立ち上がって、自己紹介をした。
「今はアクアって名乗っているの。よろしくね!」
――彼は間違いなく、わたしの本名を知っているだろう。
モーリスさんは眩しそうにわたしを見た。そして、柔らかく微笑んだ。
「……アクア、ですか。ええ、よろしくお願いします」
優しい口調でそういうと、辺りを見渡してお茶が大分減っていることを確認してから、「では、大聖女ステラの肖像画までご案内します」といったので、わたしたちは大聖女ステラの肖像画を見るために移動した。
神殿内を歩いていると、お祈りに来ている人たちがこちらを物珍しそうに見ている視線が突き刺さる。
ルーカス兄さまやディーン、バーナードというイケメン揃いだからだろうか……。
「……ステラさま……?」
「ステラさまにそっくり……」
……あ、注目集めているのわたしのほうだったみたい……。
……っていうか、そんなに似ているかなぁ。子どもの頃はあんまり気にしていなかったから……というか大聖女ステラに関する記憶も朧気だ。
たまにウィルモット家に遊びに来ていたような気はするんだけど、顔を思い出せるかというと……。
「こちらです」
モーリスさんが扉を開けて、中へ入れてくれた。
大きな肖像画だった。思わず目を奪われる。
「……わぁ……!」
大聖女ステラの肖像画を見るのは、初めてだ。
優しそうなまなざし、にっこり、ってほどではないけれど、口角の上がった穏やかな微笑み。まるで、そこに存在しているかのような……。
「これが、大聖女ステラの若い頃……!」
わたしと同じくらいの年だろうか? それとも、もっと年上?
思わず感嘆の息を吐いた。
ルーカス兄さまも懐かしそうに見つめている。
「……アクアは、大聖女ステラのことを、どのくらい覚えている?」
そう問われて記憶を探るように目を閉じた。
そして、思い出すのはお母さまが語ってくれた『優しいおばあちゃん』。
「……お母さまから聞いた話しか……。わたしの好きなお菓子を持って来てくれたってことは覚えているわ。その時、わたしは寝てたらしいけど……。……あ。今思えば一回だけ見たことあるかも……?」
わたしがそういうと、モーリスさんはどこか安堵したように、「そうですか……」と微笑んだ。
本当に一度だけ、それも、『たぶん』がつく。
お母さまに会いに来ていたのか、わたしはこっそりと覗くことしかしなかった。
でも、お母さまと『大聖女ステラ』の間には、穏やかな雰囲気が流れていた……気がする。
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