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剣術大会 べたに倉庫に閉じ込められました
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SIDE-L
近頃の悩みは――
「リリー嬢。」
週に二・三回ガブに呼び止められるのだ。
正直、黒髪長髪の見た目も好きじゃないし、クーデレタイプも好きじゃない。二重人格っぽいタイプは好きじゃないのよね。
そして、帝国嫌い。
なんですが、先月、ランチを一緒にしてしまってから、こうしてちょくちょく喋りかけられてしまってます。
ラフがガブを嫌ってるから、教室でもういてるんだろうなあ。モンパンシエに来たの失敗じゃない?
そして、会話するだけならいいんだけど、一応、まだ、王太子の婚約者だから、下手な発言はできない。先月の三國志(@KOEI)論もこの国の方針みたいに捉えられても困るし、どこを経由してかラフの耳に入ってて恥ずかしかった。
「あなたは賢い人だ。」
「・・・・・・ありがとうございます?」
「こちらが本当に聞きたいことはうまく交わしてますね。」
一応26歳の社会人ですから、高校生との駆け引きで負けるわけにはいきません。
「賢い女性は好きですよ。他人を罠にはめるような小賢しい女性は嫌いです。」
はあ。でもそれが何を、誰を指してるか分かりません。だからあまり賢くありません。
ガブとの会話はなんだか試されてるような会話なので困る。
ボロが出そうで緊張する。
今月は剣術大会のイベントがある。
優勝はオスカー(攻略対象)だ。ラフは二位になる。
主人公は競技終了後にタオルを持ってどちらかに話しかける。攻略対象としてラフを落としたいならラフにタオルを持っていかなければいけないのだ。
私はラフの活躍を見に行くことすらしない冷たい婚約者でなければならない。
はあ。馬術大会の時と同じパターンなのよね。
でも今回は主人公ミューがラフにタオルを渡せるように、私は何か策を練らなきゃいけない。
というのも、ラフが前回の私の早退を気にして、各々の侍女に来賓の接待をさせることを提案してきたからだ。
生徒会役員は上級貴族から指名されていて、来賓も上級貴族。卒業後の社交界デビュー前の顔合わせみたいなものでもある。
前回の私の仮病でその機会がなくなるのは心苦しいので、「今回はちゃんと接待できる。ラフの試合をちゃんと見に行く。」と宣言したのだ。
でも試合を見たいのは本当。
今年は最上級生だから、今までよりも、昨年よりもカッコいいんだろうなあ。
私が試合を見て、ミューがタオルを渡す方法ってないかしら?
午前中は来賓の接待。ラフは順調に勝ち残って決勝に進んでいた。
タオルを持って会場へ向かう途中、ミューと会った。
「リリー様、ちょっと来てください。」
ミューに連れられて人気のない倉庫に行く。中で物音がするらしい。
は、はーん、閉じ込める気ね。
まあ、いいか。ひっかかってやるか。
ミューにタオルを持ってもらい、倉庫を開け、中に入ると・・・・・・鍵をかけられた。
お決まり通り中から「開けて」とドアをたたく。そして、外から気配が消えたので、座りこんだ。
見たかったけど・・・・・・
ゲームの婚約者もこうして見に行けなかったのかしら。
淋しい
シナリオ通りに動くと、主人公が幸せになるに連れて、ライバルは不幸になっていくのね。
ライバルの気持ちなんて考えたこともなかった。
しかし、待てども待てども、誰も扉を開けにこない。
ちょっ、あのこ、決勝終わったら開けにきなさいよ。
あたりが暗くなる頃、やっと先生によって発見された。
よろよろと倉庫から出る。
生徒会室に荷物を取りに行き、帰ろうとしたら女性の先生が来て医務室に連れていかれた。医務室に侍女も来ていた。
閉じ込められただけだから何もないのに、打撲痕とかないかと心配された。
色々と聞かれたりもしたが、特に怪我もなく、やっと解放された。
侍女が医務室のドアが開くと、そこにラフがいた。
「殿下!お待ち下さってたのですか。申し訳ありません。」
うわあ、試合を見てないうえに長い間待たせてしまった。きっと探してもくれたのよね。申し訳ない。
ラフが馬車まで付き添ってくれた。
試合を見れなくてごめんね。
疲れてるところをごめんね。
もう、自分の浅はかさに幻滅した。
帰宅すると学園長も家まで謝罪に来て、お父様も心配で落ちつかない状態だった。
倉庫に閉じ込められただけなんだけど。
SIDE-R
今月は剣術大会のイベントがある。
群を抜いて剣術に長けたオスカーがいる。
過去5年間勝ったことがないし、授業でも彼の技術は目を見張るばかりだ。
勝てないとはわかっていても全力を尽くすのでリリには見てほしい。
前回の馬術大会では午前中にリリは来賓の接待をして体調を崩して午後、早退した。だから生徒会役員による接待の仕事は失くすよう提案した。そもそも、接待なんて侍女の仕事だろ。貴族がする必要なんてないじゃないか。
しかし、当の本人、リリが顔合わせは大事だからするべきだ、私もちゃんと体調を整える、というので継続されることになった。リリは私、王太子の婚約者なので、来た全ての来賓がリリに挨拶をしたがるだけに、誰よりも大変なのに。
どこにいるんだ。
決勝が始まる前、リリを探すが見つからない。今回はちゃんと見るって言ったじゃないか。
「殿下の勝利の女神はいらっしゃいませんねー。」
オスカーが後ろから声をかけてきた。
「見にくるって言ってたんだけどね。」
「これで私の勝ちですね。」
「私に負けるなんて思ってもないだろ。」
「いえいえ。女神様がいたら怖いですねー。」
負けるのが分かってるから見に来てくれないのかな。
よそ事を考えるのはよそう。一ポイントでも多くとるイメージを固めないと。
決勝戦に挑んだが、やはり負けてしまい2位になった。
試合場を降りたらそこにタオルをもったミュー嬢がいた。
リリはいない。
「ラファエル様、残念でしたね。でもカッコ良かったです。」
タオルを差し出されたが、
「悪いね、婚約者が持ってきてくれることになってるんだ。」
つきまとって欲しくないので婚約者がいることを強調してみた。
「このタオルはリリー様から預かりしました。殿下に渡して欲しいと。」
「リリから?」
タオルを受け取ると、たしかに肌触りよく、公爵家御用達の高級品のようだ。
「リリはどうしたの?」
「さあ?共用棟の方に行ったので、あっちに何か大事な用事でもあったんじゃないですかー。」
大事なと強調していたが、何の用だろう。生徒会の用事は他のみんなが代わってくれているはずだ。
横でミュー嬢がグチャグチャと喋りかけてきたが、「疲れてるから」と振り払った。
更衣室で着替えた後、リリを探すがやはり見つからない。ココ嬢、レニ嬢に聞いてもわからない。荷物は生徒会室に残ってる。馬車もまだある。御者も侍女も知らないという。
先生も交えて、学園内をリリを探して回った。
あたりが暗くなる頃、倉庫に閉じ込められたリリが発見された。
医務室にいるというのでそちらへ向かう。
中に入ろうとしたら診察中と止められた。
「どこかケガでもしてるのか?」
「殿下、どうか落ちついて聞いてくださいね。」
乱暴されたかもしれないので診察してる。
倉庫内でそういう行為の跡が見つかった。
リリを助け出した時に着衣の乱れはなかった。
ーーーー目の前が真っ暗になった。
私の婚約者であることは学園のみんなが知っているはず。
それなら私に恨みを持つ者の犯行か。
いや、まだ乱暴されたと決まったわけじゃない。
同じ言葉がぐるぐると頭の中を回る。
暫くして、医務室のドアが開いてリリが出てきた。
「殿下!お待ち下さってたのですか。申し訳ありません。」
リリがいつもの表情で頭を下げてきたので少しホッとした。
医師もでてきて、異常がなかったというのでそれを信じることにした。
馬車まで付き添ったが、いつもと変わったところはなく、リリは試合を見れなかったことを何度も謝罪してきた。
リリの馬車を見送った後、学園長から何もなかった安心して欲しいと何度も言われた。
学園長はこれからシャテロール公爵にお詫びと経緯の説明に行くらしい。
倉庫に閉じ込められたリリ
倉庫にあった行為の跡
リリのタオルを持ってたミュー嬢
ーーーー静かな水面に波紋を落としたつもりか?
波紋は広げない。
リリを信じる。
私の心を包んでくれた女の子を。
近頃の悩みは――
「リリー嬢。」
週に二・三回ガブに呼び止められるのだ。
正直、黒髪長髪の見た目も好きじゃないし、クーデレタイプも好きじゃない。二重人格っぽいタイプは好きじゃないのよね。
そして、帝国嫌い。
なんですが、先月、ランチを一緒にしてしまってから、こうしてちょくちょく喋りかけられてしまってます。
ラフがガブを嫌ってるから、教室でもういてるんだろうなあ。モンパンシエに来たの失敗じゃない?
そして、会話するだけならいいんだけど、一応、まだ、王太子の婚約者だから、下手な発言はできない。先月の三國志(@KOEI)論もこの国の方針みたいに捉えられても困るし、どこを経由してかラフの耳に入ってて恥ずかしかった。
「あなたは賢い人だ。」
「・・・・・・ありがとうございます?」
「こちらが本当に聞きたいことはうまく交わしてますね。」
一応26歳の社会人ですから、高校生との駆け引きで負けるわけにはいきません。
「賢い女性は好きですよ。他人を罠にはめるような小賢しい女性は嫌いです。」
はあ。でもそれが何を、誰を指してるか分かりません。だからあまり賢くありません。
ガブとの会話はなんだか試されてるような会話なので困る。
ボロが出そうで緊張する。
今月は剣術大会のイベントがある。
優勝はオスカー(攻略対象)だ。ラフは二位になる。
主人公は競技終了後にタオルを持ってどちらかに話しかける。攻略対象としてラフを落としたいならラフにタオルを持っていかなければいけないのだ。
私はラフの活躍を見に行くことすらしない冷たい婚約者でなければならない。
はあ。馬術大会の時と同じパターンなのよね。
でも今回は主人公ミューがラフにタオルを渡せるように、私は何か策を練らなきゃいけない。
というのも、ラフが前回の私の早退を気にして、各々の侍女に来賓の接待をさせることを提案してきたからだ。
生徒会役員は上級貴族から指名されていて、来賓も上級貴族。卒業後の社交界デビュー前の顔合わせみたいなものでもある。
前回の私の仮病でその機会がなくなるのは心苦しいので、「今回はちゃんと接待できる。ラフの試合をちゃんと見に行く。」と宣言したのだ。
でも試合を見たいのは本当。
今年は最上級生だから、今までよりも、昨年よりもカッコいいんだろうなあ。
私が試合を見て、ミューがタオルを渡す方法ってないかしら?
午前中は来賓の接待。ラフは順調に勝ち残って決勝に進んでいた。
タオルを持って会場へ向かう途中、ミューと会った。
「リリー様、ちょっと来てください。」
ミューに連れられて人気のない倉庫に行く。中で物音がするらしい。
は、はーん、閉じ込める気ね。
まあ、いいか。ひっかかってやるか。
ミューにタオルを持ってもらい、倉庫を開け、中に入ると・・・・・・鍵をかけられた。
お決まり通り中から「開けて」とドアをたたく。そして、外から気配が消えたので、座りこんだ。
見たかったけど・・・・・・
ゲームの婚約者もこうして見に行けなかったのかしら。
淋しい
シナリオ通りに動くと、主人公が幸せになるに連れて、ライバルは不幸になっていくのね。
ライバルの気持ちなんて考えたこともなかった。
しかし、待てども待てども、誰も扉を開けにこない。
ちょっ、あのこ、決勝終わったら開けにきなさいよ。
あたりが暗くなる頃、やっと先生によって発見された。
よろよろと倉庫から出る。
生徒会室に荷物を取りに行き、帰ろうとしたら女性の先生が来て医務室に連れていかれた。医務室に侍女も来ていた。
閉じ込められただけだから何もないのに、打撲痕とかないかと心配された。
色々と聞かれたりもしたが、特に怪我もなく、やっと解放された。
侍女が医務室のドアが開くと、そこにラフがいた。
「殿下!お待ち下さってたのですか。申し訳ありません。」
うわあ、試合を見てないうえに長い間待たせてしまった。きっと探してもくれたのよね。申し訳ない。
ラフが馬車まで付き添ってくれた。
試合を見れなくてごめんね。
疲れてるところをごめんね。
もう、自分の浅はかさに幻滅した。
帰宅すると学園長も家まで謝罪に来て、お父様も心配で落ちつかない状態だった。
倉庫に閉じ込められただけなんだけど。
SIDE-R
今月は剣術大会のイベントがある。
群を抜いて剣術に長けたオスカーがいる。
過去5年間勝ったことがないし、授業でも彼の技術は目を見張るばかりだ。
勝てないとはわかっていても全力を尽くすのでリリには見てほしい。
前回の馬術大会では午前中にリリは来賓の接待をして体調を崩して午後、早退した。だから生徒会役員による接待の仕事は失くすよう提案した。そもそも、接待なんて侍女の仕事だろ。貴族がする必要なんてないじゃないか。
しかし、当の本人、リリが顔合わせは大事だからするべきだ、私もちゃんと体調を整える、というので継続されることになった。リリは私、王太子の婚約者なので、来た全ての来賓がリリに挨拶をしたがるだけに、誰よりも大変なのに。
どこにいるんだ。
決勝が始まる前、リリを探すが見つからない。今回はちゃんと見るって言ったじゃないか。
「殿下の勝利の女神はいらっしゃいませんねー。」
オスカーが後ろから声をかけてきた。
「見にくるって言ってたんだけどね。」
「これで私の勝ちですね。」
「私に負けるなんて思ってもないだろ。」
「いえいえ。女神様がいたら怖いですねー。」
負けるのが分かってるから見に来てくれないのかな。
よそ事を考えるのはよそう。一ポイントでも多くとるイメージを固めないと。
決勝戦に挑んだが、やはり負けてしまい2位になった。
試合場を降りたらそこにタオルをもったミュー嬢がいた。
リリはいない。
「ラファエル様、残念でしたね。でもカッコ良かったです。」
タオルを差し出されたが、
「悪いね、婚約者が持ってきてくれることになってるんだ。」
つきまとって欲しくないので婚約者がいることを強調してみた。
「このタオルはリリー様から預かりしました。殿下に渡して欲しいと。」
「リリから?」
タオルを受け取ると、たしかに肌触りよく、公爵家御用達の高級品のようだ。
「リリはどうしたの?」
「さあ?共用棟の方に行ったので、あっちに何か大事な用事でもあったんじゃないですかー。」
大事なと強調していたが、何の用だろう。生徒会の用事は他のみんなが代わってくれているはずだ。
横でミュー嬢がグチャグチャと喋りかけてきたが、「疲れてるから」と振り払った。
更衣室で着替えた後、リリを探すがやはり見つからない。ココ嬢、レニ嬢に聞いてもわからない。荷物は生徒会室に残ってる。馬車もまだある。御者も侍女も知らないという。
先生も交えて、学園内をリリを探して回った。
あたりが暗くなる頃、倉庫に閉じ込められたリリが発見された。
医務室にいるというのでそちらへ向かう。
中に入ろうとしたら診察中と止められた。
「どこかケガでもしてるのか?」
「殿下、どうか落ちついて聞いてくださいね。」
乱暴されたかもしれないので診察してる。
倉庫内でそういう行為の跡が見つかった。
リリを助け出した時に着衣の乱れはなかった。
ーーーー目の前が真っ暗になった。
私の婚約者であることは学園のみんなが知っているはず。
それなら私に恨みを持つ者の犯行か。
いや、まだ乱暴されたと決まったわけじゃない。
同じ言葉がぐるぐると頭の中を回る。
暫くして、医務室のドアが開いてリリが出てきた。
「殿下!お待ち下さってたのですか。申し訳ありません。」
リリがいつもの表情で頭を下げてきたので少しホッとした。
医師もでてきて、異常がなかったというのでそれを信じることにした。
馬車まで付き添ったが、いつもと変わったところはなく、リリは試合を見れなかったことを何度も謝罪してきた。
リリの馬車を見送った後、学園長から何もなかった安心して欲しいと何度も言われた。
学園長はこれからシャテロール公爵にお詫びと経緯の説明に行くらしい。
倉庫に閉じ込められたリリ
倉庫にあった行為の跡
リリのタオルを持ってたミュー嬢
ーーーー静かな水面に波紋を落としたつもりか?
波紋は広げない。
リリを信じる。
私の心を包んでくれた女の子を。
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