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本編

第8話 赤髮を持つ貴女…③

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第8話  赤髮を持つ貴女…③

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「……一目惚れ…えぇー!!本当に?
ジンジャーさんに…」

彼女は恥ずかしそうに
顔を真っ赤に染めて
こくっと頷いた。

ジンジャーさんと初対面した際、
目を見開き、固まっていたから
最初はわからなかったけど…
なるほどね…

一目惚れなら、私も絶対
アッサムさんのように、
挙動不審になるだろうな

良かった 体調が悪いとかじゃなくて…

アッサム「………うん…まさか私
一目惚れするなんて…
しかも見た目だけで……
これじゃあ相手に失礼だよ」

うぅぅ…と彼女は唸り
顔を覆ってしまった…

表情を見せない様に顔を隠しているが、
耳が赤く染まっている

彼女は一大事なのに
その姿を見て私はなんだか可愛いなと
思ってしまった。

アッサム「オーロラさん…ごめんね 
今日は色々見苦しい姿を見せて
しまって……」

「見苦しいだなんて そんな事ないよ!
もし、私も一目惚れしたら
アッサムさんと同じ状況になるよ
ありがとう話してくれて」

アッサム「こちらこそ、聞いてくれて
ありがとう」

えへへと笑い、
手を胸にたずさえて

アッサム「そっか…この感情が恋かぁ…」

嬉しそうにポツリと呟いた。


「……いいなあ、いつか私も恋したいな
好きな人ができるなんて素敵よね
ジンジャーさんとアッサムさん
美男美女同士 お似合いのカップルだね!」

アッサム「……やっやだなオーロラさん
美男美女だとか 
たしかにジンジャー様は美男だけど
そそそれにお似合いカップルなんてっ
お世辞が上手いだから!」

やだぁ もう! 言いながら恥ずかしがり
ポンっと優しく背中を叩かれた

お世辞じゃなくて…本気でそう思ってるのに…よし……なら!!

ここは…親友の為、 この恋愛マスター(自称)
オーロラがひと肌脱ごうじゃないの!

「アッサムさん、私、協力するよ
何かできる事があれば……」

ジンジャーさんの好きなタイプや食べ物を
聞き出し、それにそって作戦を練り、
アピールすれば…

あっあれ……なんだか
表情が暗くなってる…っ
なんで?

アッサム「オーロラさん…
ありがとう…でもいいよ
見てるだけで充分…
気持ちだけ受け取るね」

……えっ?!どうしてっ
聞こえた言葉にびっくりして、
アッサムさんを見ると…

ふるふると首を横に振り

彼女は悲しそうに笑って…
こう言った。


アッサム「だって…相手は位の高い魔族よ
あと、シラトス城の従事者だっけ

なら…こんな ちっぽけな妖精…
ましてや、下働きの女なんて
相手なんかしないよ」

「アッサムさん……」

アッサム「……それに…あんなに綺麗な方だから もう…既に素敵な恋人だって…」

……たしかに…
この王国は魔族主体だから、
人間と妖精は位がとても低い

力の強さや寿命だって
はるかに魔族の方が上だ。

シラトス城の従事者となると
誰もがこぞって妻や愛人に
立候補するだろう…
魔族の金持ちご令嬢様とか 
お姫様とか

…となると きっと中には
汚いやり方で相手を蹴落とす人だって
いるだろう…

アッサムさんには
あわせたくないな…
そう言ったドロドロ愛憎劇場…

「……………」

……考えれば考えるほど、
よくない方向になってしまう

彼女の言う通り、
この恋は見ているだけで
幸せかもしれない……

でも…

「アッサムさん! ならさ
恋愛とかは抜きにして
仕事だと思ってジンジャーさん
に接したらどうかな?」

やっぱり
親友の恋愛は応援したい!

アッサム「仕事だと思って……」

「そう! アッサムさんなら
仕事の切り替えが得意でしょ
その調子で接すれば、
変に固まったりしないと思うよ」

アッサム「……うん  仕事と思って
ジンジャー様に…
まずは挨拶から挑戦してみる」

「その調子だよ アッサムさん 頑張って !」


激励の意を込めて
アッサムさんの手を掴み
ぶんぶん振っていると

…とその時、


タッ タッ タッ(足音)


ルクシ「あっいたいた おねぇーちゃん! 
坊っちゃまがお話が終わったから
アッサムさんつれて
お部屋に戻ってきてだってー」

ルクシ君が私めがけ 走り出して
ぽすんと腰あたりに抱きついた。

「ところで 2人の声が聞こえたけど
どんなお話してたの? 」

頭をこてんとさせ、
キラキラお目目を光らせる

可愛い!でも今回ばかりは
ルクシ君には話せない
少し大人な話だから…

「メイド同士の秘密のお話!
ごめんねルクシ君には内緒!」

アッサム「ごめんねルクシ君!」

アッサムさんと顔を見合わせて
2人でルクシ君に手を合わせて謝った。


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