1 / 17
1章 誕生
最後の勇姿
しおりを挟む
デートである。
…デートだよね?
よくわからないけど、恋人同士でもないけど、これはデートだ!…と思いたい。
高校が早く終わった昼下がり。
僕は幼馴染の東雲 依桜と一緒にいる。
向かう先は川沿いにできたドーナツ屋さん。最近新しくできたところだ。
ドーナツ屋を見つけてきたのは依桜ちゃんの方だ。
僕がドーナツ好きなのを知っていたから…というのもあるが、実際行きたがっていたのは依桜ちゃんの方だった。
なんというか…かっこいいくせに甘いものが好きだったり、可愛いものが好きだった。
そういうところが僕は好きだ。
そんなところを見るたびになんていうか…胸がきゅうってなる。可愛いって思う。顔が熱くなる。
…そうです。好きです。
彼女のことが大好きです。
けれど、未だに告白出来ていません。
依桜ちゃんと喋っている男子を見るたびにイライラしたり、気になったりするし、他の子が依桜ちゃんの話をすると、自分のことでもないのに顔が赤くなるし、他の男子が依桜ちゃんの話をすると複雑な気持ちになる。
そんな風にやきもきするくらいなら、告白して付き合うか、振られてこの心苦しさに踏ん切りをつけた方が楽なのだろう。
わかっている。わかっているけれど、なかなかできない。僕は簡単に告白できる度胸はないし、自分の気持ちを周りに伝わるくらい表情豊かな人じゃない…と思う。告白する度胸の前に不安が邪魔する。
振られたらどうしよう
振られたら今まで通りの関係でいられるのか
もし付き合えたとしても、今まで通りでいられるのか
そんな側から見たら馬鹿馬鹿しいと思える悩みを引きずってもう何十日いや、何ヶ月だろう。
そして今日も『告白しよう』と毎日のように心の内で思うのだった。
♢♢♢
「ねえ、どうしたの。彩くん。大丈夫?顎に手を当てて…考え事?」
あ、あはは…ごめんごめん。」
「大丈夫ならいいけど…すぐに謝るのはやめた方がいいと何度も言ってるでしょ。悪いクセ抜けてないよ。」
「あ、あはは…は…」
頭が上がらない上に図星である。
我ながら情け無いと思う。
「ダメだなあ…僕は。」
ポツリと口から思ったことが口に出た。
「そうかな?私は、そう思わないけど。」
「…なんでそう…思うの?」
「ずっと見てきたから。分かるよ。」
「…っ!」
「私はどんな時でも彩くんのこと、ずっとずっと見てたから。頑張ってきた彩くんを。これからもずっと彩くんを見てる。彩くんががどんなに変わっても、彩くんが自分を信じられなくなっても、私は彩くんのそばでずっと見続ける。」
ダメだ。
嬉しくて、顔が熱くなっているのが分かる。
一瞬で顔が赤くなったのを悟って視線を逸らした。
「?ねえ、なんで目を逸らすの?」
「な…なんでもない…!」
「嘘。何もない訳ない。」
「なんで決めつけるの!?」
「分かるに決まってんでしょ。どれだけあなたと一緒にいたと思ってるの?」
「なんでもないから!」
「嘘!絶対何かある!私何かした?それとも彩くんが何かやったの!?ねえ!」
キッと睨むように依桜ちゃんは僕を見た。目は少し潤んでいる。
どうしよう…多分いや、絶対怒ってる…
どうしよう、どうすれば…えっと、えっと、えっと…
「答えて!」
ああ!もう!!
「好きな人にそう言われたら照れるじゃんか!!」
…。
…………。
いっ…言っちゃったああああ!
どっどうしよう!
「あ、えと、これは…」
「彩くん…今の、どういう…」
「…ええと…」
もう、ここまで来たんだ…言ってしまったものは仕方ない!
「僕は依桜ちゃんが好きです…僕の彼女になってくださいっ!!!」
言った…
言ったぞ…
結果はどうであれ、後悔は無い。
ちゃんの顔が赤くなった。
そしてドギマギしながら僕に問うた。
「あ、さっ、さささ彩くん…今、すすすす好きって…。」
「はい、すっ、好きです。」
「それって告白っ…」
「はい、告白…です。」
「そ、そそうです、か…」
彼女は髪をかきあげて、スキップして僕の先を行く。
「あの…へっ返事は…!」
返事をまだ聞いていない。
待って。
そう思って彼女を追いかけて行った。
「返事は----。」
そう言いかけた時、音沙汰もなく自分の背後に何者が現れた。
『到着かぁ…しかし、ここどこだ?』
その声を聞いた瞬間、ゾクッと悪寒が走った。
それだけで、自分の後ろにいる存在が同じ人間ではないと、わかってしまった。
冷や汗がドッと吹き出した。
「ッ!なんだ…こいつ…!」
バケモノ ---
その言葉を体現したような奴が、目の前にいた。全身が真っ黒のロボットみたいで、目が一つ目でガラス玉の様に透き通っている。体躯は明らかに人間離れしている。左胸の心臓の位置には、紅い血のような色で『30』とあり、この化け物の左手は長い銃身の様になっていた。
『げっ、チキュウジンか!?クソッタレ!!』
一つ目の化け物が舌打ちをし、依桜ちゃんを目に捉えた。
僕は化け物が依桜ちゃんを目に捉えることがわかっていたかのように、気づいたら走り出していた。
そして、化け物は左手の銃口を彼女に向けた。
「依桜ちゃんっっ!!!」
僕は依桜ちゃんを突き飛ばした。
化け物の銃口の先には僕がいた。
頭の中に今までの思い出がよぎる。
全部、全部
生まれてから、今日までの思い出が
………
父さん、母さん、ごめん
パァン
………
ああ…最後に…返事、聞かせて、欲しかったなあ………
死にたくない…
死にたくない。
死にたくない、
死にたくない
死にたく
死に
し
乾いた音が木霊した時には、僕の背は既に地面についていて、視界はもう真っ暗になっていた。
空が曇り、雨が降り始めた。
…デートだよね?
よくわからないけど、恋人同士でもないけど、これはデートだ!…と思いたい。
高校が早く終わった昼下がり。
僕は幼馴染の東雲 依桜と一緒にいる。
向かう先は川沿いにできたドーナツ屋さん。最近新しくできたところだ。
ドーナツ屋を見つけてきたのは依桜ちゃんの方だ。
僕がドーナツ好きなのを知っていたから…というのもあるが、実際行きたがっていたのは依桜ちゃんの方だった。
なんというか…かっこいいくせに甘いものが好きだったり、可愛いものが好きだった。
そういうところが僕は好きだ。
そんなところを見るたびになんていうか…胸がきゅうってなる。可愛いって思う。顔が熱くなる。
…そうです。好きです。
彼女のことが大好きです。
けれど、未だに告白出来ていません。
依桜ちゃんと喋っている男子を見るたびにイライラしたり、気になったりするし、他の子が依桜ちゃんの話をすると、自分のことでもないのに顔が赤くなるし、他の男子が依桜ちゃんの話をすると複雑な気持ちになる。
そんな風にやきもきするくらいなら、告白して付き合うか、振られてこの心苦しさに踏ん切りをつけた方が楽なのだろう。
わかっている。わかっているけれど、なかなかできない。僕は簡単に告白できる度胸はないし、自分の気持ちを周りに伝わるくらい表情豊かな人じゃない…と思う。告白する度胸の前に不安が邪魔する。
振られたらどうしよう
振られたら今まで通りの関係でいられるのか
もし付き合えたとしても、今まで通りでいられるのか
そんな側から見たら馬鹿馬鹿しいと思える悩みを引きずってもう何十日いや、何ヶ月だろう。
そして今日も『告白しよう』と毎日のように心の内で思うのだった。
♢♢♢
「ねえ、どうしたの。彩くん。大丈夫?顎に手を当てて…考え事?」
あ、あはは…ごめんごめん。」
「大丈夫ならいいけど…すぐに謝るのはやめた方がいいと何度も言ってるでしょ。悪いクセ抜けてないよ。」
「あ、あはは…は…」
頭が上がらない上に図星である。
我ながら情け無いと思う。
「ダメだなあ…僕は。」
ポツリと口から思ったことが口に出た。
「そうかな?私は、そう思わないけど。」
「…なんでそう…思うの?」
「ずっと見てきたから。分かるよ。」
「…っ!」
「私はどんな時でも彩くんのこと、ずっとずっと見てたから。頑張ってきた彩くんを。これからもずっと彩くんを見てる。彩くんががどんなに変わっても、彩くんが自分を信じられなくなっても、私は彩くんのそばでずっと見続ける。」
ダメだ。
嬉しくて、顔が熱くなっているのが分かる。
一瞬で顔が赤くなったのを悟って視線を逸らした。
「?ねえ、なんで目を逸らすの?」
「な…なんでもない…!」
「嘘。何もない訳ない。」
「なんで決めつけるの!?」
「分かるに決まってんでしょ。どれだけあなたと一緒にいたと思ってるの?」
「なんでもないから!」
「嘘!絶対何かある!私何かした?それとも彩くんが何かやったの!?ねえ!」
キッと睨むように依桜ちゃんは僕を見た。目は少し潤んでいる。
どうしよう…多分いや、絶対怒ってる…
どうしよう、どうすれば…えっと、えっと、えっと…
「答えて!」
ああ!もう!!
「好きな人にそう言われたら照れるじゃんか!!」
…。
…………。
いっ…言っちゃったああああ!
どっどうしよう!
「あ、えと、これは…」
「彩くん…今の、どういう…」
「…ええと…」
もう、ここまで来たんだ…言ってしまったものは仕方ない!
「僕は依桜ちゃんが好きです…僕の彼女になってくださいっ!!!」
言った…
言ったぞ…
結果はどうであれ、後悔は無い。
ちゃんの顔が赤くなった。
そしてドギマギしながら僕に問うた。
「あ、さっ、さささ彩くん…今、すすすす好きって…。」
「はい、すっ、好きです。」
「それって告白っ…」
「はい、告白…です。」
「そ、そそうです、か…」
彼女は髪をかきあげて、スキップして僕の先を行く。
「あの…へっ返事は…!」
返事をまだ聞いていない。
待って。
そう思って彼女を追いかけて行った。
「返事は----。」
そう言いかけた時、音沙汰もなく自分の背後に何者が現れた。
『到着かぁ…しかし、ここどこだ?』
その声を聞いた瞬間、ゾクッと悪寒が走った。
それだけで、自分の後ろにいる存在が同じ人間ではないと、わかってしまった。
冷や汗がドッと吹き出した。
「ッ!なんだ…こいつ…!」
バケモノ ---
その言葉を体現したような奴が、目の前にいた。全身が真っ黒のロボットみたいで、目が一つ目でガラス玉の様に透き通っている。体躯は明らかに人間離れしている。左胸の心臓の位置には、紅い血のような色で『30』とあり、この化け物の左手は長い銃身の様になっていた。
『げっ、チキュウジンか!?クソッタレ!!』
一つ目の化け物が舌打ちをし、依桜ちゃんを目に捉えた。
僕は化け物が依桜ちゃんを目に捉えることがわかっていたかのように、気づいたら走り出していた。
そして、化け物は左手の銃口を彼女に向けた。
「依桜ちゃんっっ!!!」
僕は依桜ちゃんを突き飛ばした。
化け物の銃口の先には僕がいた。
頭の中に今までの思い出がよぎる。
全部、全部
生まれてから、今日までの思い出が
………
父さん、母さん、ごめん
パァン
………
ああ…最後に…返事、聞かせて、欲しかったなあ………
死にたくない…
死にたくない。
死にたくない、
死にたくない
死にたく
死に
し
乾いた音が木霊した時には、僕の背は既に地面についていて、視界はもう真っ暗になっていた。
空が曇り、雨が降り始めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ
鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。
それが約50年前。
聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。
英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。
俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。
でも…英雄は5人もいらないな。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる