VS Heroes -Who is justice?-

淀野 愚

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1章 誕生

8話 暴走

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なんで、なんで…なんで!

「なんで…なんで当たらないの!」

私が撃った銃弾は、あの怪人に当たるギリギリのところで銃弾よりも小さい黒い水晶の盾によって阻まれる。

「当たってよ…当たれよお!」

いくら撃っても当たる気配がない。

鎧の怪人は黒い水晶で椅子を作り、頬杖をついてこちらを見ていた。

『もう、いいよ。』

怪人がそう言うと、私の足が冷たくなっていく。
スーツを着ているけど、下半身の感覚が全くない。
黒い水晶が私の動きを封じていた。

「なに、この水晶…冷たい…!」
『むやみに触らないでよ?他の部分まで凍りついてしまって、俺が痛めつける部分が減るなんて味気ないからさ。』

これ黒い水晶じゃなくて、氷!?
だめ、全く動けない!
でも…

「まだ、手は動く…!」

…!

トリガーが引けない、凍りついてる!

『無理だよ、銃身全部凍らせたから。それはもう使えない。』
「はあ、はあ…」

…仮面の奥では嘲った表情をしているのだろうか。

「ふざけるな…怪物がああ!この氷!くそっ!くそおおお!!」
『アッハハ、無理だってば。叫んで氷がどうにかなるわけないでしょ?』

怪人は頬杖をやめ、腕を組んだ。右手の人差し指が一定のリズムを刻んでいる。

『ほんっと変わんないね、イオちゃん。昔からそうだ。自分にとっての理不尽にぶつかるとすぐ喚くぅ。』
「黙れ!そう、呼ぶな!」

私は銃を投げた。

ガキっ

その一撃は黒い氷の盾に阻まれることなく、怪人の頭に当たった。

『ハハハ…そうか、それが君のぉ…「答え」か…イオちゃん。』

「おい、東雲!」
「勝手にどこ行ってたの!」
「東雲さん…足が…」

「みんな…!」

『…』

「みんな、村主は…」
「あいつは今、身動きが取れない状態だ。」
「ごめん、みんな。あの怪人に…私は一撃も与えることができなかった…」
「きた…」
「え、」
「バズーカのチャージが溜まったッ!」

ガチャっと音を立てて王城さんがレーザーバズーカを構えてトリガーを引いた。

「今度こそ…消えろ化け物ぉぉっ!!」

大きなエネルギー弾はあいつに向かって飛んで行く。


気のせいだろうか
その時に見た鎧の兜から一筋の涙がこぼれたように見えた。

そして鎧の怪人は次の瞬間、大声で笑った。

笑った。


あの涙はきっと気のせいだろう。


♢♢♢

(ハハハ…!)
(わかったよ、わかった。)
(君が出した「答え」、俺はそれに応えるよ)

『ふん!』

黒い氷の盾であのバズーカのエネルギー弾を防いだ。

「防いだ!?」
「そ…んな……」

まだだ…このエネルギーも…

『凍りつけ!』

黒き氷がレーザーバズーカによって放たれたエネルギー弾を包み込む。
やがて、氷はより大きな塊となり、それを俺が砕いた。
すると、氷のつぶてがあいつらへと降り注ぐ。

「ぐあああああ!」
「くっ…!」
「きゃあああ!」

他の3人がイオちゃんを庇おうと必死に抵抗するけど…無理でしょ。

さて、部外者はさっさとくたばってもらおっかな。

俺は椅子から降りて地に手をついた。

そして…

『切り裂け…!』

黒い氷は地を走り、やがて3人の前で剣となり、それぞれを切り裂いた。

「ぐううああああああ!」
「がはっ…!」
「きゃああああああああ!」

ああ、最っ高!!
その叫び声もっと聞かせてくれぇ!
この力、この快感!
もう、ハハハ…!
まるで…麻薬だ…!


『アハハハハ!んニィ…ハハハハハ…!ハハ、ハ。』


ドクン


『ハ、ぐ、ギががが、、あああ…』


苦しイ…


ドクン…!



アレ…?



『グ、が、ぎガ…ああばああああ!、?』


ドクン!


『バ、、、バ…ばぎゃああああああああああああ、あああああああああああ!!!!!!!!』


『………!!!』


ジュワゥウウ…コポコポ…


『んに…にゃは、にゃはははは!!!!』

力が…溢れる…
流動する溶岩のように熱く俺の体の中で暴れまわっている…!
これはなんだ…この抑えられない力はぁッ!
どれだけ抑えようとしても、さらに強い力に染められる!

ああ、そうか!

力は抑えるものではない!
力は解放してこその力なのか!
真価を発揮することこそに…

『意味があるッ!!!』


♢♢♢


ガキキキキキキキキキキキキ


彼の鎧の身体から黒氷が四方八方へと走る。
やがてあたりは銀世界とは程遠い、世界の終わりを思わせる黒く凍てついた世界が広がった。


『んニィひひひ…』


彼を止めようとした5人の戦士も氷ついてしまった。


『もっと、もっと…この世界が俺の力でいっぱい染まりますように…!』


パキィン


『なに…』

音のした方を振り向いた。

彼の作った黒い氷壁はいとも簡単に砕かれた。

「やはりか…」

そこに立っていたのは、灰色のスーツを着たエルフのような女だった。
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