BUDDY-0-

TERRA

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夜の闇に包まれたアパートの一室。
冷たく重苦しい空気が室内を満たし、ジャドの身体はじわじわと締めつけられるように拘束されていた。
動くことは許されず、ただ息遣いだけが重く響いていた。
そんななか、ひんやりした指先が静かにジャドの前髪を撫でる。

「……っ。」
その触れられた感触に、ジャドの身体が小さく震えた。
目を細めて見れば、そこにあるのはレムの手。
柔らかく冷たい指先が、ゆっくりと額に触れる。

「火傷の痕が……。」
レムの声は低く、甘い響きを帯びているが、どこか揺るがない冷静さもあった。
「魔族の血が流れているのに、まさか洗礼を?」

額の火傷の痕が疼く。
触れられた熱と共に、ジャドは言葉を失った。
彼の胸の中には、自分を拾った人間の善意と、その人間が信じていた神への複雑な思いが渦巻いている。

ジャドの吐息が静かに漏れた。
「俺を拾った人間が神なんかを信じていたせいで、俺の人生は散々だった。」
その言葉に、レムは小さく頷くしかなかった。

そして、レムはふとジャドの胸元に目を向ける。
胸には刑事の身分証が光っていた。
「なのにも関わらず怪奇課に?」
ジャドは微かに苦笑しながら頷いた。

「同族を捕えるとは、なんと愚かな……。」
レムの指が前髪から頬へと滑り落ち、さらに首筋に触れた。
その動きはゆっくりとしており、まるで記憶をなぞるかのようだった。

「子供の頃はよく見えた。だけど昔はアレが仲間だとは思ってなかった。」
レムの指が一瞬止まり、次の言葉を促していく。

「探したいと願った頃には、もう同族の匂いすら分からなくなってしまっていた……。」
ジャドの身体が震え、口から小さな呻きが漏れる。

「……俺は、何だ?」
レムの指が耳の裏を優しく撫でる。
ゆっくりと熱を帯びて絡みつくような感触に、ジャドは意識の境界を揺らがせた。
「俺らみたいなのがいるってことは、魔界も地獄もあるんだろう?」

小さな吐息と共に、言葉が部屋に染み込んでいく。

「……っ。」
声はか細く、震えていた。動けぬままのジャドの身体はびくびくと小刻みに震え、全てを受け入れざるを得ない状況に追い込まれていた。
「俺を、そこに……。」

レムの冷たくも熱を帯びた指先が、じわりとジャドの体を這い回る。
皮膚の上を滑り、衣服の隙間へと忍び込む感触が、彼の神経を刺激してやまなかった。

「君の中の傷も痛みも、全てを僕が受け止めてあげよう。」
レムの囁きは甘く、誘惑的で、しかしその言葉には揺るがぬ覚悟があった。

ジャドの心は揺れる。
幼い頃の火傷、洗礼の意味、人間に拾われたことで背負った運命。
混沌とした感情が交錯し、胸を締め付ける。

「俺は……俺は何者なんだ。」
その問いに答えはない。
けれどレムの存在が、少しだけその虚無を埋めていた。
共に生きるべき同族としての影が、ほんの少しだけ見えたのだ。

冷たい指先がさらに深く、秘めた場所へと忍び込み、ゆっくりとした動きで刺激を増す。
ジャドは声にならない呻きを漏らし、背筋を伝う熱が身体中に広がっていく。

「っ……んんっ。」
甘い囁きに身を任せるしかなかった。
拘束され、逃げ場のない中で、ジャドは自分の奥底の闇と初めて向き合っていた。

時間はゆっくりと流れ、部屋には二人の吐息だけが満ちていた。
外の世界の喧騒は遠く離れ、ただこの場所だけが現実であった。

魔族としての血を背負いながら、人間の世界に生きる者の痛みと孤独。
そして、その痛みを共有するもう一人の存在。

それがジャドにとって、かけがえのない何かになっていく予感があった。
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