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エリートオメガ受佐美の発情
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病院の診察室を出た瞬間、受佐美総一朗は足を止め、大きく息を吐き出した。
「……はぁ。」
冷たく光る廊下の片隅で、手元の用紙を見下ろす。
そこには無情にも、またしても「未確定」という結果が記されていた。
周囲の同級生たちは次々と二次性別が確定し、アルファだ、ベータだと声を弾ませているというのに、自分だけが取り残されている気がして、胸の奥が重く沈む。
(また、か……。)
診察室のドアが閉まる音が背後で響き、受佐美は無言で歩き出した。
建物を出ると、夕方の風がひやりと頬をかすめる。
いつもなら気にも留めない空気が、今日はどこか冷たく感じられた。
自宅に戻ると、玄関の扉を開ける音が静かな家にやけに響いた。
リビングの奥から足音が近づき、すぐに弟の小太刀が顔を出す。
「兄さん、特性健診どうだった?」
その問いに、受佐美は無言のまま靴を脱ぎ、少し遅れて淡々と答えた。
「……また未確定だった。」
小太刀は一瞬だけ眉をひそめたが、すぐに無理にでも明るく笑顔を作ってみせた。
「そっか。でも、そういうのって発現時期に個人差があるし、まだこれからだよ。」
その言葉は慰めのようでもあり、どこか距離を取る響きもあった。
受佐美は黙って鞄を下ろし、ふと気になって弟に目を向ける。
「……お前は?」
問いかけると、小太刀の口元がほんの少しだけ吊り上がった。
無邪気そうな表情の奥に、一瞬だけ誇らしげな色が見え隠れする。
「あー……うん。アルファだった。」
その言葉に、胸の奥が微かにざわめいた。
言いようのない焦りと、何かを押し殺すような感情。
それを悟られないように視線を逸らし、ソファの上に置かれたスマホを指さす。
「父さんに報告しろ。きっと喜ぶ。」
「……あー、そうだね。」
小太刀はスマホを見やるものの、なぜかすぐに目を逸らして笑った。
「でもさ、俺は逆に兄さんが羨ましいけどな。未確定のままなら、抑制剤とかいらないし。……ヒートとか、いろいろ大変そうだし。」
からかうような口調。
しかしその軽さが、余計に心に引っかかった。
「……そうかもな。」
受佐美は短く答え、制服の上着を無造作に脱いでソファに投げる。
小太刀の無邪気な笑顔が視界の端に映る。
その奥にあるものを、見ないふりをしながら。
(羨ましい、か……。)
静かに胸の奥で繰り返す。
その言葉は、思いのほか鋭く胸に刺さり、ずしりと響いた。
気がつけば、手に握りしめた健診結果の紙がくしゃりと大きな音を立てていた。
紙の表面は、無意識に力が入ったせいで深く皺が寄っている。
抑えきれない感情が、冷たい紙の手触りを通して指先に伝わってきた。
静かな部屋に、その音だけがやけに響いていた。
「……はぁ。」
冷たく光る廊下の片隅で、手元の用紙を見下ろす。
そこには無情にも、またしても「未確定」という結果が記されていた。
周囲の同級生たちは次々と二次性別が確定し、アルファだ、ベータだと声を弾ませているというのに、自分だけが取り残されている気がして、胸の奥が重く沈む。
(また、か……。)
診察室のドアが閉まる音が背後で響き、受佐美は無言で歩き出した。
建物を出ると、夕方の風がひやりと頬をかすめる。
いつもなら気にも留めない空気が、今日はどこか冷たく感じられた。
自宅に戻ると、玄関の扉を開ける音が静かな家にやけに響いた。
リビングの奥から足音が近づき、すぐに弟の小太刀が顔を出す。
「兄さん、特性健診どうだった?」
その問いに、受佐美は無言のまま靴を脱ぎ、少し遅れて淡々と答えた。
「……また未確定だった。」
小太刀は一瞬だけ眉をひそめたが、すぐに無理にでも明るく笑顔を作ってみせた。
「そっか。でも、そういうのって発現時期に個人差があるし、まだこれからだよ。」
その言葉は慰めのようでもあり、どこか距離を取る響きもあった。
受佐美は黙って鞄を下ろし、ふと気になって弟に目を向ける。
「……お前は?」
問いかけると、小太刀の口元がほんの少しだけ吊り上がった。
無邪気そうな表情の奥に、一瞬だけ誇らしげな色が見え隠れする。
「あー……うん。アルファだった。」
その言葉に、胸の奥が微かにざわめいた。
言いようのない焦りと、何かを押し殺すような感情。
それを悟られないように視線を逸らし、ソファの上に置かれたスマホを指さす。
「父さんに報告しろ。きっと喜ぶ。」
「……あー、そうだね。」
小太刀はスマホを見やるものの、なぜかすぐに目を逸らして笑った。
「でもさ、俺は逆に兄さんが羨ましいけどな。未確定のままなら、抑制剤とかいらないし。……ヒートとか、いろいろ大変そうだし。」
からかうような口調。
しかしその軽さが、余計に心に引っかかった。
「……そうかもな。」
受佐美は短く答え、制服の上着を無造作に脱いでソファに投げる。
小太刀の無邪気な笑顔が視界の端に映る。
その奥にあるものを、見ないふりをしながら。
(羨ましい、か……。)
静かに胸の奥で繰り返す。
その言葉は、思いのほか鋭く胸に刺さり、ずしりと響いた。
気がつけば、手に握りしめた健診結果の紙がくしゃりと大きな音を立てていた。
紙の表面は、無意識に力が入ったせいで深く皺が寄っている。
抑えきれない感情が、冷たい紙の手触りを通して指先に伝わってきた。
静かな部屋に、その音だけがやけに響いていた。
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