エリートオメガ受佐美の秘密

TERRA

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エリートオメガ受佐美の出張

5※挿絵付

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暖房が効いた部屋の中、受佐美は無駄のない動きでノートパソコンを操作していた。
小さなタイピング音だけが、静寂の空間に規則的に響く。
客室の窓の外では、雪がしんしんと降り積もり、あたり一面が白銀の世界になっている。

攻田はというと、すでに浴衣に着替え、畳の上に大の字で寝転びながらパンフレットを眺めていた。
指でページをめくるたびに、写真に映る雪見露天風呂の美しい景色が目を引く。

「……先輩。」

声をかけると、受佐美はキーボードを叩く手を止めずに「ん?」とだけ返事をする。

「露天風呂、行きません?」

攻田は上体を起こし、パンフレットをひらひらと見せつける。

「雪の中の露天風呂とか……俺、初めてで。テンション上がっちゃうなぁ♡」

いつもの軽口で誘うが、受佐美の反応は冷静そのものだった。

「風呂なら部屋にもあるだろ。経費だからって、馬鹿高い部屋取ってるしな。」
画面から目を離さず、ぶっきらぼうにそう返す。

「……うっ。」
攻田は肩を落とすが、すぐにめげずに続けた。

「でも、露天風呂の景色がマジで最高みたいですよ?ほら、この写真……見てくださいよ。旅館の人も、お湯の温度はあっちのほうが温かいって言ってましたし。」

視線を逸らすように小さく息をついた受佐美は、しばし黙りこみ、ついには手を止めることもなく淡々と答える。
「お前は先に入ってこい。俺は仕事を片付けてから入る。」

「……そうですか。」
攻田はあからさまに残念そうな顔をして立ち上がる。
少し間を置き、気を取り直すように明るい声で言った。

「んじゃ……ちょっと館内ぶらついて、後で迎えに来ますんで。合流、しましょう?」

「……ああ。」
短い返事の後、再びキーボードがカタカタと鳴り始める。
攻田は少しだけその背中を見つめてから、ドアを開けて部屋を後にした。


館内の娯楽スペースは、古びているが味のある空間だった。
卓球台が中央に鎮座し、その脇には懐かしいアーケードゲーム機が数台。
壁際には瓶ジュースの自販機とマッサージチェアまである。
窓の外にはうっすらと積もる雪が見え、まるで昭和にタイムスリップしたかのような雰囲気だ。

攻田は最初、卓球ラケットを手にして軽く素振りをしてみたが、対戦相手がいないとどうにも張り合いがない。
肩をすくめてラケットを戻すと、自販機で缶コーヒーを買い、奥のアーケード機へと向かった。

ゲームセンターの片隅に追いやられていそうな古いゲーム。
とりあえずコインを入れ、気楽にプレイを始める。
単調な効果音と光る画面。
無心でボタンを連打しているうち、気がつけば時間があっという間に過ぎていた。

「……あ。」
攻田はスマホを取り出して時間を確認し、目を見開く。

「やべっ、結構時間経っちゃったな……。」
心なしか顔が赤らんでいるのは、暖房のせいか、それとも何か別の理由か。攻田は急いでゲームを終了させ、そそくさと部屋を後にした。

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