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エリートオメガ受佐美の受難
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しおりを挟むあのトイレで國立に半ば強引に呼び出された受佐美は、都内屈指の老舗料亭に招かれていた。
表向きは契約の席。
だが、國立の狙いはそれだけではないことを、受佐美自身が一番よくわかっていた。
奥の襖が静かに開かれ、そこにはきっちりと敷かれた布団が見える。
「……本日はありがとうございます。これで契約は成立ということで……。」
形通りに深く頭を下げる受佐美に、顧客の重役は満足げに笑みを浮かべた。
「いやぁ、國立くんには本当にいつも助けられてるよ。」
國立が横目で受佐美を見やりながら、杯をゆっくりと置く。
「契約成立かどうか……それはまだ、受佐美くんの頑張り次第ですよ。」
「……?」
受佐美がわずかに眉をひそめると、國立は楽しむように言葉を重ねる。
「そろそろ……効いてきたんじゃないですか?」
「……っ。」
心臓がひときわ強く脈打つのを感じる。
國立は無駄な言葉を足さず、ただ冷ややかに微笑む。
「本当に驚きましたよ。ここまで見事にアルファを演じきっていた事に。」
「……っ……。」
受佐美の肩がわずかに揺れる。
その様子を面白がるように、重役が國立に目を向けた。
「……國立くん、この子は……そういうことか?」
「いえ、まだです。」
國立は涼しい顔で続けた。
「でも、分かっていますからね。ここで何を選ぶべきか。自分を知られたくなければ……黙って従うしかない。」
無言で硬直する受佐美の視線が、奥に敷かれた布団へと向かう。
國立はわずかに口元を歪めた。
「……結局、誇り高く生きようとしても、抑えられない本能には勝てない。」
重役が肩をすくめて笑う。
「なるほどね。國立くん、君の嗅覚には脱帽だ。さすがだよ。」
國立は受佐美を一瞥してから立ち上がる。
「どうします?私はまだ飲んでいきますが……そちらは、もう少し楽しみたいでしょう。」
「ふっ……いいね。せっかくだし、華やかな夜にしようじゃないか。」
乾いた笑いが広がる中、受佐美は拳を震えないよう必死に押さえ込み、じっと唇をかみしめていた。
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