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日常編:ビャクヤ✕キョーヤ/霧生兄弟
誕生日
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夕方、玄関のドアを開けた瞬間、狂夜は立ち尽くした。
カーテンレールには、色とりどりの「HAPPY BIRTHDAY」の装飾が揺れていた。
「……にーちゃん、こんなの用意するタイプだったっけ?」
呟きながら、そっと部屋に足を踏み入れる。
鼻をくすぐるのは、香ばしく優しい匂い。
靴を脱ぎ、右手側のキッチンを覗くと、白夜が黙々と料理をしていた。
「ハンバーグとオムライス……?」
狂夜は思わず目を輝かせる。
今日は誕生日。
兄が、自分の好きなものを作ってくれている。
ジュウッと肉が焼ける音、ふわりと卵を巻く音。
慣れた手つきに、自然と胸が温かくなる。
狂夜はポケットにそっと手を入れた。
中には、小さな箱。
中身は、新しいボディピアス。
そっと指で箱をなぞり、ひとつ深呼吸する。
そして、席についた。
テーブルには、ごちそうが並ぶ。
香ばしいハンバーグに、とろりとしたデミグラスソース。
ふわふわのオムライスには、ケチャップでそれぞれの名前が書かれている。
「……にーちゃん、こんなの作るの珍しいな。」
白夜は無言でグラスを置き、ささやかに乾杯する。
「誕生日だからな。」
その一言に、狂夜は少しむず痒くなる。
けれど、兄の料理をひと口食べた瞬間、すべてが溶けた。
「……くそ、うめぇ……!」
笑い声がこぼれ、二人でごちそうを食べ終えた後、最後はバースデーケーキを囲む。
そして、プレゼント交換。
「ほら、これ。」
狂夜が小さな箱を差し出す。
白夜はそれを受け取り、蓋を開けた。
「……ボディピアスか。」
「新しいの、ほしいかなって。」
白夜は静かに頷く。
そして、もうひとつ、兄の手がテーブルの上に箱を置いた。
「こっちも、お前の分だ。」
狂夜は眉をひそめる。
「……は?」
箱を開けると、そこには自分のボディピアスと同じラブレットが入っていた。
「この間、風呂場の排水口にボール落としたって騒いでただろ。」
しばし沈黙。
そして──。
「……ははっ。」
同じ発想で同じプレゼントを用意したことに気づき、二人は苦笑した。
「どんだけ考えること一緒なんだよ……。」
白夜は肩をすくめ、狂夜は呆れながらも笑う。
双子たちの誕生日。
ささやかだけれど、幸せな時間が流れていく。
四畳半の部屋に、温かい灯りがそっとゆらめいていた。
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呟きながら、そっと部屋に足を踏み入れる。
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「ハンバーグとオムライス……?」
狂夜は思わず目を輝かせる。
今日は誕生日。
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ジュウッと肉が焼ける音、ふわりと卵を巻く音。
慣れた手つきに、自然と胸が温かくなる。
狂夜はポケットにそっと手を入れた。
中には、小さな箱。
中身は、新しいボディピアス。
そっと指で箱をなぞり、ひとつ深呼吸する。
そして、席についた。
テーブルには、ごちそうが並ぶ。
香ばしいハンバーグに、とろりとしたデミグラスソース。
ふわふわのオムライスには、ケチャップでそれぞれの名前が書かれている。
「……にーちゃん、こんなの作るの珍しいな。」
白夜は無言でグラスを置き、ささやかに乾杯する。
「誕生日だからな。」
その一言に、狂夜は少しむず痒くなる。
けれど、兄の料理をひと口食べた瞬間、すべてが溶けた。
「……くそ、うめぇ……!」
笑い声がこぼれ、二人でごちそうを食べ終えた後、最後はバースデーケーキを囲む。
そして、プレゼント交換。
「ほら、これ。」
狂夜が小さな箱を差し出す。
白夜はそれを受け取り、蓋を開けた。
「……ボディピアスか。」
「新しいの、ほしいかなって。」
白夜は静かに頷く。
そして、もうひとつ、兄の手がテーブルの上に箱を置いた。
「こっちも、お前の分だ。」
狂夜は眉をひそめる。
「……は?」
箱を開けると、そこには自分のボディピアスと同じラブレットが入っていた。
「この間、風呂場の排水口にボール落としたって騒いでただろ。」
しばし沈黙。
そして──。
「……ははっ。」
同じ発想で同じプレゼントを用意したことに気づき、二人は苦笑した。
「どんだけ考えること一緒なんだよ……。」
白夜は肩をすくめ、狂夜は呆れながらも笑う。
双子たちの誕生日。
ささやかだけれど、幸せな時間が流れていく。
四畳半の部屋に、温かい灯りがそっとゆらめいていた。
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