サイコくんと一緒

TERRA

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罰ゲーム

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昼休み。
眠気とだるさを引きずったまま、不破は机に突っ伏していた。
教室の空気は静かで、うっすらと日の光が差し込んでいる。
斜め隣では、いつものようにサイコくんがノートにペンを走らせていた。
カリカリ、カリカリと一定のリズムで、眉ひとつ動かさずに書き続ける姿は、すっかり見慣れた風景になっていた。

「……なあ、それ、何書いてんだよ。」
顔を上げて訊ねると、サイコはさらりと、微笑みながら答えた。
「観察記録だヨ。」
「はぁ……またかよ。」

その時だった。
サイコが席を立ち、廊下の方へと歩いていく。
ノートを机に置いたまま。
まるでここには触れないでネというメッセージのように、無造作に。

……嫌な予感がした。
ほんと、最悪の。

「おい、これ……。」
「サイコくんが何書いてんのか見てみようぜ。」
「ちょ、やめろ! 見んな!!」

止めるより早く、近くにいたクラスメイト達がサイコのノートを開いてしまった。
紙をめくる音がやけに大きく響く。
背筋に冷や汗が走った。

「不破くん、今日の眉間のしわ2本。ストレス指数61%……って、なにこれ。」
「昼に唐揚げを最後に食べる傾向あり。また、好物を最後に残すタイプ……。」
「笑顔の頻度が先週より12%増加。原因は不明(要調査)……って、これもう、好きじゃん。」

クラス中がざわついていた。
笑いと驚きと、なんかよくわからん空気に包まれて、視線が一斉に不破に集中する。
逃げたくなる気持ちをどうにか堪えていたそのとき、サイコが戻ってきた。

ノートを開かれたのを見て、サイコは一瞬だけ、目を見開いた。
揺らぐような視線。
冗談を飛ばすでもなく、笑ってごまかすでもなく。

「……ごめんネ。不快だったなら、観察、やめたほうがいい?」
その声はいつになく静かで、どこか迷いを帯びていた。
まっすぐで、誤魔化しのないトーンに、思わず言葉が詰まる。

しばらく黙って、それから、ため息をひとつ。
「……別に、やめなくていいけど。」
何言ってんだ、俺。そう自問自答する不破。
(けど、たぶん)

「……ふふ、ありがとう。」
サイコはほっとしたように笑い、ノートをそっと閉じた。

放課後。
教室がすっかり静かになった頃、サイコはひとり、自分の席に残っていた。
机にノートを広げ、ページの片隅に小さく書き込む。

不破くんが、観察してもいいと言ってくれた。心拍数。たぶん上がってた。僕のも、少しだけ。
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