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1.現実と仮想と
08_帰還
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「なんか……壮大なんだね……アンドロイドって……」
「アグレー博士は拘束され、とある条件の元、釈放……その後、秘密裏に僕たちを完成させた。 そして……この世界を開発、構築し―― 2768年の現在、再び表舞台に舞い戻ったんだ」
羽虫が、顔の前を横切った。 それを手で払いのけると、虫は突然粉々に砕けて、緑色の霧になっていった。 仮想空間と言うのはどうやら本当らしい。
それでも――露に濡れ、青々とした草の臭いや、お日様の中で爽やかに吹いた風は本物に感じられた。 目の前に見えるゼロツーも、とても好みな外見で……性格があんなにツンツンとしていなければ、お付き合いを求めてもいいほどだ。
――いや、やめておこう。 明美の視線が怖い。
「それにしても……アグレー博士って、長生きしすぎじゃないか? もしかして化け物?」
俺が住んでいた世界は確かに20××年……その博士がアンドロイドを作ったのは、約40年後……それから2768年まで、何百年もの時を生きたことになる。
「ふっ……コードネーム、レント。
……アグレー博士がどんな存在か、君が良く知っているじゃないか」
「……え?」
「博士は、君が作り上げ、君の意思を継いだアンドロイドだ」
この世界では、軌道の動きが普通より少し早いらしい。 天体はゆっくりと日陰を作り……ゼロツーの顔に影がさしかかった。
彼女の瞳の奥に光って見えたのは、確かに――アンドロイド……ロボットならではの機械的な“瞳”だった。
「俺が……作った……?」
「そうだ」
「何の、ために……?」
「さあ? それは君しか知らない事だから、自分で考えてよ」
頭の中に、リズム・アグレーという名前がよぎった。
(そうだ……リズム、は明美のゲーム名で、アグレーは……、リズムが俺を呼ぶときに付けたあだ名だ……どうりで、聞いた事がある名前だと思ったんだ)
ゼロツーがふいに、手元の機械を見つめた。 この間の警報音とは違う、機械音が何かを知らせるように鳴り響く。
――ピーピーピーピー……
こちら、コードゼロワン、コードゼロワン……ゼロツー応答せよ。
「了解、どうぞ」
――ゼロワンより、帰還用ポータル接続完了、未知の惑星……もとい、過去世界の日本より帰還します。
「幸運を祈る」
突然、少し遠くの木の陰にポータルと呼ばれるものが出現し、その中から――あの時姿を消したはずの、ゼロワンが今、俺たちの目の前に現れた。
ゼロワンの見た目はやはり……少女肌のゼロツーとは違って、機械の面影の残る女性の姿だった。
「あぁっ!ゼロワン!!蓮人!ゼロワンだよ!!」
「お前!まじであんときどこ行ってたんだよ!!訳わからないまま、こんなことになってよぉ!」
「モウシワケアリマセン、レントサマ‥‥…」
「聞き取りにくい!やり直し!」
「アァーーーッ!! 申し訳ありません、レント、様……!じつはかくかくしかじかでぇ……」
少しばかりススは付いていたが、ゼロワンには変わった様子は無いみたいだった。 俺はなんだかホッとして、胸をなでおろした。 昔のなじみに会ったみたいな付き合い方ができるアンドロイドは……多分この先もゼロワンだけだろう。
「レント様がお家を飛び出してから……まるで遮断されたように、空間が消えちゃいまして……私、ポータルを探すの必死だったんですぅ」
「いや、お前誰だよ」
「ゼロワンちゃんです、べ~だ」
何だか、明美が二人もいるような奇妙な感覚に陥った。 そもそも、ゼロワンはアンドロイドだから……明美の変な要素をインプットしたに違いない。
俺は、頭を抱え……やれやれとため息をついた。
「蓮人ぉ!ゼロワンが戻って来たのに、お帰りとかなんか行ってあげないのぉ!?」
「そうですよぉ!レント様ぁ!大変だったんですよ~!!」
「ああぁあ~うるさい!しっしっ!!」
両腕に、生身の女とアンドロイドが俺を引っ張り合っている。 それを見たゼロツーもまた、やれやれというようにため息をついていた。
「ふんっ……君はこんなのを相手にしてるの?大変だねぇ……」
誰か、助けてくれとしか言いようがない。 少女たちのすったもんだは、その後も数分間続いた。
「アグレー博士は拘束され、とある条件の元、釈放……その後、秘密裏に僕たちを完成させた。 そして……この世界を開発、構築し―― 2768年の現在、再び表舞台に舞い戻ったんだ」
羽虫が、顔の前を横切った。 それを手で払いのけると、虫は突然粉々に砕けて、緑色の霧になっていった。 仮想空間と言うのはどうやら本当らしい。
それでも――露に濡れ、青々とした草の臭いや、お日様の中で爽やかに吹いた風は本物に感じられた。 目の前に見えるゼロツーも、とても好みな外見で……性格があんなにツンツンとしていなければ、お付き合いを求めてもいいほどだ。
――いや、やめておこう。 明美の視線が怖い。
「それにしても……アグレー博士って、長生きしすぎじゃないか? もしかして化け物?」
俺が住んでいた世界は確かに20××年……その博士がアンドロイドを作ったのは、約40年後……それから2768年まで、何百年もの時を生きたことになる。
「ふっ……コードネーム、レント。
……アグレー博士がどんな存在か、君が良く知っているじゃないか」
「……え?」
「博士は、君が作り上げ、君の意思を継いだアンドロイドだ」
この世界では、軌道の動きが普通より少し早いらしい。 天体はゆっくりと日陰を作り……ゼロツーの顔に影がさしかかった。
彼女の瞳の奥に光って見えたのは、確かに――アンドロイド……ロボットならではの機械的な“瞳”だった。
「俺が……作った……?」
「そうだ」
「何の、ために……?」
「さあ? それは君しか知らない事だから、自分で考えてよ」
頭の中に、リズム・アグレーという名前がよぎった。
(そうだ……リズム、は明美のゲーム名で、アグレーは……、リズムが俺を呼ぶときに付けたあだ名だ……どうりで、聞いた事がある名前だと思ったんだ)
ゼロツーがふいに、手元の機械を見つめた。 この間の警報音とは違う、機械音が何かを知らせるように鳴り響く。
――ピーピーピーピー……
こちら、コードゼロワン、コードゼロワン……ゼロツー応答せよ。
「了解、どうぞ」
――ゼロワンより、帰還用ポータル接続完了、未知の惑星……もとい、過去世界の日本より帰還します。
「幸運を祈る」
突然、少し遠くの木の陰にポータルと呼ばれるものが出現し、その中から――あの時姿を消したはずの、ゼロワンが今、俺たちの目の前に現れた。
ゼロワンの見た目はやはり……少女肌のゼロツーとは違って、機械の面影の残る女性の姿だった。
「あぁっ!ゼロワン!!蓮人!ゼロワンだよ!!」
「お前!まじであんときどこ行ってたんだよ!!訳わからないまま、こんなことになってよぉ!」
「モウシワケアリマセン、レントサマ‥‥…」
「聞き取りにくい!やり直し!」
「アァーーーッ!! 申し訳ありません、レント、様……!じつはかくかくしかじかでぇ……」
少しばかりススは付いていたが、ゼロワンには変わった様子は無いみたいだった。 俺はなんだかホッとして、胸をなでおろした。 昔のなじみに会ったみたいな付き合い方ができるアンドロイドは……多分この先もゼロワンだけだろう。
「レント様がお家を飛び出してから……まるで遮断されたように、空間が消えちゃいまして……私、ポータルを探すの必死だったんですぅ」
「いや、お前誰だよ」
「ゼロワンちゃんです、べ~だ」
何だか、明美が二人もいるような奇妙な感覚に陥った。 そもそも、ゼロワンはアンドロイドだから……明美の変な要素をインプットしたに違いない。
俺は、頭を抱え……やれやれとため息をついた。
「蓮人ぉ!ゼロワンが戻って来たのに、お帰りとかなんか行ってあげないのぉ!?」
「そうですよぉ!レント様ぁ!大変だったんですよ~!!」
「ああぁあ~うるさい!しっしっ!!」
両腕に、生身の女とアンドロイドが俺を引っ張り合っている。 それを見たゼロツーもまた、やれやれというようにため息をついていた。
「ふんっ……君はこんなのを相手にしてるの?大変だねぇ……」
誰か、助けてくれとしか言いようがない。 少女たちのすったもんだは、その後も数分間続いた。
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