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3.終焉
26_リンク・開始
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心というものは、常に不安定で……ちょっとしたズレで、壊れてしまう事もある……その痛みは、人間であるこの俺が一番よくわかっている。 目の前で胸を押さえて苦しんでいる者の痛みが、ハッキリと伝わって来た。
「あぁあっ……この“ココロの痛み” ……寂しさ、切なさ……うぅっ……明美を早く目覚めさせてやらねば!!」
「ディスカトーテ……」
「さあ、ゼロワン!!明美のシグナルとリンクを始めろ……!!」
アグレーと呼ぶべきか、ディスカトーテと呼ぶべきなのか……俺は迷っていた。 ゆっくりと、ゼロワンが立ち上がり……棺の傍へ向かっていく。
「待て!!ゼロワン!!アケミとリンクしてはだめ!」
――彼女の瞳は、未だに点滅を繰り返している。 一足早く、正気を取り戻したのは……ゼロツーの方だった。 ゼロツーは、壁に露出したコネクターに、耳から伸ばしたコードを差し込んで、ふらつきながら立ち上がった。
「だめ、アケミが目を覚ましたら――この世界は消えるんだ。 僕たち事……全部!」
「どういう事だよ、それっ」
「僕たちは粒子。そして、ここは仮想世界――……この世界を保っている彼女が現実で目覚めれば、必然的にこの世界は終わるんだ。 だって……彼女は……もう」
薄々と感じていた……この香り。 ずっと小さい頃に親戚を見送った時に鼻をかすめた甘い香り。 肩を震わせながら泣く人たちの背中が、随分と小さくなっていくように見えていた。 その時と似た香りが……この箱の中から漂っていた。
「なあ………ここで眠っている明美は……」
「ふっ……はっはっは!!彼女は未来へ託されたのだ。 未来が追いつけぬのなら、過去から本物を用意すれば良い。さあ、ゼロワン彼女と接続せよ!」
「ハイ。 レント……様……り……りンク……開……始……コード 明美と接続します」
パチン、パチンと、何もない空間に静電気のような小さな光が目に見えるように動いていた。 ゼロワンの瞳は赤く点滅し、箱の前で膝をついて地面に座り込んでいる。
「意識信号、キャッチ……れ、蓮人……ここは何処なの? 私は……一体どうなったの?……ザザ……あぁ、ゼロ……ワン……」
「明美?……明美なのか……?でも……声が混ざってる」
まるで……未来の明美と、過去の明美が混ざり合っている。 二つの声が、ゼロワンの口が開くたびに聞こえて来た。
「く……ふふっ……さあ、もうすぐ終焉が始まる……器は意識を取り戻し、その後で……お前のココロを奪う。 そして、我が本物の藤ヶ谷蓮人となり――現実世界で、目を覚ました明美と肩を並べて生きるのだ!!」
アグレーが手を振り上げた。 その瞬間……視界は赤く染まり、目の前には警告文が張り巡らされ――気が付けば、俺の足は宙に浮いていた。
「は――……外!?」
落ちて行く。 遥か高い塔の上から、地面へ向かって垂直に風を切りながら降下していた。 ガラス越しに見えた、最上階の研究室は一気に視界から離れて行く。
「こ、このままじゃ……し、死ぬ………!!」
額から流れた冷や汗は、空へ舞い上がった。 空を切る風の音が耳を横切って、大都市の祭りのような賑やかさは、俺には届かない。 明美を救えないまま……終わってしまうのか。 俺は体制を立て直そうと何度ももがいて回転し続けていた。
「うおおお、くそおおおおーーっ!」
「おにいちゃ……わたし、助ける……!」
ガッシリと、体が何かに捉まれ、そして宙づりになった。 落下する速度は一気に緩まって……俺はそっと、地面に足を付け……緊張感からか、腰を抜かしてへたり込み、地面へどっと座り込んだ。
「うおお、ぜ、ゼロフォー!助かったぁぁ」
「ふふ……よかった、ゼロフォーお兄ちゃん助けた……」
「レント君! 大丈夫!?」
心臓がまだドキドキと鼓動を打っている。 息を整えるようにフーッと吐いて……俺は顔を上げた。 外へ偵察へ出て行った三人の少女たちが、俺の事を見下ろして、心配そうにこちらを見つめていた。
「な、なんとか生きてる……所で、ゼロワンとゼロツーは……」
「ゼロツーなら大丈夫。 自力で脱出して、ほら――そこに居るよ」
「全く……こんな事になっちゃうなんて、本当に……僕の身体を傷つけないで欲しいよね」
「ゼロツーおねえちゃ……無事…‥ゼロフォーは嬉しい大好き」
ゼロフォーは、ギュッとゼロツーに抱き着いていた。 ゼロツーもまた、少しばかり照れながら、ゼロフォーの髪をくるくると回して遊んでいた。
「あぁあっ……この“ココロの痛み” ……寂しさ、切なさ……うぅっ……明美を早く目覚めさせてやらねば!!」
「ディスカトーテ……」
「さあ、ゼロワン!!明美のシグナルとリンクを始めろ……!!」
アグレーと呼ぶべきか、ディスカトーテと呼ぶべきなのか……俺は迷っていた。 ゆっくりと、ゼロワンが立ち上がり……棺の傍へ向かっていく。
「待て!!ゼロワン!!アケミとリンクしてはだめ!」
――彼女の瞳は、未だに点滅を繰り返している。 一足早く、正気を取り戻したのは……ゼロツーの方だった。 ゼロツーは、壁に露出したコネクターに、耳から伸ばしたコードを差し込んで、ふらつきながら立ち上がった。
「だめ、アケミが目を覚ましたら――この世界は消えるんだ。 僕たち事……全部!」
「どういう事だよ、それっ」
「僕たちは粒子。そして、ここは仮想世界――……この世界を保っている彼女が現実で目覚めれば、必然的にこの世界は終わるんだ。 だって……彼女は……もう」
薄々と感じていた……この香り。 ずっと小さい頃に親戚を見送った時に鼻をかすめた甘い香り。 肩を震わせながら泣く人たちの背中が、随分と小さくなっていくように見えていた。 その時と似た香りが……この箱の中から漂っていた。
「なあ………ここで眠っている明美は……」
「ふっ……はっはっは!!彼女は未来へ託されたのだ。 未来が追いつけぬのなら、過去から本物を用意すれば良い。さあ、ゼロワン彼女と接続せよ!」
「ハイ。 レント……様……り……りンク……開……始……コード 明美と接続します」
パチン、パチンと、何もない空間に静電気のような小さな光が目に見えるように動いていた。 ゼロワンの瞳は赤く点滅し、箱の前で膝をついて地面に座り込んでいる。
「意識信号、キャッチ……れ、蓮人……ここは何処なの? 私は……一体どうなったの?……ザザ……あぁ、ゼロ……ワン……」
「明美?……明美なのか……?でも……声が混ざってる」
まるで……未来の明美と、過去の明美が混ざり合っている。 二つの声が、ゼロワンの口が開くたびに聞こえて来た。
「く……ふふっ……さあ、もうすぐ終焉が始まる……器は意識を取り戻し、その後で……お前のココロを奪う。 そして、我が本物の藤ヶ谷蓮人となり――現実世界で、目を覚ました明美と肩を並べて生きるのだ!!」
アグレーが手を振り上げた。 その瞬間……視界は赤く染まり、目の前には警告文が張り巡らされ――気が付けば、俺の足は宙に浮いていた。
「は――……外!?」
落ちて行く。 遥か高い塔の上から、地面へ向かって垂直に風を切りながら降下していた。 ガラス越しに見えた、最上階の研究室は一気に視界から離れて行く。
「こ、このままじゃ……し、死ぬ………!!」
額から流れた冷や汗は、空へ舞い上がった。 空を切る風の音が耳を横切って、大都市の祭りのような賑やかさは、俺には届かない。 明美を救えないまま……終わってしまうのか。 俺は体制を立て直そうと何度ももがいて回転し続けていた。
「うおおお、くそおおおおーーっ!」
「おにいちゃ……わたし、助ける……!」
ガッシリと、体が何かに捉まれ、そして宙づりになった。 落下する速度は一気に緩まって……俺はそっと、地面に足を付け……緊張感からか、腰を抜かしてへたり込み、地面へどっと座り込んだ。
「うおお、ぜ、ゼロフォー!助かったぁぁ」
「ふふ……よかった、ゼロフォーお兄ちゃん助けた……」
「レント君! 大丈夫!?」
心臓がまだドキドキと鼓動を打っている。 息を整えるようにフーッと吐いて……俺は顔を上げた。 外へ偵察へ出て行った三人の少女たちが、俺の事を見下ろして、心配そうにこちらを見つめていた。
「な、なんとか生きてる……所で、ゼロワンとゼロツーは……」
「ゼロツーなら大丈夫。 自力で脱出して、ほら――そこに居るよ」
「全く……こんな事になっちゃうなんて、本当に……僕の身体を傷つけないで欲しいよね」
「ゼロツーおねえちゃ……無事…‥ゼロフォーは嬉しい大好き」
ゼロフォーは、ギュッとゼロツーに抱き着いていた。 ゼロツーもまた、少しばかり照れながら、ゼロフォーの髪をくるくると回して遊んでいた。
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