ーANDROIDAー 禁忌の“ココロ” 僕らは――もうどこにも存在しない 【完結】

ゆずたこぽんず

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3.終焉

28_作戦決行

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 空を見上げると、夕暮れ時が迫っていた。 研究所の中では、時間の流れが分からなかった。 塔に上がる前には、すでに夜だったのだから……時間は既に一度日が昇り、そして再び落ちているといった所だろう。

(俺にとっての数時間は……ここでは、ほぼ一日が進んじまうのか……)

 俺は、静かにため息をついた。 まだ、塔の門の中に居て……外の警備ロボットたちは、相変わらず自分の持ち場から動かず門の目の前に立っているのが見えた。

「この塔の入り口……エラーの文字で埋め尽くされてて、正面から突破するのは難しそうだね」
「ゼロファイブ――僕もそう思った。 あの時……研究室の横にある、外へ繋がるドアのセキュリティ権限を一つだけ僕に移せたけど……ドアロックは一つじゃないんだ……もう一つのパスコードが分からない」
「そう……じゃあ、正面以外の道を探すしかないわね。ゼロフォーはどう思う?」
「ディスカトーテ……侵入経路、ぜったい……ある、はず……そこ探す……」

 俺はそっと彼女たちの会議の中へ入り込む。 地面に描かれていたのは、この塔の裏側に広がっている広大な自然区の地図だった。

「ゼロフォーの言う通りだ。 恐らく……ディスカトーテの侵入は、この自然区からと思われる」
「そうねぇ、確かにこの辺りは、都市部の外れだから警備ロボットも配備されていないし」
「でも……ここ……すぐ大きな湖……ある……泳いで渡れるのは……ゼロファイブくらい……」
「確かに!でも、この湖は凄く深いよ。 何が泳いでるかわからないし、無暗に中に入るのは危険だと思う。 さすがの私でも、ちょっと潜るのは怖いかな!」

 ゼロファイブが腕を組みながら空を見上げた。 彼女は何を考えていたのだろう……真っすぐで、活力の溢れる瞳の奥には、警戒の色を示した黄色い信号がほのかに点滅しているのが見えた。

「俺さ、さっき……このあたりかな。 地面に向かってた時、光が見えたんだ……すごく小さかったけど」

 俺は、描かれた地図の方角と、さっき見ていた方角を照らし合わせながら、一瞬だけ見えていた不思議な光の場所を指さした。

「光……?」
「あれは、確かに光だった。 何だろう……一瞬だけ見えたんだ」
「そう……その地点を空から見てみるのもありかもしれないね。 ゼロフォー偵察を頼みたい。 バッテリー残量はいくつある?」
「よ、45%……今日……いっぱい飛んだ……研究室戻らないと充電できない……」

――機械は電気で動く。 こんな当たり前の事さえ忘れさせるほど、人間らしい彼女たちの姿……それでも、目の前に立つ彼女たちはアンドロイドなのだ。 ゼロフォーは、自身の腕に付けられたリングから、今のバッテリーの残量と、どれだけ飛べるかを計算していた。

「レントを抱えて、空を飛ぶことは出来そう? 彼の目が今は頼りだよ」
「重量問題……バッテリ……早く減る……あと……少しなら飛んでも問題ないと……おもう」
「分かった。 バッテリー残量25%になったら、地上に降りて待機して。 もう一度……塔の頂上まで飛ぶ必要があるから」

 ゼロツーは冷静に、そして的確に指示を出していく。 彼女が司令塔コントロールセンターとなり、チームをまとめ続けて来た実力が、その対応の早さから見て取れた。

「ゼロフォー……了解……!」
「ゼロスリー、ゼロファイブはすぐ動けるように待機して!」
「ゼロファイブ、りょうかーい!」
「ゼロスリー、了解よ」

 ゼロフォーの背中部分が組み替えられ、小型の機械的な翼が出現した。 ゴオォと重たい空気を放つ音が聞こえると、俺の背後に立って、腹を掴みながらゆっくりと上昇を始めた。

「これより作戦を決行する。 レント、準備はいい?」
「いいぞ、いつでも……!」
「離陸開始……3.2.1……GO」
「うおおおおおおおおおおーーーっ!!」

 轟音が翼から放たれ、圧力のかかった空気を流しながら、空へ一気に飛び上がる。 そのスピードはジェットコースターのように、あっという間に塔の中央まで飛び上がった。

 あまりにも美しい景色。 夕日が、地平線に揺れ……間もなく沈んで行く。 何処へ行っても、空というものは変わらない……懐かしさと、少しの寂しさが、俺の心に沁みついた。 さっき見えたポイントは逆光で、かすかな光さえ見つけることが出来ず、キョロキョロと頭を振って探し続けた。

「バッテリー残量……38%……おにいちゃ……光、見つかる……?」
「ああ、今探してる。 ん……あ、あそこ!」
「見えた……ポイント発見……目標地点を送信します」
『了解、ありがとうゼロフォー。 なるべく近くまで飛んでほしいけど、行ける?』
「わかった……!なんとか、行ける……!」

 俺は、目標の光を見逃さないようにずっと見つめていた――が、それとは別に夕日の光に混ざって、無数の何か黒い物体がうごめきながらこちらに向かってくるのが微かに見えていた。
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