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3.終焉
29_目標地点
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最初に飛び上がった地点からは、随分と移動しているのに、見えている景色はゆっくりと流れて行く。 光の近くへ行く程……まるで虫のような羽音が、重たく耳に届く。
――ブブブブ!!
黒い物体の正体が、やっと目視できる状態になる頃には、既にそれに取り囲まれていた。
『通報あり……アンドロイダ! 発見 確保、粉砕……破壊……』
「こっ怖い……サーチ……ポリス……?」
『ゼロフォー!! 都市部のサーチポリスが誤作動を起こして集まってるみたい! 僕もそっちに向かうから……何とか巻いて!』
「ひっ……こ、怖い!やだっ!!」
重厚な羽音を響かせているサーチポリスの群衆が一気に赤く染まって行く。 中央部分が赤く光り――俺たちを排除しようと一斉に動き出した。
ゼロフォーは、怯えながらスピードを上げて飛んでいく。 無数の機械の間を軽やかにすり抜け、ぶつかり合った機械同士が絡み合い、身動きが取れずに墜落していく。 いくつかの機械は傍に近づくと自爆し、その爆風で俺たちは回転するように、地面近くまで落ちて行った。
「目標地点、近い……おにいちゃ…ここで下ろす。 レント到達ポイント送信 ……それじゃ……頑張って」
「ゼロフォー!まっ、うわっ……!」
――ドサッ
ゼロフォーは、地面すれすれで俺を掴んでいた手を離した――サーチポリスは、俺には目もくれず、アンドロイダである彼女だけを追っていった。 パワーを最大限に噴出し、旋回して飛んでいくゼロフォーの腕のリングに書れた数字は……バッテリーの残量が残り15%であることを示していた。
「レント君!!」
あっという間に、空からサーチポリスの群衆が消え去って行った。 それに続くようにして……木の陰に隠れながら、アンドロイドの三人が姿を現した。
「ゼロフォーから通信があった。 本当に……誤算だった。 まさか、僕たち“アンドロイダ”の存在を、サーチポリスが観測しただなんて!!」
「まったく……ディスカトーテの仕業に違いないわね……」
「くそ……っ!!」
俺は、感情任せに近くの木々へ思いっきり蹴りを入れた。 ゴンッという音しか聞こえない木々は、ゲームの中で飾られたオブジェクトのように、生きている感じが全くない。
「なんだ、ここ……なんか不気味だな……」
「そもそも、この辺の自然区は人が立ち入る事を想定していない。 ただ遠くに見えるだけの景観のような作りだから……」
「じゃあ、やっぱりこの木はただのオブジェクトか……」
「そうなるね。 だからこそ……身を隠すのにうってつけでもあるんだ」
俺はそっと木に触れ、そして思いっきり手で叩いてみた。 ゴンっと先ほどと同じ音がして、木は揺れもしないし、葉を落としたり、埃が舞うことも無い。 改めて、それがただのオブジェクトであることを確認した。
ふと、目線を横に移すと……山の陰が差し掛かって、真っ黒に見える巨大な湖がそこに佇んでいた。
空は既に真っ暗になって、星が輝いている。 今からこの中へ入るのはとても危険だと、誰にでもすぐわかる。
「あそこ、すごい点滅してる」
「あれが……目標地点の光で間違いなさそうだね。 ん-……仕方ない、ちちゃーっといって確認してくるよ」
ザバンと、ゼロファイブが湖に飛び込んだ。 ゼロファイブが両手両足から放出したパワーは、水面を波立たせるほどで……すごい勢いで光の元へと一直線に進んでいった。
『目標地点、到達。 何だろう、これ……見たこと無い物だ。 とりあえず体の中に格納して持って帰るね』
『了解』
しばらくして、再び水面が激しく揺れ、ゼロファイブが姿を現した。 彼女はニンマリと笑いながら、胸の中からチラチラと光るものをこちらに見せつけた。
「そ、それ……!」
「なんだかわからないけど……受け取ってくれる? そしたら、違う場所から上がるから」
俺は地面に転がって、水面まで手を伸ばす。 今立っていた地面から、水面まではかなり遠く……指先を伸ばしてやっと届く距離だった。
「も、もうちょっと……と…届け……っ!」
俺はずりずりと身を乗り出して、手を伸ばした――その時だった。 ドンッと地面が揺れ始め……気が付くと俺は……湖の中へ引きずり込まれるように落ちていった。
「がはっ………!!」
吐いた息は泡となって上がっていく。 元々、運動が苦手だった俺は、鉛のように重たい身体で、泳ぐこともできず一気に沈んで行く。 目の前にきらりと光るものが俺よりも先に沈み、岩場に引っかかった。
(あれは……ゼロファイブが持ってきた、俺の……スマホだ……)
だんだんと意識が朦朧とし始め、視界が闇に飲まれていく……それと同時に、ゆっくりと身体が浮かび上がり……水面から顔を出した。 ドンッと背中に衝撃を受け、肺にたまった水が勢いよくに外へ押し出された。
「がはっ……ゴホッ!!ゴホッ!!」
水に沈んだ俺をゼロファイブが救助し……ゼロスリーが地面の上へ引き上げたようだ。 ゼロスリーは、必死に水を吐き出させるように、背中を何度も叩いていた。
カランと音がして真横に目を向けると、岩場に引っかかっていた俺のスマホが、地面に転がっていた。
――ブブブブ!!
黒い物体の正体が、やっと目視できる状態になる頃には、既にそれに取り囲まれていた。
『通報あり……アンドロイダ! 発見 確保、粉砕……破壊……』
「こっ怖い……サーチ……ポリス……?」
『ゼロフォー!! 都市部のサーチポリスが誤作動を起こして集まってるみたい! 僕もそっちに向かうから……何とか巻いて!』
「ひっ……こ、怖い!やだっ!!」
重厚な羽音を響かせているサーチポリスの群衆が一気に赤く染まって行く。 中央部分が赤く光り――俺たちを排除しようと一斉に動き出した。
ゼロフォーは、怯えながらスピードを上げて飛んでいく。 無数の機械の間を軽やかにすり抜け、ぶつかり合った機械同士が絡み合い、身動きが取れずに墜落していく。 いくつかの機械は傍に近づくと自爆し、その爆風で俺たちは回転するように、地面近くまで落ちて行った。
「目標地点、近い……おにいちゃ…ここで下ろす。 レント到達ポイント送信 ……それじゃ……頑張って」
「ゼロフォー!まっ、うわっ……!」
――ドサッ
ゼロフォーは、地面すれすれで俺を掴んでいた手を離した――サーチポリスは、俺には目もくれず、アンドロイダである彼女だけを追っていった。 パワーを最大限に噴出し、旋回して飛んでいくゼロフォーの腕のリングに書れた数字は……バッテリーの残量が残り15%であることを示していた。
「レント君!!」
あっという間に、空からサーチポリスの群衆が消え去って行った。 それに続くようにして……木の陰に隠れながら、アンドロイドの三人が姿を現した。
「ゼロフォーから通信があった。 本当に……誤算だった。 まさか、僕たち“アンドロイダ”の存在を、サーチポリスが観測しただなんて!!」
「まったく……ディスカトーテの仕業に違いないわね……」
「くそ……っ!!」
俺は、感情任せに近くの木々へ思いっきり蹴りを入れた。 ゴンッという音しか聞こえない木々は、ゲームの中で飾られたオブジェクトのように、生きている感じが全くない。
「なんだ、ここ……なんか不気味だな……」
「そもそも、この辺の自然区は人が立ち入る事を想定していない。 ただ遠くに見えるだけの景観のような作りだから……」
「じゃあ、やっぱりこの木はただのオブジェクトか……」
「そうなるね。 だからこそ……身を隠すのにうってつけでもあるんだ」
俺はそっと木に触れ、そして思いっきり手で叩いてみた。 ゴンっと先ほどと同じ音がして、木は揺れもしないし、葉を落としたり、埃が舞うことも無い。 改めて、それがただのオブジェクトであることを確認した。
ふと、目線を横に移すと……山の陰が差し掛かって、真っ黒に見える巨大な湖がそこに佇んでいた。
空は既に真っ暗になって、星が輝いている。 今からこの中へ入るのはとても危険だと、誰にでもすぐわかる。
「あそこ、すごい点滅してる」
「あれが……目標地点の光で間違いなさそうだね。 ん-……仕方ない、ちちゃーっといって確認してくるよ」
ザバンと、ゼロファイブが湖に飛び込んだ。 ゼロファイブが両手両足から放出したパワーは、水面を波立たせるほどで……すごい勢いで光の元へと一直線に進んでいった。
『目標地点、到達。 何だろう、これ……見たこと無い物だ。 とりあえず体の中に格納して持って帰るね』
『了解』
しばらくして、再び水面が激しく揺れ、ゼロファイブが姿を現した。 彼女はニンマリと笑いながら、胸の中からチラチラと光るものをこちらに見せつけた。
「そ、それ……!」
「なんだかわからないけど……受け取ってくれる? そしたら、違う場所から上がるから」
俺は地面に転がって、水面まで手を伸ばす。 今立っていた地面から、水面まではかなり遠く……指先を伸ばしてやっと届く距離だった。
「も、もうちょっと……と…届け……っ!」
俺はずりずりと身を乗り出して、手を伸ばした――その時だった。 ドンッと地面が揺れ始め……気が付くと俺は……湖の中へ引きずり込まれるように落ちていった。
「がはっ………!!」
吐いた息は泡となって上がっていく。 元々、運動が苦手だった俺は、鉛のように重たい身体で、泳ぐこともできず一気に沈んで行く。 目の前にきらりと光るものが俺よりも先に沈み、岩場に引っかかった。
(あれは……ゼロファイブが持ってきた、俺の……スマホだ……)
だんだんと意識が朦朧とし始め、視界が闇に飲まれていく……それと同時に、ゆっくりと身体が浮かび上がり……水面から顔を出した。 ドンッと背中に衝撃を受け、肺にたまった水が勢いよくに外へ押し出された。
「がはっ……ゴホッ!!ゴホッ!!」
水に沈んだ俺をゼロファイブが救助し……ゼロスリーが地面の上へ引き上げたようだ。 ゼロスリーは、必死に水を吐き出させるように、背中を何度も叩いていた。
カランと音がして真横に目を向けると、岩場に引っかかっていた俺のスマホが、地面に転がっていた。
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