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・Day5/Chapter5 水揚げには違いない(2)

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 つぷり、と、飲み込んだその部分から、じわじわと快感の波が押し寄せてくる。鋭敏になっていたのは、この部分も同じだった。腹側を何度も探れば、ぷっくりと噴き出た箇所をすぐに見つけた。
 思わず、そこを擦った。
「あっ」
 声が洩れる。
 我慢できなくなって、肩を震わせた。腰がとろけおちてしまいそうだった。
 しかし。
「う、ううあ……」
 青年は内側から広がる快楽に歯を食いしばって、男たちのうちの一人の足元まで這っていった。
 誰か一人でもいい。
 こちらに丸め込んで陥落させてしまえば、それで、この薬は切れる。
 彼らに青年の考えていることなどお見通しなのはわかっている。けれど、彼らだって同じ性をもった人間だ。うまくやれば、こちら側に転がりこんでくれるはずだ。
 青年は、男の足元に自身を絡みつかせて誘う。
「おやおや、どうしたのかね?」
 食らいついた魚は逃さない。
 腰を落とした男にすがるように身を寄せて、彼の股間に頭を埋めた。
 そのままズボンのチャックを口先で下ろした。最初にこれを教えたのはあの男だった。
――藤滝。
 彼のことを思いだすと、急に下腹部がきゅうと収縮する。
 ぼろりと現れた醜悪なブツに青年は一瞬、眉根をひそめた。だが、それでも、意を決して、それに舌を伸ばした。
 不愉快なにおいがした。
 生理的嫌悪に押されそうになりながらも、舌を懸命に這わす。
「おっと、こりゃ可愛いことをしてくれるねえ」
 青年は、口を開けて男を迎え入れた。既に血管が浮き出ているそれだった。圧迫感に、むせそうになる。
 だが、ここで一度果てさせてしまえば、こちらのものだ。
 首を上下させ、何度も必死で吸う。中のものは爆発的に大きくなって、青年の顎がきしんだ。
 ちらりと横目で他のふたりを見れば、我慢できなくなったのか、ズボンから欲望が自己主張を見せていた。それを、先ほどさんざん青年をなかせていた彼らの腕がなぐさめている。
 青年は腕をのばした。
 左と右に、熱い幹を握り込んで、唇でも男へと奉仕を続けた。
 陥落は間近だった。
 突然、激しく、腰を打ち付けられて、むせびそうになったのだ。
 どくんと中のものが跳ねて、熱いものが喉奥へと放射された。
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