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・Day6/Chapter1 忍びて

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「あ、弥助のにぃさん、起きたのかい」
 次に廊下から現れたのは、芹那だった。彼と同じ時期にこの屋敷に連れてこられたこの少年は麗しの美貌に安堵の笑みを浮かべて、青年のもとに寄って来た。
「芹那」
「どうも。お元気? って聞きたかったけど、まだちょっと顔色悪いねえ。後遺症はあまり残らないって聞いてたけど」
「……」
 弥助は思わず彼を睨んでしまった。
「あはは、怒らない、怒らない」
「お前なあ……」
「どう、お加減は」
「……ま、まだ、中に何か入っているような、かんじ、がする」
 聞かれたのでつい素直に返してしまったが、恥じ入ってつい語尾を濁してしまう。
「あらま、かぁーいいっ。やっぱ、にぃさんはぼくがいただいちゃえばよかったかしらん」
「は? なに、言ってんだ、お前」
「まー、それはそれ、これはこれとして、明日からの業務表を貰ってきました」
 じゃじゃんと言いながら少年は懐から折りたたまれた紙を一枚青年に手渡した。
「は? なんだこれ。……って、俺……」
 それは、この屋敷で働く・・男たちの名簿とその日程が書かれたものだった。
「そーです、にぃさんの名前もちゃんと載っております」
「うげー」
「大丈夫。いいひとが相手なら、きもちくさせてもらえるよ!」
「そーいう問題じゃねえっつーの!」
「にぃさん!?」
 青年は、彼が持ってきた日程表をびりびりに破り捨てると、布団の中に戻った。
「もー、どうしたの? ふて寝? なんでぇ? これでやっと借金が少しずつ減らせるんだよぉ、ね、ねえ~?」
「うっせえ! ちょっと、どっか行ってろ!」
「ひど! あー、もう、いいもん! 本当にどっか行っちゃうからね!」
 びしゃりと扉がしめられて、少年の足音が消えた。青年はそろりと身を起こす。根間儀のまま、さっと音をたてないように廊下にでると、彼が持っている記憶をたよりに、複雑な屋敷の内部を進んでいった。
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