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・Day6/Chapter3 散らし花

97.

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「もう、充分、入りそうじゃないか」
 男の指が広がったまま、中をぐぽぐぽと生き来する。
「全部、入れてみるか?」
「アッ!」
 三本目が突入して来た。入り口の縁がもりあがって、それを迎え入れる。
「すごいな。薬指まで入った」
 青年は背筋を凍らせた。
 このまま、小指や親指まで入れるつもりか? それは無理だ。今でさえ、圧迫感が苦しい。裂けてしまう。
「や、やめてくれ」
 青年の声音が変わったのに、男は気をよくしたらしい。表情が変わった。
「次は小指だな……」
 つっと、一番短い指の先端が、青年のひくつく蕾のへりに触れる。
「ひあ、だ、だめだ……うっ!」
 一気に中の三本を抜き取ると、男は、ふたたび、ゆっくりと指先を青年のそこへと押し当てる。
 昨夜さんざんに散らされたそこは、すこしの愛撫で充血したかのように、真っ赤になって男を誘っていた。
「はあ……い、いれないでっ」
 懇願も意味なく、男は中指の先端を潜り込ませた。
「美味しそうに食べるじゃないか」
 中指の先が潜り込めば、次は、人差し指と薬指の先が、縁のぶち当たった。大きく広げられた縁がわななきながらも、ちからなく男の指を受け入れていく。
「あ……し、死んでしまうっ」
「こんなもので、死ぬものか」
 ずぶずぶと中に入り込んでいく三本の塊が途中でとまった。蕾の入口に、四本目の指先がふれた。
 だめだ、入らない。
 青年は、恐怖に逃げようとしたが、男がそれを許さなかった。引き戻されて、強引に、小指まで挿入される。
「アッ――――!!」
 縁がひきつりながらも、それを飲み込まされて、大きく広がる。小指の第一関節くらいまで、差し込むと、男は指を止めた。
「もぉ、やめて、しぬ、死んじゃうから!!」
 中は既に充溢感と圧迫感で、膨れ上がり、ぼろぼろと涙が両目からあふれ出して来る。
 このままでは、本当に親指まで差し入れられてしまうかもしれない。そしたら、間違いなく、青年のそこは、引き裂かれてて、壊れてしまう。
 青年は必死だった。
 なんとかして、この男を止めなくてはならない。
 苦しいままの状態で、青年の崩れかけた理性が、必死に回転する。
「は、あ、あの、ほしいっ」
「は?」
 青年が叫んだ。
 途端に羞恥に震えるようにして、蕾がぎゅっと収縮して、男の指を締め付けた。
「あ、あんたの……それが……、ほ……く、ください」
 消え入りそうな声だった。
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