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・地下室調教編(Day7~)

二日目 3-2

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「う……、よし、ふー……」
 なんとか、自分の身体を落ち着かせようとする青年は、とりあえず、深く息を吸い、吐く。深呼吸して、なんとか、身体をさまそうとしていた。
 しかし、奇妙なことに、彼がいかに、心臓をおだやかに、呼吸を深くして、落ち着かせようとしても、じわじわと奥から熱がやってきて、全然さめない。いや、それどころではない。だんだんと、体内から、叫びが渦のようになって、やってくる。
「……う、く、くそ……っ。この感覚、もしかして……!」
 身体をむしばんでいく、じわじわとしたこの体感に、青年は覚えがあった。
 屋敷につれてこられてから、盛られたことのある、ある薬品。心は静まろうというのに、身体が、ほてり、熱く、勝手に燃え上がって、いずれ心まで、興奮に染まっていく、あの感覚。それの導入部分に近かった。
「まさか……盛られた、のか……っ!」
 びくびくと腰が勝手に震えだす。
 媚薬といえど、用いられたものは、興奮を催すだけで、実際にそれから解放されるだけの快感をあたえてくれない。そのため、中途半端に高ぶらされた状態で、そのまま放置されているのと同じだ。
「うっ……」
 青年は、必死で腰を動かしはじめる。
 やめようと思っても、行き場のない昂ぶりと熱を放出したくて、何かにこすりつけようとして必死だ。
 だが、拘束具が、音を立てるだけで、何かに触れることもできない。
 いや、空気に触れて、自分の体温がいかに高まっているのか、それだけは、実感することができる。
「く、くそ……。あいつ……あいつめっ……」
 脳裏に、あの男・・・の顔が浮かび上がって来た。
 シャープに整った男の顔が、冷酷な光を放ちながら、こちらを見下ろして、薄い笑みを浮かべている。
 何故、いつも、こういうときに、彼のことを思い出すのだろうか。
 いや、ここで、こんなふうにして、彼自身の思うままにおのれをコントロールし、支配下に置きたいが、ためのこと――。
 青年は歯を食いしばった。
 ここで負けてはいられない。
 耐えろ。
「――っ、う、うう」
 下半身だけでも足りなくて、上半身もくねらせ始める。
 両胸に張り付いたローターの冷たい感触に、ひやりとして、身体を大きくふるわせた。
「あー……あ、ああ……っ!!」
 びくびくと、太ももが痙攣する。
 どっと、とろけた感覚が青年を襲ってきた。
 だが、それは確かに到達に似たものだったが、それだけで、高ぶる熱を解放することは出来ずに、彼は余計に、鋭敏になったそこで、己の達したい欲望と、対峙しなくてはならなくなった。
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