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・地下室調教編(Day7~)
三日目 5-4
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はっと我に返ったとき、そこは、廊下ではなかった。
視界はふさがれていて、確認することができない。
けれど、その場にいるひとたちのささやかな声が聞こえてくる。――何人いる?
ずきりと頭の奥が痛んだ。
――ここは……。
はっきりとあたまが覚醒していくにつれて、青年は、自分の肉体の「うづき」に気が付く。
熱い。
身体が熱い。
それに――後ろが。
手を伸ばそうとして、それはかなわない。
どうやら前で、両手首をひとまとめにされているらしい。金属製の冷たい感覚が手首にある。
ああ、そうだ。
彼はひと呼吸、深く息を吸った。
やっと、彼は彼を取り戻した。
ここはどこだ? 逃げたい場所だ。
自分は誰だ、自分は、自分は――。
「お待たせいたしました」
声が響き渡った。はりあげるようなその声は、聴きなれている男のものだ。青年は身を固くした。
敵。
彼にとっては最大の敵。
「これより、今宵の【宴】を開催したいと思います。それではみなさま……おっと、拍手、ありがとうございます」
ぱらぱらと、あちらこちらから、ちいさな拍手の音が聞こえてくる。
「それでは、今宵はすこし変わった趣向のものをご用意させていただきました」
まさか。
そう思った途端、視界が開けた。
目隠しがはずされたのだ。
いっきに光が入ってきて、青年は顔をしかめた。だが、明るさになれてくると部屋の様子が見えてくる。
宴会場。
そう呼ばれているフロアだった。
屋敷でのそれが何を意味しているのか――青年には既にもう痛いほどわかりきっている。
肥えた客たちがまばらに室内に入っていた。既に屋敷の若い花たちを両脇に控えさせている客もいる。
「……まったく、藤滝どのも、ひとが悪いなあ」
そう前列の客がつぶやきながら、花たちに、酒をつがせていた。
生贄。
ふと、そんな単語が浮かんだ。
いや、そんなことを考えている場合じゃない。
自分は、まさに、そのフロアの中心に据えられ、天井から垂らされている鎖に、両手首を拘束した手錠をかまされて宙に立たされているのだ。
つーっと冷たい汗が額をながれおちていった。
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