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・屋敷編
Wed-07
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「『白』って、そのままの色の白ではなくて、まあ、うんと、真っ白になるくらい、お相手との閨は全力で、という……」
「……お前なあ」
「っていうのも、あるんですけれど、『白』って、画用紙の色ですよね。上にかける絵の具の色で、どんな色にもなれてしまう」
ふっと、青年はそこで、黙り込んだ。
「相手にあわせて自身の『色』を制御すること。それから、自身の『色』を変えること」
「それは相手に言いなりになれってことか?」
噛みつくようににらみつけてきた青年が面白くて、朋華は笑いをこぼした。吹き出して笑いだした朋華に、青年は戸惑う。
「いいえ、いいえ。そういうわけではないのですよ」
面白くてしかたがないといった表情で見つめられて、青年は、後ずさりしたくなった。
「手玉にとれってことです」
「よくいう」
「これで今日の授業は終わりにしましょうか」
「え?」
「一番、重要なことをお教えいたしましたので」
「おい、そこじゃない。ちょっとまて。『今日の』って言わなかったか?」
「言いましたよ?」
「おい、これ、もしかして」
「ええ。明日も、お越しください。本気で力になりたいと思っているんです」
目の前で、微笑む、美しい男に、青年はため息をついた。
「ずいぶんと、お人よしなんだな」
「そう見えますか?」
「肝っ玉が霧散するくらい搾り取られそうだ」
「ご冗談を」
滝田め。
あの得体のしれない使用人風情が。
彼のが呼び込んだ人物は、とっても、得体がしれなくて、たまらない。
「……お前なあ」
「っていうのも、あるんですけれど、『白』って、画用紙の色ですよね。上にかける絵の具の色で、どんな色にもなれてしまう」
ふっと、青年はそこで、黙り込んだ。
「相手にあわせて自身の『色』を制御すること。それから、自身の『色』を変えること」
「それは相手に言いなりになれってことか?」
噛みつくようににらみつけてきた青年が面白くて、朋華は笑いをこぼした。吹き出して笑いだした朋華に、青年は戸惑う。
「いいえ、いいえ。そういうわけではないのですよ」
面白くてしかたがないといった表情で見つめられて、青年は、後ずさりしたくなった。
「手玉にとれってことです」
「よくいう」
「これで今日の授業は終わりにしましょうか」
「え?」
「一番、重要なことをお教えいたしましたので」
「おい、そこじゃない。ちょっとまて。『今日の』って言わなかったか?」
「言いましたよ?」
「おい、これ、もしかして」
「ええ。明日も、お越しください。本気で力になりたいと思っているんです」
目の前で、微笑む、美しい男に、青年はため息をついた。
「ずいぶんと、お人よしなんだな」
「そう見えますか?」
「肝っ玉が霧散するくらい搾り取られそうだ」
「ご冗談を」
滝田め。
あの得体のしれない使用人風情が。
彼のが呼び込んだ人物は、とっても、得体がしれなくて、たまらない。
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