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ソッドの仕草に流石に困り、エリルシアは苦笑を返事代わりにする。
「そういやリコは?」
「リコ?
リコなら家よ。
出掛けてなければ……という条件付きだけど。
本を読む予定のようだったから、多分出かけてはいないと思うわ」
「う~……そっかぁ…本かぁ…。
勉強頑張ってんなら邪魔しちゃダメだよな……残念。
用事があれば突撃しちゃうんだけど、しゃーない。今日は諦めるよ」
このソッド、エリルシアの押し掛けメイドなリコの事が、どうにも気になって仕方ないらしい。
リコ本人はソッドではなく、見てる限り後ろのファングが気にかかっているようだが、こう言う事は外野が騒いでも良い事はない。
エリルシアには不愛想なファングだが、実は巷の女性の間で結構な人気がある。
冒険者稼業に身を置いているにも拘らず、結構な美丈夫なのだ。
体格もしっかりと筋肉はついているものの、細身で威圧感が少ない所も人気の一つだろう。
赤茶色の長い髪はさらさらで、整った顔立ち。年齢を重ねるごとに色気まで出てきたのだから、まぁ当然かもしれない。
天上の王子様や公子様に比べれば、ずっと身近で手の届く可能性があるとなれば、騒ぐ女性が多いのも頷けると言うものだ。
「それじゃおいら達は行くよ。
エリー様、またねー!」
元気にぶんぶんと手を振るソッドの後ろにいたファングが、ソッドと入れ替わる様に進み出た。
何事だろうとかと、エリルシアは首を傾げる。
「あ、ぁ…っと……お嬢……その…送る」
一瞬何を言われているのかわからなかった。
だがエリルシアが意味を拾い上げる前に、ソッドが翻訳してくれる。
「はぁ? 兄貴、何言ってんすか…。
エリー様なら大丈夫だって知ってるっしょ?
おいらよりは絶対に強いんだから、家に送るなんて…兄貴がしたいだけじゃんか。
それよりホラ、探しに行かないと!
せめてあと1匹!!」
「いや、だが…お嬢…」
「はいはーい。
兄貴、気持ちはわかるんだけどさ、今はお仕事!」
よくわからない事を喚きながら、ソッドが自分より身体の大きいファングをぐいぐいと引っ張っていく。
まぁ良いコンビなのだろう。
ファングの方は冒険者として剣を握っていた頃から知っている。
出会って直ぐの頃は、随分とお子様扱いされていた。
実力が伴う様になってからは、そんな事もなくなったが、そう言えばあんなに不愛想になったのは何時頃からだろう…。
まぁ良いかと思考を中断する。
そしてもう一度湖の方に向き直った。
特に変化はない。
サワリと風が吹き抜けて、それを合図にエリルシアは歩き出した。
今日はもう少し先まで行って、周囲の様子も確認してから戻ろうと決める。
道すがら、様子を観察するが木々や地面、空気にも特に変化はない。
湖の底の異変は、疾うに成れの果て……残骸でしかないのだから、直ぐに何かあると言う訳ではないだろう。
次の観察は数日後で良いかとか考えながら地面を踏みしめた。
その次の瞬間……。
―――◎+・■▽※%$!!
訳のわからない何かが一気に頭に傾れ込んできた。
その次には身体の中から、何かが引き摺りだされるような感覚……何かが入り込んだ分、強制的に何かが放り出されるような……いや、その反対かもしれない。
判然としない感覚に、意識が絡め取られそうになる。
「!!……っく………ぁ…」
必死に意識と体勢を保とうと、歯を食いしばった。
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