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そう脳内に思い浮かべた途端、頭の中が弾けた。
【ああああああ~~~~~!!】
歓喜を含んだ叫びに、思わずギョッとして身を固くする。
【やっと言葉が通じるわ!!】
本棚に向かったエリルシアを追って来たらしい薄緑色の幼子が抱き着いてきた。
【ほんと、ずっともどかしかったんだから!】
とりあえず目の前の人外と言葉を交わす事は可能らしい。
「……で…?」
【ほぇ?】
「………で……貴方は…誰?」
盛り上がっている薄緑には申し訳ないが、当然の疑問だ。
閃いたままに声に出したが、全ては憶測で、何一つ確かな事はわかっていない。
エリルシアは眉間に皺を寄せたまま、続けて問う。
「名前がロザリーって事で良いのかしら?」
その疑問に、目の前の薄緑は何故かむぅと唸った。
【……ん~~……んんん~~~………多分…?】
「は?」
【名前とかわかんないんだってば。
わたしってそう呼ばれてたの?
でも、自分では名前とかそんなのはわかんないかな~】
ロザリーと呼ばれていた可能性は否定しないが、それを自分では認識してないと言う事だろうか……謎過ぎる。
【んと……エリルシアは何も知らない?】
話す相手の名は認識出来ているらしい。
脳内に直接話しかけてるのだから、名前を把握するのは造作もない事だっただろう。
しかし、記憶全てを覗き見る事は、もしかしたら難しいのかもしれない。エリルシアが何を知って、何を知らないのかは申告しないといけないようだ。
だが、知っている事等皆無に等しい。
偶々『合致する部分が多い?』みたいな引っかかりを覚えて思い浮かんだ…ストーリーなんてあって無きが如しの物語……というだけなのだから。
と、それをそのまま伝えると、薄緑の……えぇい…ややこしい……。
面倒この上ないので、暫定的になるかもしれないがロザリーと呼ぶ事にする。
ロザリーは『ふむ』と唸って腕組みをした。
【わたしが意識を得たのは……もしかしたら初めてかも、なの……多分。
エリルシアと上手く繋がれたから、人型を得て、意識も得たんじゃないかな~って思う。
だからこれまでは意識がない状態……っていうのも変なんだけど…こう、ぼや~っと広がってならあった気もするんだけど、ま、ぶっちゃけ記憶なんて、ないのと変わらなくて……えっと、だから本当は間違ってるのかもしれないけど、わたしがそうかなって思う事、話すね】
さっぱりわからぬ……。
個として意識がなかったと言う事だろうか?
自分と言うものがわからない、認識できない状態……まぁ環境魔素が意識を得たと言うのなら、色々な事をぼんやりと俯瞰視点でみていたとしても、まぁ……おかしくはない…?
だが、何の手掛かりもないよりはずっとマシだから、エリルシアは黙って頷いた。
【わたしは魔素…魔力の源と言うか原型が集って形を成したモノ…とでも言えば良いかな…。
で、ね…この世界…というより、この付近が顕著なだけなんだけど、魔素が停滞して、澱んで、腐っちゃいやすい場所があるの。
ここもそう】
魔素が意識を得たと言うのは外れていなかったようだ。ざっくりとその辺に散らばって存在していたものが集まって、力を得たついでに手近な人間と繋がって……はっきりとした意識を獲得した…そんな感じだろうか?
少しズレる気もするが、付喪神みたいな認識で良いかもしれない。
しかし……何だかあっさりと、聞き捨てならない事を言われた気がする。
【んん? あぁ、それいい、それ採用!
瘴気って呼ぶね】
また勝手に頭の中を覗いた様だ……。
【瘴気が増えてくると、周囲の環境から魔素を集めて綺麗にしようとするんだよね。
だから瘴気が濃い程、必要な魔素の量も増えちゃって、周囲の影響が大きくなっちゃうんだよ】
なるほど……例えるなら塩水の濃度を下げる為に大量の真水を用意しなければならないようなモノ……そういう認識で良いのだろうか?
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