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レヴァンがネデルミスに滞在していた時に付き纏い、挙句学校からも出禁を喰らったプルチェは、自身が在学中もあらゆる方面に迷惑を掛けていたようだ。
まず……ヨラナ達、年齢の近い令嬢の婚姻が難しくなった。
年齢が近いというだけで忌避される等たまったものではかったが、現実問題として婚約を打診しても断られるし、そもそも舞い込んでさえ来ない状況だったそうだ。
その為、ヨラナの友人達も殆どが国外の貴族や裕福な商家に嫁いだらしい。
他にも平民街にあるいかがわしい店に出入りしていたり、借金の噂があったり…果ては気に入らない女性を暴漢に襲わせたとか言う噂まで……枚挙に暇がない。
「だから、もし貴方達の御眼鏡に適う貴族男性が居たら、ヨラナに紹介してくれると嬉しいわ。
何なら貴方達の息子でも……って、年齢的に難しいかしらね」
肩を竦めて見せるベネティの言葉に、該当するフィミリーとパチュリーは苦い笑みを浮かべるしかない。
レヴァンとは5歳差、ラフィラスも3歳差で、どちらもヨラナより年下である。
何よりフィミリーもパチュリーも息子の想いを知っているので、他の縁談を勧める気になれない。
ラフィラスは政略を受け入れるとは言ったが、レヴァン同様、その心の内に住まわせるのはエリルシアただ一人だけなのは想像に容易い。
「……で、フィミリー?」
「!」
話が逸れたと思ってホッとしていたフィミリーに、ベネティが含みを持った声音で話しかけた。
その声音に溜息が洩れる。
白を切りとおした所で、ベネティの事だ…追及の手を緩めてくれる事はないだろう。
「………調査中…なのかもしれないわ」
歯切れが悪くなってしまったが、調査中なのは本当の事だ。
話は聞かされてはいるけれど……しかし、それもラフィラスから口外禁止を頼まれている。
何よりこの場にはレヴァンの母であるパチュリーもいるのだ。
絶対に仄めかせる事さえしてはならない。
「……そう」
ベネティの視線が鋭さを増した気がする。
だが見逃してくれるようだ。
フィミリーはそっと安堵の溜息を落とした。
マナウトを目指すラフィラス達一行は、馬を駆って順調に進み続けている。
途中馬の様子を見て休憩をとるが、朝は早いうちから、夕方は陽が沈みきる直前まで歩みを止めないようにしていた為、既にマナウトの手前の町に到着していた。
「殿下、宿が取れました。
ご案内しますので付いて来て下さい」
町に入ったのは既に陽が沈んで暫く経っていたから、宿を確保できるとは思えなかったのだが……。
「ギアルギナ卿、まさかと思うけれど強引に押さえたりはしていない?」
ラフィラスが微かに双眸を細める。
冷ややかな視線に、マーセルは手を否定にひらつかせてニッと笑った。
「まさかぁ!
そんな事しようものなら、殿下のお怒りが飛んでくるのは重々承知してますよ」
すっとぼけた物言いに、同行している他8名も笑う。
「お怒りだけで済めば良いがな」
「ほんとそれ、殿下ってば笑って地獄の訓練を課してくるし」
第2騎士団副団長であり、以前からもよくラフィラスの警護についていたヨナス・カプロンが肩を竦めると、斥候担当騎士のハモニス・ゾアナンが大袈裟に震えあがって見せる。
「いや、でも殿下の腕前は俺等じゃもう……な?」
「ほんとそれ! 俺は逃げ回って情報を持ち帰るのがお仕事で、剣の技量なんて二の次三の次だって言うのにさぁ」
斥候担当ではないが、同じく回避に長けたエベガ・キーファーが口を挟むと、やはり反応したのはハモニスだった。
第2騎士団員はなかなか仲が良さそうだし、ラフィラスの事も認めているようだ。
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