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1章 OTONAI
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しおりを挟む内心で呟いた言葉は、そっくりそのまま陽月の表情に出てしまっていたらしい。
真がへにゃりと苦笑を浮かべて肩を竦めた。
「ハルは覚えてるやろか…ほら、3組の委員長と副委員長」
真の言葉に陽月は、考え込むときの仕草で視線をそろりと泳がせる。
「………」
「……やっぱハルやわ。
えっと…せやな………委員長の方は眼鏡かけた如何にも出来過ぎ女史って感じで、副委員長の方は…ん~~~せや、爽やか脳筋って感じの奴!……思い出されへんか…んとな……あぁ!
そう!
あの『歯が命!!』とかってCМに出てきそうな奴!」
再び陽月は視線を泳がせるが、何か引っかかるものがあったのだろう。
『あぁ』と呟いて視線を真に戻した。
「思い出せた?」
「えぇ。
委員長の方は確か井前さん。
副委員長は松代さんでしたね」
真はポカンと陽月を見つめる。
「ハルさぁ…基本的に記憶力ええのに、なんでダイレクトに顔と名前が一致せぇへんの?
ほんま不思議やわ」
陽月も気にしてるのか、少々バツが悪そうだ。
「ま、ええけど。
んでな、その二人が今度結婚するんやて。
そんなら折角やし皆で集まらへん?…ってな話になったらしいんや」
「なるほど」
だが、正直に言うと会って何か話したいとか、そういう感覚は陽月には湧き起らない。
後ろの席だった真とはそれなりに関与があった…かもしれないが、井前や松代とは必要最低限の接触しかなかったと記憶している。
いや、それは井前や松代に限った話ではなかったし、実の所…目の前に座る則岡真とも、単に席が前後だったというだけで、仲が良かったとかでは決してない。
「そういうお話でしたら……。
此処まで出向いて頂いて大変申し訳ないのですが、私は辞退させて頂こうと思います」
「えぇ!!??
なんでなん??
せや、ハルは覚えてるかなぁ…地蔵センセ。
担任やった地蔵こと新居見センセも来る言う話なんやって」
2年3組の担任だった、好々爺を絵に描いたような人物だったように思うが……やはり最低限の関係性でしかない。
無表情に首を振る陽月に、真があからさまに眉尻を下げた。
それから何度か酸欠の金魚の様に、何度も口を開いては閉じるを繰り返す。
陽月はそんな様子を見ながら、内心では『そろそろ帰ってくれないかな』とか思い始めた。
薄情に思われるかもしれないが、相手は兎も角、陽月自身はその程度の中だとしか認識していない。
いい加減言葉にしないといけないかと思い、陽月が口を開こうとした瞬間、真がガバリとテーブルに両手をついて頭を下げた。
「頼む!
ハルにはすんごい悪い思う。
せやけど、頼むから同窓会参加してくれへんやろか!!」
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