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3章 YOBIMIZU
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しおりを挟む続いて発見場所についても話を聞いておこうと口を開きかけた所で、店主が紅茶とコーヒーを運んできた。
馨しい芳香が広がる。
話の中休みには丁度良いタイミングだ。
全員がカップを傾け、喉を潤したのを見計らい、陽月は先を続ける事にする。
「発見場所についても話を伺っておきたいのですが」
「あ……あぁ、うん。
えっと山の中って言ってたけど、鷹峰は覚えてる?
ほら中学の最寄り駅。その反対側をずっと行くと山があったでしょ?
まぁ、あっち側はそこかしに小山とかあったけど……。
えっと、その中で中腹くらいに大きな池があった山なんだけど、覚えてない?」
言われてみればあったかもしれないが……わからない。
確かに地元ではあるが、陽月も駅から見ると中学校側の地域に自宅があり、元より引き籠りだったので、駅の反対側にまで足を延ばした事はないのだ。
「あぁ、そう言えばあったなぁ。
つっか、あっち側だけやのうて、あの辺は全体的に緑が多いもんなぁ……そっか、案外近場に居ったんやなぁ……」
呟いたのは松代で、妙に場の空気がしんみりとする。
松代は中学1年の時、林田とは同じ1組だったらしいが、実はそれほど接点はなかったようだ。この場に居る主な理由というのも、婚約者である井前の付き添いで、これと言った情報も持っていないと話す。
とは言え、月佳からの情報によれば7月29日当日に、松代は登校していた可能性があるので、それについては後で聞こうと思う。
今は発見場所について、集中して話を聞くとする。
「ほんとにね……あんな場所にカオリを一人ぼっちにしてたなんて…たまんないわよ…」
色々な感情が綯い交ぜになっているのだろう…行木が吐き捨てるように呟いた。
「……ごめん、まだ感情が不安定みたい…。
で、えっと……発見場所の話だったわよね。
その山、結構子供達の遠足とか、市民のハイキングなんかで人の出入りはあるんだそうよ。尤も少なくはないけど、多くもないって感じらしいわ。
その入り口とは反対の…ハイキング道とかも全然なくなった所で見つかったって…」
そこで陽月は怪訝そうに眉を顰める。
そんな人通りもないような場所で、どうして発見に至れたのだろう?
「人の出入りも多くない、しかも反対側ですか……どうして発見するに至ったのかは聞いていますか?」
「犬の散歩をしていた人が居たらしいんです。
その犬が急に藪の中に入っていて、それで見つけたって…」
行木に代わって穂乃花が説明してくれるが、陽月には現場の状況がさっぱり想像出来ない。
地図を持って来るべきだったかと、酷く後悔した。
そこに井前が助け舟を出す。
「えっと…わかり難いわよね…。
山の反対側って言っても、車道が通ってるのよ。
で、その車道からなら、然程遠くないの。
山の中だから車は通るけど、それこそ少なくて、近所の人は徒歩でも利用する事があるんだそうよ。
私は行った事ないけど、道沿いに自販機なんかもあるみたいだし」
「言うて、そないにたっかい山でもあらへんしなぁ。
峠越えって感じやろか?」
真に言葉に井前が頷く。
「実際、あそこの名前に以前は『峠』って入ってたそうよ。
ま、徒歩で利用する人が居ると言っても、利用者そのものが少ないし……遺棄するには適した場所かも……ね」
今聞ける事はこのくらいだろうか……。
時計を見れば、間もなく終電になろうかと言う時間だ。
どうしても終電を捕まえなければ…と言う訳ではないが、キリの良い所で一旦お開きにしようと言う事になった。
解散前に慌てて松代に7月29日の事を訊ねる。
どうやら松代もこれまで何度か聞かれた事があるのか、立て板に水とばかりに話してくれた。
野球部は7月29日は練習試合があり、2つ程先の駅で現地集合の現地解散だったらしい。
時間は朝9時集合で、お昼も現地で弁当を囲んだそうだ。
そして解散は、予定時間を過ぎた17時になっていたと話す。
野球部は一旦度外視しても良いかもしれない。
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