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4章 SYUUI
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しおりを挟む昼食に温室を離れた時間が12時少し前…11時50分辺りだろうか。
その後は生徒会の用事で登校していた行木と上島の二人に、林田も合流して3人で昼食をとったと言っていたから、学校外に出た訳ではないし他に会った人もいない様なので、特に重要な情報と言う訳ではない。
しかし、空白を埋めていく事は重要だ。
昼食後はどうだったかも聞いてみるが、これと言って印象に残るような出来事はなかったそうだ。
円道も言っていたが、花の植え替えを行った後、林田が廃棄する花を欲しがったので、比較的元気そうな花を選別したりして少し遅くなったらしい。
林田が何の為に花を欲しがったのかわからないが、ここまでは他の人から得た情報と齟齬はない。
18時頃、駅へ向かう円道と一緒になったと言う所まで聞いたのだが、もう新たな情報が出てくる事はないだろう。
「他にお話しできるような事は、もう…すんません」
「いえ、突然のお願いにも拘らず、お時間を割いてくださっただけでも、感謝いたします。
本当にありがとうございました」
小巻が申し訳なさそうに後頭部を掻きながら、感情を滲ませた。
「ほんまに…惨い話ですわ。
園芸部の生徒さんとは、関わる事も多かったから、余計に…なんや…胸に迫るっちゅうんやろか……。
アルバムも見てきたからか、あの子が駅方向に歩いて行く背中まで思い出してしもうて」
「………ぇ?」
陽月の頭の中が疑問符で埋め尽くされる。
「ハル?」
「え? あ……だ、大丈夫ですか?」
真と小巻に心配して声を掛けてくるが、陽月はそれどころではない。
「小巻さん、今の話は記憶違いとかではないのですね?」
「え……今の話、て…?」
「林田さんが駅方向へ向かったと言う話です」
「…ぁ、あぁ、その話やったか…。
15時半……いや、ちょっと回っとったかなぁ。
16時にはなってへんだ思うけど……ゴミ出しで丁度校門の所に居ったんですわ。そしたらあの子が帰りしなにペコって頭下げてくれてな。気ぃつけて帰るんやで…とか声かけて見送ったんやけど……。
…なんぞおかしな事言いました?」
小巻は担任でも何でもない。
用務員なのだから、生徒の家の事まで知ってる訳がない。
だから、彼が違和感に気付かなくても当然と言えるだろう。
陽月はそのまま思考の海にダイブしてしまう。
林田の家は確か……。
中学校と駅を繋ぐ道は、多少曲がったりしていてもほぼ南北の一本道だ。
その途中に越川文房具店があり、先日はそこで横道に逸れた。
迷い猫のポンちゃんの痕跡を探したが、カラスの伯爵のおかげで東方向へ逃げたと言う情報を得る。
そして東に進んだ先で、ポンちゃんらしき猫を保護した御宅にも向かった。
まぁ、結局未だに連絡は付いていないが、その件は待つしかない。
そしてその戻り道、少しだけズレた方向に林田の家はあった。
【林田さんが部活の当番が終わって家に帰るんやったら、校門出た所か、もうチョイ先くらいで曲がる筈や。
駅の方向の行く事はあらへん】
(えぇ、その通りです。
彼女は花を持ってどこに向かったんでしょう…)
【駅までの道、もっかい調べてみた方がええやろか……せやけど、今更か…って、そうやん!
越川のお婆ちゃん!
通学生の見守りみたいなんもしとったんやろ?
ダメ元で聞いてみよや。
……出来たらポンちゃんの情報持って行けたら良かったけど、しゃぁないわ】
流石に今日は、もう時間的に無理がある。
明日、迷惑にならない時間に電話する事にした。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
帰りしな
関西方面でよく使われる言い方のようですが、方言ではないかもしれません。
もし意味がわからないと言う方がいらっしゃいましたら『帰る途中』とか『帰ろうとする時』等と同義と思って頂ければ!
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