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4章 SYUUI
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しおりを挟むどうやって諦めさせようかと考えている陽月を余所に、真は『そない言うたら…』と呟いた。
「ごめん!
副委員長から電話きとったのに、言い忘れてしもてた……」
『副委員長』と言われて直ぐに思い浮かばず、陽月は首を傾ける。
真は『やっぱりなぁ…』と諦め半分で笑いながら教えてくれた。
「あぁ、松代さんですか…。
それは兎も角、臥せっている時に電話を取らせてしまったようで、すみませんでした」
「いやいや、ハルに謝られたら、俺…身の置き所がないねんけど……俺が伝え忘れとっただけやし…。
ほんまごめん」
「発熱時は自身が思う以上に、朦朧とする事もありますから仕方ないです」
恐縮する真に、陽月は首を横に振る。
「そんで電話の内容なんやけど、なんちゅうか……空振り……やなぁ。
サッカー部とテニス部に聞いたて言うとった。そんで、サッカー部の方は夏休み中、7月も登校はしとったらしいんや。けど…林田さんを見た記憶がある奴は居らんかったって。
テニス部の方は、7月中は遊んで、8月に入ってから部活って言うんが毎年の恒例やそうやわ」
真の言葉に陽月は引っ掛りを覚えた。
「記憶がある者が居ない……とは、どういう意味でしょう…。
まさか…」
「当時の部員、全員に確認してくれたんやて」
陽月が絶句していると、真は眉尻を下げて、困ったように笑った。
「俺も吃驚してなぁ……副委員長に何度も聞き返してしもたわ」
「態々全員に……ですか…。
ありがたい事ですが、何故……と思ってしまいますね」
陽月の言葉に、真も頷いた。
「うん、せやから俺も聞いてみたんよ。
何で?…ってな。
そしたら、どうやら副委員長が連絡とった相手っちゅうのんが、2年2組……林田さんと同じクラスやったんやって…」
「……あぁ……」
なるほど…と陽月は頷いた。
同学年と言うだけで、特に顔も合わせた事のない相手であれば、いずれ記憶も薄れ、抜け落ちていっただろうが、同じクラスで顔見知り…友達だったのならずっと心に棘が刺さったような、重石が乗っているような……息苦しさを抱えていたとしても不思議ではない。
行動していなかっただけで、きっと記事を読んだりしては、色々と思い出したりしていたのではないだろうか…。
「記憶になくて、申し訳なく思いますが……林田さんは結構な人気者だったようですね」
「あ~、そやな…うん…。
めっちゃ可愛かったし、男連中からは密かに人気あったと思うで。でも控えめで優しい性格やったから女子ともそないに揉めたりとかはしてへんだんとちゃうかなぁ。
ま~ちょこっと妬まれたりはあったかもしれへんけど、行木さんらと仲良かったし、いじめとかはされてへんだ思うわ」
陽月は真の話に耳を傾けつつ、これまでに集まった情報を振り返ってみる。
幼い頃、林田が原因で父親死亡。
その後は働きづめの母親に代わって家事全般と、幼い妹の世話をしながら、それでも成績は上位でキープしていた。
家族仲は、養子にいった穂乃花も言っていたが、良かった印象しかない。
容姿も良く、性質も大人しかったようで、友人関係も良好。
小さな嫌がらせ等はあった可能性を否定出来ないので、その辺りは今後調べていくべきだろう。
当時の警察は家出として処理したらしいが、これまでの所、家出に繋がる様な決定的な理由は見つけられていない。
何より、花を持って家出と言うのにも、違和感を感じてしまう。
やはり気になるのは用務員の小巻が話していた『駅の方に向かった』と言う言葉だろう。
何度か通ってみたが、中学校と駅を結ぶ道には、これと言って気に掛かるモノはなかった。10年以上経っているのだから、当たり前と言われればそれまでなのだが……。
ポンちゃんの報告もあるので、文房具屋の越川には連絡がつき次第、林田の事も尋ねてみるつもりである。
寄り道の可能性も考えるが、仲が良かった友人の家――井前の家は林田の近所だし、行木の家は中学校から西の方角で、駅とは全くの別方向だ。
そんな思考の海から陽月が浮上した時には、既に15時を回っていて、真はテーブルに突っ伏して転寝をしていた。
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