💘Purple Violet⚜️💐 堅物実直なノンケ親友への想いを、27年越しに伝えてテンパるゆるふわ一途イケメンのお話

良音 夜代琴

文字の大きさ
76 / 97
番外編

拉致監禁される中隊長達のお話(14/14)『エピローグ』(レインズ視点)

しおりを挟む
***

そこから先の事はよく覚えていない。
薬のせいなのか、それともルスのせいか。
……どっちもだろうな。

ルスのを入れた途端にイッた俺は、そのままルスに繰り返しイかされ続けた。
ルスは決して激しく突くことはなくて、俺が飛ばないギリギリのところで、俺の身体と理性をぐずぐずになるまで溶かしていった。
あの後俺がなんて口走っていたのかは、知らないし、知りたくない。
ルスに誘われるまま……相当恥ずかしいことを言っていたのは、確かだな……。

あの部屋を出る頃にはイムノスは完全に敗北者の顔になっていて、茫然自失としていた。
なんか……、トラウマになったりしてねーかな。
ちょっと心配だな……。

「レイ? どうした?」
声をかけられて、俺は慌てて首を振る。
「や、なんでもねーよっ」
こないだのこと考えてたなんて知れたら、ルスがどんな反応をするか分からない。
下手したら、今夜も寝かせてもらえなくなる。

あれからルスは、俺のコントロールがめちゃくちゃ上手くなった。
つまり、飛ばされなくなった。
俺の身体の状態を正確に見極めて、飛ぶギリギリのところで手を止める。

だから長いんだよな。……夜が……。

はぁぁ。と大きなため息を内心で吐きながら、俺は数歩先を行くルスを追いかける。
別にするのは嫌じゃない。
むしろルスに求められるのは、すごい嬉しい。

けどさぁ、何事も、限度ってもんがあるよな……?

肩を並べて、俺よりほんの少し背の高いルスをチラリと見れば、小さな黒い瞳としっかり目が合った。
ふ。とルスが満足気な笑みを浮かべる。

「な、なんだよ……」
恥ずかしさから思わず悪態をつけば、ルスがさらりと答える。
「お前は今日も美しいと思ってな」
「なっ…………っっ」
俺は真っ赤になる顔を見られないように、慌てて足を早める。

俺達は今日、互いに城勤めの日勤で、城の隅にある騎士団の敷地内のほんの小さな中庭で一緒に昼食をとっていた。
ルスの作った美味しい弁当を食べて、そろそろ戻ろうかとしていた所だ。

「……しかし、お前はあの時、よくあのサインに気付いたな」
背に声をかけられて、驚く。
何だ? ルスは、俺が何を考えてんのかまで分かるのか……?
ぽかんと見上げれば、ルスが苦笑した。

「なんだその顔は」
「いや……、えっと、あれだろ、あの烏退治の時のだろ?」
「ああ」
ルスはそう言うとほんの少し遠くを見た。
昔の事を思い出す時、いつもルスはこんな風にする。

学生の頃……、俺達が寮で同室になった頃だな。
まだ俺達が互いの名を略さず呼んでた頃だ。
光り物好きな烏が生徒や先生達の貴重品を盗みまくってて、俺とルスで捕まえたことがある。

罠を仕掛けるにあたって「光り物なー。ガラス玉とかで良いよな?」と言う俺に、ルスは「もっと美しい宝石もあるんだが、傷を付けられてはたまらないからな」と言った。
「なんだそれ、ルストック、宝石とか持ってんのか?」と首を傾げる俺に、ルスが至って真面目な顔で指したのは、俺の瞳だった。
俺が真っ赤になって撃沈したのは、当然だ。

「なあ、ルスはさ、俺の……目……、あの頃から気に入ってくれてたのか?」
俺の事、あの頃から、少しは好きでいてくれたんだろうか。
そこまでは尋ねきれないまま問う俺にルスは、ふっと笑って言う。

「俺はお前に出会ってからずっと、お前の事を最高に美しい男だと思っているぞ」

「――――――なっっ……!?」

な……。なんっっっ、だよそれぇぇぇぇ……。

日中のこんなっ、ほんの昼休みに、さらりと言っていい台詞じゃねーだろっっっ!?

俺は力が入らなくなって、ヘナヘナとその場にしゃがみ込む。

「あの時は、お前の青い瞳があの烏に齧られやしないかと冷や冷やしたものだ」
ルスは俺の隣で立ち止まると、手を差し伸べながら言う。

作戦の前夜、寮のルスのベッドの上で作戦の最終確認をしてた時だ。
「じゃあもし烏が俺の目玉狙ってきたらどうする?」
俺が冗談のつもりで笑って言うと、ルストックは「その時は作戦中止だ。撤退しよう」と即答した。
「えっ、そん時ここまで作戦が進んでてもか?」
紙を指しながらの俺の問いに、ルストックは「ああ、お前の身の安全が最優先だ」と答えた。
なんだか大事にされてるようで胸が跳ねた。
でも俺が荷物になるようじゃ困るよな。
「あ、じゃあさ、サイン決めとくってのはどうよ」
「サイン……?」
「俺が、まだいける間はこうな『俺に構わずやれ』のサイン!」
俺がその場で思いついたハンドサインを繰り出すと、ルストックは苦笑する。
「ふむ、名前はともかく、作戦を遂行せよということだな」
「なんだよー、かっこいいだろ? 俺に構わずやれ!!」
「……そう言うことにしておこう」
ルストックはいつもの落ち着いた様子でクスクス笑っていた。
ほんのこれだけの会話だったのに。ルスがこれをずっと忘れないでいてくれたことが、本当に嬉しかった。

しゃがみ込んだ俺の手を掴んだルスに、ぐいと引き上げられて、俺は勢い余ってルスの胸に飛び込んでしまう。
いや、これはルスがわざとやったんだな。
ルスは俺をそっと一度だけ抱きしめて、離した。

「レイ、午後も気を引き締めて、頑張れよ」
柔らかく微笑まれて、やっと引いた頬の赤みが戻ってしまいそうになるのを必死で堪える。
いや俺を緩ませてんのはお前だろ?

「ルスも、ヘマすんなよっ」
俺が言い返せば「ああ」と優しい声が返る。
そのままひらひらと手を振って、ルスは俺に背を向けると新人研修棟へ向かって歩き出した。
杖を付きつつ、それでもはっきりとした足取りで。
俺はそんなルスを見送りながら、隣の棟へと足を向ける。

あの烏に、俺ごと網をかけたのはルスだった。
あの烏はルストックが心配したとおり、ガラス玉を咥え込んだだけでは飽き足らず、俺の顔を目掛けて突っ込んできた。
俺は顔をガードしながら、昨日決めたばかりのサインを出した。
「レイっ大丈夫かっっ!?」
駆け付けたルストックに冷や汗が滲む手で両頬を挟まれて、至近距離で顔を覗き込まれて、俺は真っ赤になった。
ルストックは俺の瞳を両方ともじっと見つめてから、ほうっと息を吐いた。
「……無事で、良かった……」
そこまでで俺は気付く。今、ルストックに名を短く呼ばれたことに。

「ルストック……。今、俺のこと、レイって……」
「ああ、すまん。つい焦っていて……」

「……いや、嬉しい…………」
思わずぽろりと溢れた本音に、俺はハッと口元を覆う。
ルストックはそんな俺を優しく見つめて言った。
「そうか。じゃあこれからは、レイと呼ばせてもらおうか」
「じゃっ、じゃあ俺もっ、ルスって呼んでもいいか!?」
俺が慌てて返せば、ルスはやはり、優しい声で「ああ」と答えた。

そうだよな。あれからだったんだよな。
ルスが俺のこと、短く呼んでくれるようになったの。
学生の間はずっと、朝起きてから寝る時までそうやって呼んでくれてた。

騎士団に入ってからは隊員達の手前、長く呼ばれるようになったけど。
それでも時々短く呼んでくれるのが、すげぇ嬉しかった。

……まさか、こんな風にまた毎日レイって呼ばれて、俺もルスって呼べる日が来るとは思わなかったよな……。

「ルス……」
今も昔も変わらず大切でたまらない人の名は、俺の口から自然に零れていた。

胸に滲む幸せに、どうしようもなく頬が緩んでしまう。
まあ今となっては短い方に慣れちまって『騎士団内ではちゃんと呼べ』ってよく叱られてんだけどな。
俺は小言を言うルスの顔を思い浮かべて、苦笑してしまいそうな頬を精一杯引き締めながら、駆け出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された

楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。 何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。 記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。 ---------- ※注) かっこいい攻はいません。 タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意! 貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。 ハッピーエンドです。 激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします! 全16話 完結済み/現在毎日更新予定 他サイトにも同作品を投稿しています。 様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。 初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

没落令息はクラスメイトの執着に救われる

夕月ねむ
BL
突然父親の爵位がはく奪され、帰る屋敷も家名も失ったローレンス。貴族が集まる学院の寮からも放り出されるところだった彼を、クラスメイトのユリシーズが引き留める。 「侯爵家の私であれば、従者をひとり授業に同席させることができる」と言って。 ユリシーズの従者となったローレンス。けれどその二年後、彼らの関係は再び大きく変わることとなった。 ※FANBOXからの転載です。 ※他サイトにも投稿しています。

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

【完結】言えない言葉

未希かずは(Miki)
BL
 双子の弟・水瀬碧依は、明るい兄・翼と比べられ、自信がない引っ込み思案な大学生。  同じゼミの気さくで眩しい如月大和に密かに恋するが、話しかける勇気はない。  ある日、碧依は兄になりすまし、本屋のバイトで大和に近づく大胆な計画を立てる。  兄の笑顔で大和と心を通わせる碧依だが、嘘の自分に葛藤し……。  すれ違いを経て本当の想いを伝える、切なく甘い青春BLストーリー。 第1回青春BLカップ参加作品です。 1章 「出会い」が長くなってしまったので、前後編に分けました。 2章、3章も長くなってしまって、分けました。碧依の恋心を丁寧に書き直しました。(2025/9/2 18:40)

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。

紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※表紙をAI君に描いてもらいました。(2026.2.21) ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

処理中です...