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第1章 ウェリス王立学園編
15 休学と校長先生
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昨日はアリウス家に来客として火龍様が来るし、ルシアがみんなの前に現れるしで大変な一日だったな。
火龍様が帰ったあとに、火龍様やルシアに会ったって伝えていなかったことを父上、母上とリルに謝ったよ。
そこで父上に教えてもらったんだけど、代々アリウス家の家督を継ぐ予定の者が成人を迎えると、火龍様のところに挨拶に行くのが習わしらしい。だから父上は火龍様のことを知っていたわけだ。
そして火龍様と会ったときはあの女性の姿だったんだって。龍の姿は見たことが無いらしい。名前はフレアと名乗ったそうだから、正しい名前がフレアボロスって初めて知ったそうだ。
その火龍様が敬うクロノルシア様とは何者なんだろうという会話になったんだよね。昨日は火龍様が帰ったあとに、『我も帰るとしよう』といって消えちゃったんだ。といっても僕の中に戻っただけなんだけどさ。
父上たちはどこかに帰ったと思ってるんだけど、実は目の前にいるという不思議な状況になってる。
とりあえずクロノルシア様は火龍様が敬うほどの偉い龍に違いないということで落ち着いてる。
そして火龍様が王様と面識がある理由も教えてもらった。
王族も成人すると、成人の儀として火龍様に会いに行くそうだ。だから王様と第一王子、第二王子は会ったことがあるんだって。
父上は第一王子と第二王子のお付きとしても行ったそうだから、火龍様には今までに3回も会ったことがあると言われてた。
当然王様は毎回行くそうだけど、この国で火龍様と深い面識があるのは王様に次いで二番目ということになるんだよね。やっぱり父上はすごいや。
そんなこんなでドタバタしながらも、僕はいつも通り授業を受けている。こうやってエマ先生に教えてもらうのも明日までなんて寂しい気もするな。
そうして午前中の授業が終わるとエマ先生が近づいてきた。
「レアンデル君。昼食前に悪いのだけれど、校長先生に呼ばれているから一緒に校長室まで行きますよ」
「校長先生ですか? 一体何なのでしょうか?」
校長先生に呼び出されるなんて初めてのことなので、少し驚いてエマ先生に尋ねた。
「私も聞かされていないのよ。午前の授業が終わったらすぐにレアンデル君と来てくれとだけ言われたわ」
「そうなんですか。分かりました」
少しだけドキドキしながらエマ先生と一緒に校長室に向かった。
エマ先生がドアをノックして校長室に入ると、中肉中背で立派な髭を蓄えた校長先生が、部屋の中央に立って待ち構えていた。
「エマ先生、待っていたよ! 君がレアンデル君だね? とりあえずそこのソファーに座って!」
なんか校長先生がすごく急かしてくる。おお! 何これ? このソファーとんでもなく座り心地がいい! はじめて校長室に入ったけど、机や棚なんかもめちゃくちゃいいものが置いてあるな。校長先生の趣味かな?
「レアンデル君を連れて来ましたけど、一体なんでしょうか?」
エマ先生が校長先生に不安そうに尋ねる。
「今朝一番で大臣から連絡があったのだ。レアンデル君の登校を免除し、いつでも復学できるようにしろと。そしてこれは王命だと。」
「登校免除ですか? ……王命?」
エマ先生が意味が分からないって顔をしている。
なるほど。王様が早速動かれたのか。火龍様の案件だけにすごく迅速な対応なんだと思う。
「そうだ。レアンデル君が希望する日をもって登校免除の休学扱いとし、希望する日に復学させよとのことだ。
異例の指示であるし、我が学園でもそのような休学の事例は無いが、王命であるため絶対に実行せよとのことだ。
私も王命に背くつもりなどない。レアンデル君が希望する日をもって休学になるのだから、担任のエマ先生には伝えておかねばな。
それでレアンデル君はいつから休学したいのだ? また王命であるから余計な詮索はまずいのだろうが、このような特例を作る何かの理由があるのか?」
校長先生が神妙な顔で尋ねてくる。
「はい。学園に来るのは明日まででお願いします。理由と言われると全てをご説明するのは難しいのですが、旅に出て己を鍛えて参ります」
「旅に出るのか? 王命が下るほどのことだからただの旅ではあるまい……
――旅とは見聞を広め、己を見つめなおし、大きく成長をすることができるまたとない機会となり得る。それに色んな出会いもあろう。
レアンデル君、成長し無事に帰ってくることを祈っているぞ」
校長先生が旅の無事を祈る言葉を贈ってくれた。
「レアンデル君、学園に来るのは明日までなの? 随分と急な話だったのね。分かりました。あなたがしっかり考えて決断したことならば、担任である私は応援するだけです。
旅は危険も潜んでいますから道中は気を付けるのですよ。
それでクラスのみんなには挨拶などをしなくてよいのですか?」
全く考えていなかったな……アーシェには伝えていくつもりだったけど。
そうだな。突然クラスからいなくなるんだから、簡単に挨拶ぐらいはしておこうかな。
「エマ先生、明日の授業が終わったらみんなに挨拶する時間をいただけますか?」
「もちろんいいですよ。授業が終わったら私がレアンデル君を前に呼びますね」
「よろしくお願いします」
僕は明日まで授業を受けて、そのあとは休学するということで校長先生とエマ先生に伝えることができた。
教室に戻り急いで昼食を食べて、午後の授業もしっかりと勉強して自宅に帰った。
剣術の訓練の日課を終えて部屋に戻ると学園のことが頭に浮かんでくる。
いよいよ明日で学園ともお別れか。明日の挨拶って何を言おうかな。そんなに詳しく説明できることもないし、クラスでの挨拶は簡単にお別れを伝えるぐらいかな。
大事なのはアーシェにどう伝えるかだけど……
僕はアーシェに説明することを考えながら眠りについた。
火龍様が帰ったあとに、火龍様やルシアに会ったって伝えていなかったことを父上、母上とリルに謝ったよ。
そこで父上に教えてもらったんだけど、代々アリウス家の家督を継ぐ予定の者が成人を迎えると、火龍様のところに挨拶に行くのが習わしらしい。だから父上は火龍様のことを知っていたわけだ。
そして火龍様と会ったときはあの女性の姿だったんだって。龍の姿は見たことが無いらしい。名前はフレアと名乗ったそうだから、正しい名前がフレアボロスって初めて知ったそうだ。
その火龍様が敬うクロノルシア様とは何者なんだろうという会話になったんだよね。昨日は火龍様が帰ったあとに、『我も帰るとしよう』といって消えちゃったんだ。といっても僕の中に戻っただけなんだけどさ。
父上たちはどこかに帰ったと思ってるんだけど、実は目の前にいるという不思議な状況になってる。
とりあえずクロノルシア様は火龍様が敬うほどの偉い龍に違いないということで落ち着いてる。
そして火龍様が王様と面識がある理由も教えてもらった。
王族も成人すると、成人の儀として火龍様に会いに行くそうだ。だから王様と第一王子、第二王子は会ったことがあるんだって。
父上は第一王子と第二王子のお付きとしても行ったそうだから、火龍様には今までに3回も会ったことがあると言われてた。
当然王様は毎回行くそうだけど、この国で火龍様と深い面識があるのは王様に次いで二番目ということになるんだよね。やっぱり父上はすごいや。
そんなこんなでドタバタしながらも、僕はいつも通り授業を受けている。こうやってエマ先生に教えてもらうのも明日までなんて寂しい気もするな。
そうして午前中の授業が終わるとエマ先生が近づいてきた。
「レアンデル君。昼食前に悪いのだけれど、校長先生に呼ばれているから一緒に校長室まで行きますよ」
「校長先生ですか? 一体何なのでしょうか?」
校長先生に呼び出されるなんて初めてのことなので、少し驚いてエマ先生に尋ねた。
「私も聞かされていないのよ。午前の授業が終わったらすぐにレアンデル君と来てくれとだけ言われたわ」
「そうなんですか。分かりました」
少しだけドキドキしながらエマ先生と一緒に校長室に向かった。
エマ先生がドアをノックして校長室に入ると、中肉中背で立派な髭を蓄えた校長先生が、部屋の中央に立って待ち構えていた。
「エマ先生、待っていたよ! 君がレアンデル君だね? とりあえずそこのソファーに座って!」
なんか校長先生がすごく急かしてくる。おお! 何これ? このソファーとんでもなく座り心地がいい! はじめて校長室に入ったけど、机や棚なんかもめちゃくちゃいいものが置いてあるな。校長先生の趣味かな?
「レアンデル君を連れて来ましたけど、一体なんでしょうか?」
エマ先生が校長先生に不安そうに尋ねる。
「今朝一番で大臣から連絡があったのだ。レアンデル君の登校を免除し、いつでも復学できるようにしろと。そしてこれは王命だと。」
「登校免除ですか? ……王命?」
エマ先生が意味が分からないって顔をしている。
なるほど。王様が早速動かれたのか。火龍様の案件だけにすごく迅速な対応なんだと思う。
「そうだ。レアンデル君が希望する日をもって登校免除の休学扱いとし、希望する日に復学させよとのことだ。
異例の指示であるし、我が学園でもそのような休学の事例は無いが、王命であるため絶対に実行せよとのことだ。
私も王命に背くつもりなどない。レアンデル君が希望する日をもって休学になるのだから、担任のエマ先生には伝えておかねばな。
それでレアンデル君はいつから休学したいのだ? また王命であるから余計な詮索はまずいのだろうが、このような特例を作る何かの理由があるのか?」
校長先生が神妙な顔で尋ねてくる。
「はい。学園に来るのは明日まででお願いします。理由と言われると全てをご説明するのは難しいのですが、旅に出て己を鍛えて参ります」
「旅に出るのか? 王命が下るほどのことだからただの旅ではあるまい……
――旅とは見聞を広め、己を見つめなおし、大きく成長をすることができるまたとない機会となり得る。それに色んな出会いもあろう。
レアンデル君、成長し無事に帰ってくることを祈っているぞ」
校長先生が旅の無事を祈る言葉を贈ってくれた。
「レアンデル君、学園に来るのは明日までなの? 随分と急な話だったのね。分かりました。あなたがしっかり考えて決断したことならば、担任である私は応援するだけです。
旅は危険も潜んでいますから道中は気を付けるのですよ。
それでクラスのみんなには挨拶などをしなくてよいのですか?」
全く考えていなかったな……アーシェには伝えていくつもりだったけど。
そうだな。突然クラスからいなくなるんだから、簡単に挨拶ぐらいはしておこうかな。
「エマ先生、明日の授業が終わったらみんなに挨拶する時間をいただけますか?」
「もちろんいいですよ。授業が終わったら私がレアンデル君を前に呼びますね」
「よろしくお願いします」
僕は明日まで授業を受けて、そのあとは休学するということで校長先生とエマ先生に伝えることができた。
教室に戻り急いで昼食を食べて、午後の授業もしっかりと勉強して自宅に帰った。
剣術の訓練の日課を終えて部屋に戻ると学園のことが頭に浮かんでくる。
いよいよ明日で学園ともお別れか。明日の挨拶って何を言おうかな。そんなに詳しく説明できることもないし、クラスでの挨拶は簡単にお別れを伝えるぐらいかな。
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僕はアーシェに説明することを考えながら眠りについた。
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