教え上手な龍のおかげでとんでもないことになりました

明日真 亮

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第5章 ネイスエル女王国編

82 アクア様との食事

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 水龍のアクア様はルシアのことが好きだったのか。いや、最初の方のやりとりから違和感はあったし、ルシアの対応がいつもと違う感じだから薄々気づいてはいたけどさ。
 でも、アクア様に睨まれているこの状況はどうしたらいいものだろう。隣にいる女王様も困惑した表情で固まられてるよ。

『アクアよ。お主の好意はありがたく受け取っておる。しかしだな。レンと我の関係はそういった好意とは無縁の話であるし、我はレンを導かなければならないのだ。人族の空の紋章の所有者。それがレンだ』
「えっ! 人族に空の紋章の所有者がいたのですか?」
『レンよ。手袋を外して紋章を見せてやるのだ』

 僕は左手の手袋を外してアクア様に紋章を見せる。

「……ルシア様以外で初めて見ました。本当に空の紋章ですね。それにフレア姉とヴァン兄の紋章まで付与されてる」
『火の紋章は魔力を抑制するためにフレアが付与したものだが、風の紋章はヴァンがレンを気に入って付与したものだ』
「そうなんですね……。空の紋章か……。特別扱いになるのも仕方ないです……」

 アクア様が俯きながら呟いている。と思ったら鋭い目つきで僕の方に顔を向けられた。

「あなた! レンと言ったわね! 特別にルシア様と仲が良いのには目をつぶるわ! でも悔しいから水の加護はあげないからね!」

 目を潤ませながら僕に宣言してくるアクア様。めちゃくちゃ女の子なんですけど。

「アクア様。僕は自分を鍛えるために修行の旅をしています。大龍穴を廻ることができるのはものすごく貴重な体験で光栄なことですけど、加護をもらうことが目的ではありません。
 偶然の出会いと奇妙ないきさつが重なり、ルシアは先生でありながら友だちのような関係になっていますけど、敬意も持っていますし感謝もしています。お気を悪くされないとありがたいです」

 僕に説明できることを詰め込んで話してみたけど、どうかな。

『アクアよ。我とレンの関係はそういうことだから理解してくれ。早速だが大龍穴の確認をしたい。案内してくれぬか』
「あっ、そうですね。分かりました。ご案内させていただきます」
『女王よ。我はアクアと大龍穴の確認をする。明日の夕方には終わっておるはずだから、夕食の準備を頼んでもよいか?』
「かしこまりました、ルシア様。万全の準備をしてお待ちしております。それではアクア様、妾はこれで失礼させていただきます」
「頼んだわよ、エレノア。ルシア様を満足させてちょうだいね」
「お任せください」

 女王様の口調が変わってるね。真剣に話すときはこうなのかもな。それにルシア殿からルシア様に呼び方が変わってるし。アクア様がお慕いする相手と聞いたらこうなるのも当然か。

『レンよ。我が大龍穴の確認をする間は剣と魔法の自主訓練をするように。それと我が作った宿題もな。お主は言われなくてもするだろうが』
「分かってるよ。ここで訓練をしながら待っておくよ」

 そう言うと、ルシアとアクア様は奥の方に歩いて行った。さて、それでは剣の稽古から始めますかね。



 ルシアたちが大龍穴の確認に行ってから数時間。稽古と勉強をしていると、ルシアとアクア様がやってきた。

『レンよ。今日の確認は終わったぞ。続きはまた明日することにした。もう19時を過ぎておる。食事にしよう』
「もうそんな時間なんだ。ここは一定の明るさが保たれているから、何時ぐらいなのか分からなかったんだよね」
「神殿は明るさも温度も全て調整をしていて、快適に過ごせるようになっているのです。決してあなたのためではないんだからね! ルシア様が快適に感じられるのであればそれが何より幸せです」

 はい。僕も自分のために快適にしてくれてるとは少しも思っていません。やっぱり僕のことが気に入らないんだろうな……。

『アクアよ。確認を手伝ってくれたウェンディたちも呼んでくれぬか。みんなで食事をしようではないか』
「かしこまりました。今、念話で呼びましたのですぐに参ります」

 そういえばヴァン様も眷属は念じるだけで話せると言ってたな。ウェンディさんたちはアクア様の眷属なんだろうな。

『それでは準備をしておこう』

 ルシアが収納空間から大きなテーブルと椅子を取り出す。そしてテーブルの上に次々と食事を並べていく。野菜を使った料理が多いね。サラダや野菜スープ、鶏肉の香草焼きもある。熱々のプレートはすごく美味しそうだ。

「「お待たせしました」」

 そこに現れたのは4人の女の子。僕と同じか少し年上ぐらいの見た目をしている。言うまでもなく全員が美形。美少女の集まりだ。

「ルシア様にお食事の準備をしていただいたのよ! あなたたちも一緒に食べようと言ってくださって」
「「ルシア様! ありがとうございます!!」」

『食事の準備ができたぞ。熱いうちに食べるのが一番美味い。アクアとウェンディたちは向こう側に座るとよい。我とレンは手前に座るとしよう。ウェンディたちにはレンのことを一通り説明しておるから、食事を食べながら親睦を深めればよいぞ』
「レンです。よろしくお願いします」

 ルシアが手際よく食事の準備をすすめて、アクア様たちと7人で夕食を食べることになった。
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