教え上手な龍のおかげでとんでもないことになりました

明日真 亮

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第5章 ネイスエル女王国編

81 アクアとルシア

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「まさかルシア様に会えるなんて!! これは運命の神様のおかげ? 日頃の行い? あ~、なんて幸せなのかしら!!!」

 おお……。火龍様やヴァン様とは全く違う感じの方だな。20歳ぐらいの若い女性に見えるし、今までで一番人族の感じに近い方のような気がする。とは言っても、とてつもない強さを感じるところは同じだけどね。

「ところでルシア様、一体、どうなされたのですか? いえ、私に会いに来ていただいたのですよね? すぐに歓迎の準備をいたします。眷属に指示を出しますので……」
「落ち着かんか、アクアボロスよ。我は今、全ての大龍穴を廻っておるのだ。火と風を見てきたゆえ、次は水の大龍穴の確認に来たというわけだ」
「大龍穴の確認ですか? 私のところは完璧に管理しております! ご存分にご確認をお願いします!」

 水龍様のテンションがものすごく高い。それに比べてルシアのテンションは低い気がするな……。

「あら? エレノアじゃないの? あなたがルシア様をご案内してくれたのかしら?」

 女王様の姿も目に入ってなかったのか。

「はい。アクア様。お知り合いと伺いましてご案内をさせていただきました」
「そう! 偉いじゃないの! もしかしてだけど、ルシア様に何か失礼なことはしていないでしょうね?」

 うおっ! 勘が鋭いというのか、的確な質問が飛んできたぞ……。

「それが……実は……」
『アクアボロスよ。女王は丁寧にこちらに案内してくれたぞ。我の趣味であるグルメにも共感してくれて、美味しい食事をごちそうしてくれることになっているのだ』

 うん。ここに来る途中で、ルシアが女王様に美味しい食事処を聞いたんだけど、「是非とも妾に用意させてください!」という話になったんだよね。おそらくルシアはそうなることも想定して話を振った気がするけどさ。

「そうなんだ! さすがエレノアね! ルシア様が喜ぶお食事を用意してちょうだいね」
「かしこまりました。身命を賭して準備いたします」

 単なる食事がすっごく重い話になってきたぞ。女王様もそこまでの決意はいらないと思います。

「ところでルシア様。先ほどからアクアボロスとお呼びですが、いつものようにアクアと呼んでくださいませ。何か距離を取られているようで寂しいです」
『ふむ。一応これは正式に確認に来ているから、正式な名前で呼んでる訳だが……』
「いえ、それでは寂しさのあまりご確認の対応に支障が出てしまうかも知れません。アクアでお願いします」
『分かった、分かった。別に呼び方に固執している訳でもない。それでは改めて確認の協力を頼むぞ、アクア』
「はい! 何でもお申し付けください!」

 ……今までの大龍穴を廻った感じと何か違うな。ルシアも対応がいまいちスムーズじゃないような……。

『それからアクアに言っておくことがある』
「何でございましょう?」
『お主の視界に入っているのかも怪しいが、そこにおるのは人族で名前をレンと言う。
 今は我と大龍穴を廻りながら修行の旅をしておるのだ。分かりやすく言えば我の弟子みたいなものだが、レンには我のことをルシアと呼び捨てにして、気安く接するように言っておる。それに腹を立てるでないぞ』
「ルシア様、さすがに視界には入っておりましたが、まずはルシア様と話したい気持ちが最優先でございましたので。……ですが、ルシア様を呼び捨てにして、気安く接する間柄ですか……」

 水龍様から冷えた空気が漂って来るんですけど……。

『うむ。そうだな。レンよ。挨拶ぐらいしておいたらどうだ?』

 あ~、そうだった。ルシアと水龍様のやりとりを見ていたら、挨拶をするタイミングを逃していたよ。

「アクア様、はじめまして。ウェスタール王国から来ましたレアンデル=アリウスと言います。ハンター登録をしてからはレンと名乗っています。よろしくお願いします」

「………………」

 アクア様? 一体、何を考えていらっしゃるんでしょうか?

「……ズルい。……もしかして私よりもルシア様と仲がいいの? ……そんな……こんなにもお慕いしている私よりも仲がいいなんて……本当に? ……そんなの、そんなのズルいわ~~!!」

 え~っ! アクア様が目に涙を溜めて叫ばれてる。

 僕はアクア様に睨まれながら、この場をどう収めたらいいのか真剣に悩んでいた。
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