教え上手な龍のおかげでとんでもないことになりました

明日真 亮

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第5章 ネイスエル女王国編

80 水の大龍穴

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「ものすごく綺麗な水だね! 遠くの方まで見えるよ!」

 水の中に飛び込むと、そこは聖なる湖であるローネ湖の中で、その水が余りにも綺麗で透明なため、遠くの方まで透き通って見える。

「そなたの魔道具はすごいのじゃな。魚人族や水の紋章を持つものであれば、水の中で自由に動けるし会話もできるのじゃが、それと同じ効果を持つ魔道具があるとは信じられないのじゃ」
「はい。特別に作ってもらった魔道具です。これが無かったら水龍様に会いに行くことはできませんでした」

 ローネ湖に潜ってしばらく泳いでいると、魔道具に感心した女王様が話かけてきた。ちなみに水の中に潜る前は人族の姿をしてたんだけど、水の中に入ってからは下半身が魚のように変化してる。おそらく、これが人魚の姿なんだろうな。

『レンよ。聖なる湖と呼ばれるだけあり、この湖は透明度も高く清らかな水だ。魔物の反応も一切ない。しかし、海中へと切り替わってからは魔物が出現するから注意せよ』
「分かった。出てきた魔物は退治しながら進めばいいの?」
『いや、早く大龍穴に行きたいゆえ、戦う必要はない。魔物が現れたら最速のスピードで避けて行こう。どんなに速い魔物でも人魚の泳ぎに勝てるものはいない。女王について行ければ魔物と戦う必要はないということだ』
「了解。頑張ってついていくよ」

 なるほど。人魚って魔物を超えるスピードを持つ種族なのか。それでいて魔力も桁外れに多い。代々女王を務められるというのが分かるね。

「……ところでじゃが、ルシア殿とレン殿は随分気安い関係のようじゃが、その~……レン殿がその態度でルシア殿は大丈夫なのかえ? いやいや! 2人の関係に口を挟んでおるのではなく、心配に感じてしまうだけなのじゃが……」

 ああ、そうだよね。あんな魔力を出してルシアが怒るところなんて、二度と見たくないだろうしね。
 神殿に向かって泳いでる間は時間もあったので、僕とルシアの関係について分かるぐらいには僕たちの状況を伝えた。



「はぁ~。そうだったんじゃのう。火龍様と風龍様に会ったあとで、こちらに来られた訳か……。とんでもない修行の旅じゃな」

 エレノア女王ともすっかり打ち解けて話すことができた。5つの大龍穴を廻ってますとお伝えしたら、心底驚かれていた。

 そしてネイスエル女王国についても色々と聞くことができた。

 代々女王様だけが水龍様にお会いすることができて、次の女王が決まったら引継ぎを行うそうだ。エレノア女王の年齢は何と320歳。
 まだしばらくは女王様を続けるそうだけど、次の女王様候補は決まっているらしい。クリスタというお名前で女王様の長女とのこと。王宮で女王様が姫と呼んでた方がクリスタ王女だそうだ。

 人魚についても教えてもらったんだけど、人魚は16歳の成人になるまでは人族のような足に変化できないそうで、それまでの間はほとんどの時間をローネ湖で過ごしているそうだ。

 そして容姿が美しいことで有名な人魚を連れ去ろうという不届き者があとを絶たないため、神殿ともつながっていて、成人前の人魚が住むローネ湖の周りを50年前に外壁で囲った。
 観光地としての入場は許可しているけど、人魚が住む場所への侵入は許可しておらず、湖に潜るなんて人魚を連れ去ろうとしているのかも知れないと思って、僕たちのことを疑ってしまったそうだ。

 じっくり話を聞いてみると、その心配も理解できるよね。でも疑われた身からすると、僕たちはそんなこと全く考えてもいませんという話だから、あんな風に衝突しちゃうわけだけど。

 お互いのことを色々と話ながら進んで行って、淡水から海水に変わるポイントも通過した。透明な水から深い青の海水に変わるところが印象的だったな。どんどん潜って行くと光が当たらなくなって暗くなっていく。でも魔道具のおかげで暗くても周囲が見えないことはない。本当にナディア様には感謝だね。

 そして潜り続けると暗くて見えにくいけど、建物らしきものがあるのが分かる。

「そろそろ着くのじゃ。アクア様がお住いになる神殿はあれじゃ」

 海の底には真っ白い石のようなもので作られた立派な建物が建っていた。あれ、どうやって建てたんだろう?
 まあ、それはさておき僕たちは神殿の前へと到着した。建物の正面のようだけど、扉が無いね。そのまま泳いで入って行けそうだ。

「そこが入り口じゃ。ついて参るのじゃ」

 女王様が神殿の入り口に泳いで近付いていく。そのあとを追う僕とルシア。

「えっ!」

 その入口をくぐると、中には水が無い! 突然、空中に放り投げられた感じになったけど、そのまま神殿の床に着地する。ルシアと女王様も何でもないように着地してる。人魚って一瞬で足に変化できるんだね。

「この神殿の中は地上と同じで水は無く、空気を吸うことができるんじゃぞ。普通の人族にはまず来ることができないじゃろうが」

 水でびっしょりの僕は生活魔法で身体や服を乾燥させる。ルシアと女王様も同じように生活魔法を使ったんだろうな。衣服も髪もバッチリ整っている。

 女王様について入口から奥の方に歩いて行くと、遠くから走ってくる人がいる。

「ルシア様!!! お久しぶりでございます!!」

 長い水色の髪にスレンダーな体型、龍族の方々に共通するとんでもなく美形のその女性が水龍のアクア様だった。
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