教え上手な龍のおかげでとんでもないことになりました

明日真 亮

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第5章 ネイスエル女王国編

87 女王様との食事会

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「ルシア! ものすごく速く泳ぐことができたよ! 水の加護の力ってすごいね! 浮遊と水魔法を組み合わるとこんなにすごくなるのか」

 神殿から王宮まで浮上するように泳いだんだけど、浮遊の魔法に水魔法で推進力を加えたら、とんでもないスピードで泳ぐことができた。神殿に行くときの半分以下のスピードで王宮に戻ってきたよ。

『浮遊だけでも十分に速いが、併用するとそのような効果が得られるのだ。水中での戦闘にも応用するのだぞ』

 これはとても便利な組み合わせだな。しっかりと身に付けよう。



 そんなわけで王宮に着いた僕たちは待合室で待機している。
 待合室と言ってもとんでもなく豪華で、お菓子やフルーツが何十種類も置いてある。ルシアはフルーツをつまんでるし、僕は収納空間から取り出した見栄えの良い服に着替えさせてもらった。
 しばらく待っているとドアがノックされる。

「お食事の準備が整いました。ルシア様、レン様、ご案内させていただきます」

 メイド服の着こなしがとても素敵な女性が迎えに来てくれた。
 廊下を歩いて案内された部屋には、白を基調とした高級な家具が並べられている。

 そこにはネイスエル女王国のエレノア女王、その隣にはエレノア女王と同じブロンドの髪で、美しさと気品を兼ね備えた、僕より少しだけ年上そうな女性が1名、さらにその横には髭が似合う魚人の男性1名の3名が待ち構えていた。

「よくぞお越しいただいたのじゃ、ルシア様、レン殿。今日は海鮮をメインとした王宮料理を準備させた。ゆっくりと味わってもらえれば嬉しいのじゃ。メイド長、シシリーよ。配膳を頼むのじゃ」
「かしこまりました」

 僕たちを案内してくれた女性はメイド長だったんだね。通りで着こなしも振る舞いも綺麗なはずだよ。

「食事の前に紹介させていただきたいのじゃ。まずはそちらの男性は我がネイスエルの宰相であるベルスじゃ」
「ベルスと申します。今後とも末長いお付き合いをお願いいたします」
「そして、妾の隣が長女のクリスタじゃ」
「クリスタと申します。よろしくお願いいたします」

 宰相様に王女様か。すごいメンバーだな。

『我はルシアと言う。女王には神殿までの案内で世話になった。おかげでアクアとともに大龍穴の確認も無事に終わった。感謝する』
「僕はレンと言います。ハンター登録をしてからはそう名乗っておりますが、本名はレアンデル=アリウスです。ウェスタール王国から来ました。よろしくお願いします」

 僕たちが挨拶を終えると、目の前に料理と飲み物が運ばれてくる。

「それではルシア様とレン殿との出会いに乾杯じゃ! グラスは持ったかえ? よいな。乾杯!」

 女王様の発声で食事が始まる。この飲み物美味しい! いや、僕のはお水なんだけどね。とても清らかな味がする。ローネ湖の水じゃないかな?
 ルシアは前菜を平らげて、次の皿が運ばれて来てる。アワビを蒸したものだな。こちらにも美味しい香りが漂ってくるね。ルシアがもうおかわりを催促してるよ。慌てることなく対応しているメイド長は流石だな。



 美味しい海鮮料理が次々と運ばれて来て、大満足で食べているルシアと僕。魚や貝が新鮮なのに加えて、料理に合わせたソースが絶品だな。めちゃくちゃ美味しい。

「ネイスエルの王宮料理はいかがですかな?」

 宰相のベルス様が尋ねてくる。

『新鮮な食材に合わせた調理が見事だ。料理人の熟練の技を感じるな。全ての皿が完成されており、とても美味しい』
「ネイスエルでは定期的にアクア様のところに食材を献上しているのですが、その中でも自信のあるものを厳選しました。お口に合ったのであれば幸いですな」
「妾が定期的にアクア様にお会いしているのは食材を持っていくことと、料理をお教えするのが役目なのじゃ。とにかくアクア様は料理に貪欲なお方じゃからな。伝統料理から新しい料理まで何でも覚えていかれるのじゃ。ネイスエルの女王に必要なものは料理の腕だと言っても過言ではない。今はクリスタも料理の修行中じゃ」

 アクアが女王様に料理を習っている? ……それって、ルシアに料理を褒めてもらいたいからじゃないの!? 修行を積んでるって言ってたし。そのせいでクリスタ王女も料理を修行してるのか。全てがルシアのためだと知ったら驚くだろうな……。

「というわけで、今日の料理のほとんどは妾が作ったのじゃ。妾も食事をするから仕上げなどは王宮の料理人に任せたのじゃがな。クリスタには修行のために毎回手伝わせておる。しっかりと手順や味付け、盛り付けを覚えるのじゃぞ」
「はい、母様。精進いたします」

 この料理って女王様が作ったの!? ものすごく熟練の技を感じるし、料理人だとしてもトップクラスの腕前なんだけど……って女王様は見た目と違って300歳を超える方だった。ものすごく熟練されててもおかしくないんだよね。
 しかし、料理の腕で女王になれるものなのか……?

「女王様の料理の腕前は本当にすごいです。でも女王になられたのは料理もあるかも知れませんが、その膨大な魔力によるものが大きいのではないですか?」

 僕は女王様と出会ったときから感じる魔力量の多さに触れずにはいられなかった。

「フッ。人魚は魔力が多い種族じゃ。その中でも確かに妾の魔力は多い。しかしじゃな、それを言うなら妾の姉君はもっとすごかったのじゃぞ。しかし、女王になったのは妾じゃ。理由は料理が好きで得意だからじゃな。アクア様が妾の方がいいとおっしゃったのじゃ」

 女王の人事にアクアがかかわってるのか……。

「姉君は自由な方じゃしな。女王よりも今の方がよっぽど性に合っておるじゃろう」
「性に合ってる……。一体何をされていらっしゃるのですか?」
「知らんのかえ。妾の姉君はハンターをしておる。クレアレインというのじゃがな」
「クレアレイン……。あっ! ファンタールさんがSランクハンターと言ってた人だ!」
「そうじゃ。神秘の癒し手という異名を持つSランクハンターじゃ。今はどこにおるのかも分からないのじゃがな」

 はぁ~。そうなんだ。クレアレインさんってエレノア女王のお姉さんなんだ。ということは人魚ということか。異名からも治癒魔法が得意なのが分かるけど、人魚ならば納得だね。

 僕たちは美味しい食事に舌鼓を打ちながら、色々な話に花を咲かせるのだった。
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