教え上手な龍のおかげでとんでもないことになりました

明日真 亮

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第6章 怨恨渦巻く陰謀編

94 三人の容疑者

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 ルシアの鑑定により、クリスタ王女に起きている異変は呪いであることが判明した。そしてその呪いをかけた呪術師は王女と血縁関係がある3人の中の誰かであることまで分かった。

 その3人について宰相様が補足しながら説明をしてくれた。

 まず一人目はシメオン公。カジキの魚人で、現在42歳。
 シメオン公は今から約20年前にエレノア女王と婚姻を結び、2人の間に生まれたのが、長女のクリスタ王女と、次女のソフィア王女。
 シメオン公は元々、王宮に勤める料理人だったそうだ。その味に惚れ込んだのがエレノア女王。女王の猛烈なアプローチにより結婚。女王の夫ということで、公爵の爵位が与えられた。
 シメオン公自身は目立つタイプでは無いらしいが、公爵を持ち上げる有力な貴族たちがいるらしく、シメオン公の派閥が出来上がってるらしい。
 女王様の派閥は宰相様であるベルス=ブレイブ侯爵がまとめているのに対して、宰相様のライバルと目されるロート=クラージュ侯爵がシメオン派の筆頭。でも現時点で女王様の派閥とシメオン公の派閥が表立って争ったりはしていないそうだ。

 二人目はソフィア王女。種族は当然人魚で、年齢は11歳。
 クリスタ王女の妹であるソフィア王女はまだ成人していないので、人族のような足に変化できない。そのため普段の生活はローネ湖にある人魚の園と言われる集落で過ごしているそうだ。
 人魚ということで元々の魔力量は多いけど、クリスタ王女が歴代最高の魔力量に至ると言われているのに対しては見劣りし、武芸も勉強も卒なくこなすけど、突出して目立つことはないらしい。
 本人の性格は明るくて元気。姉であるクリスタ王女を慕い、お姉さま大好きっ娘ということだ。得意なことは歌うことで、ソフィア王女の歌声を聞くと涙する者も多いほどの才能を持っているそうだ。

 最後の三人目はアマンダさん。種族は人魚。年齢は26歳。
 なんとアマンダさんはSクラスハンターであるクレアレインの娘だった。女王様にとっては姪であり、クリスタ王女にとっては従姉になる。
 アマンダさんは今から約10年前に、クレアレインさんが連れてきたそうだ。それまでは父親が育てていたらしいけど、父親が病気で亡くなり、住むところを失ったアマンダさんをクレアレインさんが連れてきた。
 クレアレインさんは自由な人らしくて、エレノア女王にアマンダさんを任せて、今もどこかでハンター活動をしているらしい。
 アマンダさんの性格は大人しくて真面目。クレアレインさん譲りの魔力量を有しているが、洋裁が趣味で、服を作ったり、ぬいぐるみを作ったりして、それがアマンダブランドで売れまくっているらしい。

 僕は宰相様が中心になって説明してくれた3人の情報を頭に入れる。

『ふむ。事前の情報としては十分だな。それでは直接本人たちを見てみたい。バラバラに会うのも面倒だ。明日、3人揃って呼び出すよう調整してくれるか?』
「かしこまりました。私が今日中にお三方をお呼び出しできるように調整します。明日の9時はいかがですかな?」
『それで構わん。そこで呪術師が判明するだろう。女王とベルスには判明したあとの対応を任せるぞ。王女は必ずしも同席せよとは言わんがどうする?』
「私も同席します。なぜこのようなことをしたのか知りたいのです」
『うむ。それでは明日9時にまた来る。レン、我々はこれで切り上げるとしよう』
「分かったよ」

 僕とルシアは宰相様の私室を退室して、ルシアの転移で別荘へと戻った。



「何だかすごい展開になってきたよね。やっぱりルシアが言った通り呪いが原因で、しかも呪術師は身内だなんて」
『想像はしておったがな。王宮で夜な夜な呪術を使える者がすぐ近くに潜んでおることは分かっておったのだ。それが身内である可能性は十分にある』
「それは確かにそうだけど、身内だなんて悲しいじゃない」

 僕に置き換えると父上や母上、リル、それにセバスたちがそんなことをするなんて考えるだけで悲しくなるよ。

『王族や貴族ではよくあることではないか? 罠にはめて権力を奪う、騙して失脚させるなどは日常茶飯事だろう。むしろ今回は呪いという珍しい手段を使ってくれたお陰で犯人の特定は容易そうだ。呪いをかけるぐらい近いところにいる者なら、直接命を奪うこともできたであろう。そうはしなかった何かがあるのだろうがな』
「僕も貴族だし、父上からそのような話を聞かされたことはあるけど、まだ実感は無かったな」
『呪いなどの話で言えば、アリウス家に忍び込んでおかしなことをすることはまず無理だ。ランバートが気付くだろうし、母親も執事のセバスもいるからな。あそこはネイスエルの王宮より安心だぞ』

 ……変なところでものすごく褒められてる。

「ルシア。それなら今日は予定通りグルメを満喫して、明日の9時に王宮ってことでいいかな?」
『あほう。グルメを満喫するのは予定通りだが、王宮に行くのは今夜だ。心の準備をしておけよ』

 えっ? そうなの? それいつ決まったの?

 ルシアの発言に僕の頭が追いつかず、慌てて考え込んだ。
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