教え上手な龍のおかげでとんでもないことになりました

明日真 亮

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第7章 土の大龍穴編

111 クリスタと実戦訓練

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 僕とクリスタはそれぞれ剣と薙刀を持って戦闘訓練をしている。

「えいっ!」

 クリスタの薙刀が足首を狙って攻撃してくる。薙刀を使う人と初めて戦ったけど、この足元を狙う攻撃が厄介だな。
 僕は障壁魔法を足元に張って薙刀の攻撃を防いだ。そのままクリスタの右腕を狙って剣を振り下ろす。

 キンッ!

 薙刀の刃の反対側で見事に受け流される。薙刀を使った動きは攻防一体、流れるような動きだ。

 それからしばらくの間、クリスタの薙刀の動作や障壁魔法の様子を見ながら打ち合いを続けた。

『よし。そこまで。休憩としよう』

 1時間ほど戦闘訓練を続けて休憩をすることになった。ルシアが用意したアイスティーとクッキーを食べながらね。

「クリスタの障壁魔法は結構いい感じだったけど、もう少し魔力の量を安定させることを意識した方がいいね」
「はい。魔力を身体強化に使うと、障壁魔法の方が疎かになってしまいました。申し訳ありません」
「続けていけば慣れると思うよ。まずは障壁魔法に一定の魔力を使うことを意識する。それから他のことに魔力を使うという順番だね」
「分かりました。意識するようにします。それにしても、やっぱりレン様はすごいですね。障壁魔法を纏って、魔力で身体強化をしながら、さらに別の障壁魔法で攻撃をガードする。こんなに色々と魔力を使っても全く乱れがないのがすごいです」
「う~ん。色んなことに魔力を使うのは余り難しくないんだよね。おそらくだけど、小さいころから部屋の中でファイアーボールを出して変化させたり、身体の一部分を身体強化したりと、ずっと魔力を使ってたからさ。魔力を使うのに慣れてるんじゃないかな? 部屋でファイアーボールを出してたのは魔力で遊んでた感覚だったけど」
「魔力で遊ぶですか……。なるほど! 日々、魔力を色んなことに使うのが修行になってたわけですね! 私もやってみます!」

 そうだな。確かに僕は魔力量がものすごく少なかったけど、毎日何かしら魔力を使っていたんだよね。

「あと薙刀を使う人と初めて戦ったけど、面白い武器だね! クリスタの流れるような動きは、水の流れを美しい花びらが舞っているようですごく綺麗だよ」
「あ、ありがとうございます……」

 あれ? クリスタの顔が少し赤くなってる。

「で、ですがレン様。私も少しは薙刀を使えると思っていましたが、それは自惚れでした。レン様がものすごく手加減してくれているのが分かります。薙刀ももっと修行を重ねて行きたいと思います」

 実際のところ、クリスタの腕前はかなりのものだと思う。学園には剣術の腕が立つアメリアがいたけど、アメリアよりも遥かに強い。
 しかし、僕はこの修行の旅でかなり上達したようだ。魔力による身体強化のレベルが上がったこともあるし、魔物との戦闘や、強い人たちとの実戦訓練のおかげで剣術の技量が上がったことが実感できる。それでもセバスに勝てるイメージは全然湧かないけどね。

「剣術に関しては僕の家の執事にみっちりと叩きこまれてるからね。でも手加減してるというよりも、僕も色々試しているからすごく勉強になってるんだよ。障壁魔法を張って攻撃を防ぐのもそうだし、浮遊という魔法で攻撃を躱したりしてるんだ。お互い修行を重ねて強くなろうよ!」
「はい!」

『そろそろ休憩は終わりにするぞ。次はレンは素手、クリスタは短剣を使うことにしよう』
「えっ? 僕は素手なの?」
『そうだ。武器が無い状況で戦うこともあるからな。手の身体強化に集中して戦うのが基本だが、もっと効果的な方法がある。それは手の障壁魔法を強化することだ。足を使うなら足の障壁魔法だな。障壁魔法は攻防一体の魔法なのだ。守りだけではなく、攻撃するときにも強化することで攻撃力が上がる。上手く使うことだ』

 なるほど。障壁魔法って守りのイメージだけど、確かに障壁を纏って攻撃するのなら、障壁という武器で攻撃しているようなものか。

「分かったよ、ルシア。イメージはできた。クリスタ、短刀を渡しておくね」
「ありがとうございます!」
『よし。それでは始めよ』

 掛け声がかかると同時に、クリスタは収納空間から渡した短刀で僕の身体の中心を狙って突いてくる。
 速いし、思い切りがいい。でも僕は慌てることなく浮遊で後ろに躱す。

 自分のルールとして、クリスタとの稽古では空を飛ばないことに決めている。でも前後左右に躱すときは浮遊の訓練のために使っている。体勢を崩さずに躱せるからとても便利なんだよね。

 今度は僕が距離を詰める。右手の障壁に通常の倍の魔力を集めて、クリスタの左腕を狙って手刀を放つ。
 クリスタはその攻撃を読んでたみたいで、回転して躱した。

 やっぱりクリスタの体捌きはきれいだな。直線的ではなく円を描くような流れる動きだ。

 クリスタは僕の攻撃を躱した流れのまま、回転しながら短剣で切りつけてくる。3回転の連続攻撃だ。速いぞ。
 僕は右手と左手の障壁魔法を強化して短剣を捌いた。

「ふぅ~。今のはいい攻撃だね」
「そのように障壁魔法を使うと、防具が無くても見事に防げるのですね。勉強になります!」
「クリスタの障壁魔法もいい感じだよ。魔力量に注意しながら纏ってね」
「はい!」

 それから30分ほど実戦訓練をしたんだけど、クリスタは障壁魔法を纏うのに少しずつ慣れてきてるのが分かる。これなら何日間かはこの調子で進めてみようかな。

『実戦訓練はそこまでだ。クリスタには魔力操作の課題を考えておいたから今から指導を行う。レンはいつもの修行と宿題だ』

 さすがルシア。クリスタ用の修行メニューも考えてたんだね。それじゃあ僕は浮遊の訓練をしようかな。
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