教え上手な龍のおかげでとんでもないことになりました

明日真 亮

文字の大きさ
118 / 131
第7章 土の大龍穴編

114 土の大龍穴を目指す

しおりを挟む
「ここがモントオールか!! 山の上の方は雲で見えないや。とんでもない高さだね!」

 僕たちはルシアの転移で世界一高い山であるモントオールの麓にやってきた。クリスタもモントオールを見て「景色もすごいですが、何か神秘的な力を感じます」と感動している。

 僕にとって山と言えば、火龍様が住むセントウェリス火山なんだけど、高さだけで言えば倍以上はありそうだ。

『お主の学園の教科書には、火龍がいる山は聖火山セントウェリス、土龍がいる山は霊峰モントオールと書いてあったな。モントオールはセントウェリスの倍ぐらいの高さだが、土龍エルデボロスがいるのは地下の洞窟だ。とりあえず今から登るわけではないから、身構える必要はない。洞窟の入り口はすぐそこだ。出発するぞ』

 僕たちの目の前にはゴツゴツとした岩がたくさんあって、その奥にはぽっかりと口を開けているかのような洞窟の入り口が見えていた。
 ルシアについて歩いて行くと、その入り口の前で足を止めた。

『土の大龍穴は、洞窟の奥深くまで潜って行かねばならん。走って行けばそんなに時間はかからないがな。それで二人とも奥の方を見てみるがよい』

 奥の方を見てみると真っ暗だ。日光が当たらないんだから当然か。

「真っ暗闇の中を走るのは厳しいってことだよね。僕たちは魔力は見えるけど、真っ暗な中で足元や壁に注意して走るのは難しそうだね」
『そういうことだ。我は暗闇だろうと関係なく見えるが、お主たちはそうではない。目を魔法で強化しても、暗闇が見えるようになる効果は得られないからな』
「僕が火魔法で明るくするのはどうかな?」
『その手段もあるが、洞窟の中で火魔法を使い続けるのはダメだ。以前、我が勉強のときに教えたであろう。お主たち人間種は呼吸をして酸素を取り入れなければ生きていられない。火魔法を使えば酸素が少なくなるのだ』

 そういえば、以前の勉強のときに酸素について教えてもらったね。人間界では詳しく習わない知識だが……とか言いながら。あの授業面白かったな。

「それでは用心しながら、なるべく急いで行くしかないのでしょうか。私が使える魔法を考えてみましたが、暗闇で役に立ちそうなものが思い浮かばないです」

 クリスタも色々考えて見たんだろうけど、暗闇を解決する上手い方法は無いようだ。

『ふむ。レンはどうだ? 何か急いで行ける方法は浮かばないか?』

 う~ん。何か方法があるかな。こんな風にルシアが聞いてくるということは、きっと答えがあると思うんだよな。……あっ! もしかして!

「探知魔法を上手く使えばいけるのかも? ちょっとやってみるよ」

 僕が今使っている探知魔法の対象は、魔力を持っているものにしている。探知魔法の画面には、洞窟を上から見たような地図も表示されている。これを立体的に見ることが出来れば……。

「おお! 画面には洞窟の内部がきれいに映し出されたよ! これを見れば走ることも出来そうだ!」

 探知魔法の画面上には、鮮明に洞窟の様子が映っている。これなら暗闇でも何とかなりそうだ。

『そうだ。いつもお主が使っている探知魔法も色々な使い方ができる。一つの使い方にとらわれてはいかんぞ』
「本当にそうだね。勉強になったよ」
『他にはないのか?』
「えっ?」
『他には方法が無いのかを聞いておる』

 探知魔法以外の方法? 何かあるかな……。いや、ダメだ。浮かんでこない。

『ふむ。探知魔法も正解ではあるがな。普通ならばそれでよい。
 しかしお主は空の紋章の所有者。時空間魔法の使い手なのだ。空間を把握するのは基本技術だぞ』
「時空間魔法か……。それは考えてなかったな」
『転移をするときは見えない空間を把握する必要があるのは分かるな。まだお主は目の前に転移する訓練をしている段階だが、ここはちょうどいい修行の場だ。目の前の暗闇の空間を頭の中で把握しながら進め。実際に転移する必要はない。見えない空間を把握する訓練だ』

 そういうことか。僕は転移の訓練のおかげで、見える範囲なら頭の中で空間を把握することが出来るようになった。
 それを暗闇の中でも実践すればいいわけか。

「分かった。洞窟に入ったらやってみるよ」

 すごくやりがいがありそうな修行だぞ。頑張って修得しないとな。

「……あの~、私は探知魔法も使えないのですが、どうしたら良いでしょうか……」

 ごめんごめん。クリスタのことを放置しちゃってたよ。

『探知魔法が使えぬのか。お主ならば習いさえすればすぐに覚えられたであろうに。ふむ。それなら今から我が指導してやろう』
「ありがとうございます!」

 それから30分ぐらいクリスタに探知魔法の使い方を教えるルシア。

『……ふむ。やはり魔法に関しては総合的に高い素質を持っているな。
 基本的な使い方は今教えた通りだ。今回は探知魔法に慣れるぐらいの気持ちで付いてくるとよい。優先することは、障壁魔法を意識せずとも使えるようになることだからな』
「はい。分かりました。教えていただいてありがとうございます」

 それでは、土の大龍穴を目指すとしますかね!
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧井 汐桜香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

【完結】姉に婚約者を奪われ、役立たずと言われ家からも追放されたので、隣国で幸せに生きます

よどら文鳥
恋愛
「リリーナ、俺はお前の姉と結婚することにした。だからお前との婚約は取り消しにさせろ」  婚約者だったザグローム様は婚約破棄が当然のように言ってきました。 「ようやくお前でも家のために役立つ日がきたかと思ったが、所詮は役立たずだったか……」 「リリーナは伯爵家にとって必要ない子なの」  両親からもゴミのように扱われています。そして役に立たないと、家から追放されることが決まりました。  お姉様からは用が済んだからと捨てられます。 「あなたの手柄は全部私が貰ってきたから、今回の婚約も私のもの。当然の流れよね。だから謝罪するつもりはないわよ」 「平民になっても公爵婦人になる私からは何の援助もしないけど、立派に生きて頂戴ね」  ですが、これでようやく理不尽な家からも解放されて自由になれました。  唯一の味方になってくれた執事の助言と支援によって、隣国の公爵家へ向かうことになりました。  ここから私の人生が大きく変わっていきます。

婚約破棄? めんどくさいのでちょうどよかった ――聖女もやめて、温泉でごくらくしてます

ふわふわ
恋愛
婚約破棄を告げられた聖女リヴォルタ・レーレ。 理由は、「彼女より優秀な“真の聖女”が見つかったから」。 ……正直、めんどくさい。 政略、責任、義務、期待。 それらすべてから解放された彼女は、 聖女を辞めて、ただ温泉地でのんびり暮らすことを選ぶ。 毎日、湯に浸かって、ご飯を食べて、散歩して。 何もしない、何も背負わない、静かな日常。 ところが―― 彼女が去った王都では、なぜか事故や災害が相次ぎ、 一方で、彼女の滞在する温泉地とその周辺だけが 異様なほど平和になっていく。 祈らない。 詠唱しない。 癒やさない。 それでも世界が守られてしまうのは、なぜなのか。 「何もしない」ことを選んだ元聖女と、 彼女に“何もさせない”ことを選び始めた世界。 これは、 誰かを働かせなくても平和が成り立ってしまった、 いちばん静かで、いちばん皮肉な“ざまぁ”の物語。

「魔法を使わない魔術師を切り捨てた国は、取り返しのつかない後悔をする

藤原遊
ファンタジー
魔法を使わない魔術師は、役に立たない。 そう判断した王国は、彼女を「不要」と切り捨てた。 派手な魔法も、奇跡も起こさない。 彼女がしていたのは、魔力の流れを整え、結界を維持し、 魔法事故が起きないよう“何も起こらない状態”を保つことだけだった。 代わりはいくらでもいる。 そう思われていた仕事は、彼女がいなくなった途端に破綻する。 魔法は暴走し、結界は歪み、 国は自分たちが何に守られていたのかを知る。 これは、 魔法を使わなかった魔術師が、 最後まで何もせずに証明した話。 ※主人公は一切振り返りません。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」とやりがい搾取されたのでやめることにします。

木山楽斗
恋愛
平民であるフェルーナは、類稀なる魔法使いとしての才を持っており、聖女に就任することになった。 しかしそんな彼女に待っていたのは、冷遇の日々だった。平民が聖女になることを許せない者達によって、彼女は虐げられていたのだ。 さらにフェルーナには、本来聖女が受け取るはずの報酬がほとんど与えられていなかった。 聖女としての忙しさと責任に見合わないような給与には、流石のフェルーナも抗議せざるを得なかった。 しかし抗議に対しては、「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」といった心無い言葉が返ってくるだけだった。 それを受けて、フェルーナは聖女をやめることにした。元々歓迎されていなかった彼女を止める者はおらず、それは受け入れられたのだった。 だがその後、王国は大きく傾くことになった。 フェルーナが優秀な聖女であったため、その代わりが務まる者はいなかったのだ。 さらにはフェルーナへの仕打ちも流出して、結果として多くの国民から反感を招く状況になっていた。 これを重く見た王族達は、フェルーナに再び聖女に就任するように頼み込んだ。 しかしフェルーナは、それを受け入れなかった。これまでひどい仕打ちをしてきた者達を助ける気には、ならなかったのである。

処理中です...