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第7章 土の大龍穴編
116 エルデボロスの眷属
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エルデボロス様はニヤリと笑みを浮かべたあと、ルシアに向き直って返答する。
「そうですな。クロノルシア様たちが来られたことですし、眷属たちにお茶の準備をさせるとしましょう。――召喚!」
エルデボロス様が魔力を込めて言葉を呟くと、ゆっくりと床の土が盛り上がってくる。えっ? 人の形になったぞ! 全部で5人。いや5体と数えた方がいいのかも。
「これはクロノルシア様。お久しぶりでございます」
『お主はアルだな。久しぶりだ。まさか休憩をしているとは思いもしなかったぞ』
「私たちゴーレムには休憩など必要ないのですが、エルデ様がゴーレムに人らしさを学ばせたいそうなのです」
『また、変わったことをしておるな』
ルシアが、やれやれといった感じでエルデボロス様の方を見ている。
「ハハハ。アルたちには私の知識をインプットしておりますが、それぞれに個性があるのです。環境こそが個性を育むと考え、人と同じような経験を与えているという訳です」
「それではエルデ様。私たちはお茶の準備をして参ります」
「ああ、頼む」
そう言うと、アルさんたちは奥の方へと歩いて行った。
「ルシア、ゴーレムってどういうこと?」
僕はアルさんたちのことが気になって尋ねてみた。すると、エルデボロス様が不思議そうに僕を見つめている。
「ルシア……?」
あっ! そうだ。またルシアに対する態度でトラブルになっちゃうよ。
『エルデボロスよ。レンには我への接し方を指示しておる。気安い態度はそのためだ』
「なるほど。空の紋章の所有者同士。私たちには届かぬ存在ですからな。クロノルシア様がそういう関係を望まれるのも納得です」
エルデボロス様はあっさりと受け入れてくれたようだ。しかし、私たちには届かぬ存在っていうのに僕も含まれるのは、違和感ありまくりですけど。
『レンよ。ゴーレムというのは無機物に仮の命を宿した疑似生命体のことだ。よくあるのは、土や石に命を吹き込み使役するやり方だ。契約魔法の一つである、召喚という魔法を使用するのだ』
「ゴーレム……召喚か……。授業でも習ったことが無かったよ」
『龍界では普通に使う魔法だがな。確かに人間界では一般的な魔法ではないが、ドワーフには得意な者もいるぞ』
そうなんだ。世界には色んな魔法があるんだね。
「レアンデル。ちなみにだが、私の眷属たちを普通のゴーレムだと思ってくれるなよ。私のかわいい眷属たちはオリハルコンで出来た特別なゴーレムだ。強さも賢さもそんじょそこらのゴーレムとは比べものにならないのだ」
エルデボロス様がものすごく自慢げな表情を浮かべている。いや、普通じゃないことは理解してました。アルさんたちを見たときにとんでもない魔力だったからね。それにしても、また聞きたいことがでてきたよ。
「エルデボロス様。オリハルコンとはどういうものでしょうか?」
確かものすごい金属のことだと思うんだけど、詳しいことは全く知らないんだよね。
「君はどんどんと質問してくるね」
あれ? 聞いたらまずかったかな……。
「……いい。……実にいいよ! 興味を持つ! 知りたくなる! これは生きていく上で最も純粋な欲求だ。君は研究職に向いているよ!」
エルデボロス様が目を輝かせて僕を見ている。熱い視線が若干怖い。
「研究に興味を持ったらいつでも来たまえ。歓迎するよ。
オリハルコンのことが知りたいんだったな。オリハルコンとは魔力反応金属とも呼ばれる、希少な金属だ。硬度に優れるとともに魔力で柔軟に変化させることもできる。私の眷属たちはオリハルコンに私の魔力を込めて創った。普通のゴーレムのように単純な指示を聞くのではなく、自分で思考ができるという特別な仕様だ」
そうだったのか。アルさんたちはオリハルコンから創られたゴーレムだったんだ。ルシアが休憩で驚いていたのも、ゴーレムには休憩がいらないからだったんだね。
「お待たせいたしました。お茶とお菓子をお持ちしました」
ちょうどアルさんたちがお茶の準備が終わってこちらに戻ってきた。
「クロノルシア様、お連れの皆様もお茶をどうぞ」
僕たちの前にテーブルと椅子が用意され、そこに手際よくお茶とお菓子が置かれていく。
ルシアと僕とクリスタは手前の席に座ると、向かい側にはエルデボロス様が座ってお茶を勧められる。
『ほう。これは美味いな!』
「とっても美味しいです!」
ルシアとクリスタが驚いたように声をあげる。どれ、僕もいただいてみよう。
「うわ! 本当にすごく美味しい!」
なんだろう。普通のお茶なんだけど、すごく美味しく感じる。いくらでも飲めそうなほど、スッキリとした味わいだ。
「喜んでもらえて何よりです。私たちはエルデ様と情報を共有しておりますので、レアンデル様とクリスタ様にはウェスタール産とネイスエル産、クロノルシア様には龍界産の茶葉でお茶を淹れました」
そうだったんだ! 自分の国のお茶か。不思議と美味しく感じたのはそういうことか。
「フフフ。私の研究の成果の一つですな。各国の土を再現した茶畑を作っているのです。そこで摘んだ茶葉を使っているのですよ」
買ってきたやつじゃないんだ! 土を再現か。土龍様ならではの手法のような気がする。
『お主の研究がこういうところにも生かされるとはな。素晴らしいな』
エルデボロス様との会話には、頻繁に研究という言葉が出てくるよね。
「ルシア、エルデボロス様って、大龍穴を管理している方なんだよね?」
『そうだぞ。土の大龍穴の管理者だ。それと同時に龍族きっての研究者でもあるのだ』
研究者? 一体何を研究してるんだろう?
「そうですな。クロノルシア様たちが来られたことですし、眷属たちにお茶の準備をさせるとしましょう。――召喚!」
エルデボロス様が魔力を込めて言葉を呟くと、ゆっくりと床の土が盛り上がってくる。えっ? 人の形になったぞ! 全部で5人。いや5体と数えた方がいいのかも。
「これはクロノルシア様。お久しぶりでございます」
『お主はアルだな。久しぶりだ。まさか休憩をしているとは思いもしなかったぞ』
「私たちゴーレムには休憩など必要ないのですが、エルデ様がゴーレムに人らしさを学ばせたいそうなのです」
『また、変わったことをしておるな』
ルシアが、やれやれといった感じでエルデボロス様の方を見ている。
「ハハハ。アルたちには私の知識をインプットしておりますが、それぞれに個性があるのです。環境こそが個性を育むと考え、人と同じような経験を与えているという訳です」
「それではエルデ様。私たちはお茶の準備をして参ります」
「ああ、頼む」
そう言うと、アルさんたちは奥の方へと歩いて行った。
「ルシア、ゴーレムってどういうこと?」
僕はアルさんたちのことが気になって尋ねてみた。すると、エルデボロス様が不思議そうに僕を見つめている。
「ルシア……?」
あっ! そうだ。またルシアに対する態度でトラブルになっちゃうよ。
『エルデボロスよ。レンには我への接し方を指示しておる。気安い態度はそのためだ』
「なるほど。空の紋章の所有者同士。私たちには届かぬ存在ですからな。クロノルシア様がそういう関係を望まれるのも納得です」
エルデボロス様はあっさりと受け入れてくれたようだ。しかし、私たちには届かぬ存在っていうのに僕も含まれるのは、違和感ありまくりですけど。
『レンよ。ゴーレムというのは無機物に仮の命を宿した疑似生命体のことだ。よくあるのは、土や石に命を吹き込み使役するやり方だ。契約魔法の一つである、召喚という魔法を使用するのだ』
「ゴーレム……召喚か……。授業でも習ったことが無かったよ」
『龍界では普通に使う魔法だがな。確かに人間界では一般的な魔法ではないが、ドワーフには得意な者もいるぞ』
そうなんだ。世界には色んな魔法があるんだね。
「レアンデル。ちなみにだが、私の眷属たちを普通のゴーレムだと思ってくれるなよ。私のかわいい眷属たちはオリハルコンで出来た特別なゴーレムだ。強さも賢さもそんじょそこらのゴーレムとは比べものにならないのだ」
エルデボロス様がものすごく自慢げな表情を浮かべている。いや、普通じゃないことは理解してました。アルさんたちを見たときにとんでもない魔力だったからね。それにしても、また聞きたいことがでてきたよ。
「エルデボロス様。オリハルコンとはどういうものでしょうか?」
確かものすごい金属のことだと思うんだけど、詳しいことは全く知らないんだよね。
「君はどんどんと質問してくるね」
あれ? 聞いたらまずかったかな……。
「……いい。……実にいいよ! 興味を持つ! 知りたくなる! これは生きていく上で最も純粋な欲求だ。君は研究職に向いているよ!」
エルデボロス様が目を輝かせて僕を見ている。熱い視線が若干怖い。
「研究に興味を持ったらいつでも来たまえ。歓迎するよ。
オリハルコンのことが知りたいんだったな。オリハルコンとは魔力反応金属とも呼ばれる、希少な金属だ。硬度に優れるとともに魔力で柔軟に変化させることもできる。私の眷属たちはオリハルコンに私の魔力を込めて創った。普通のゴーレムのように単純な指示を聞くのではなく、自分で思考ができるという特別な仕様だ」
そうだったのか。アルさんたちはオリハルコンから創られたゴーレムだったんだ。ルシアが休憩で驚いていたのも、ゴーレムには休憩がいらないからだったんだね。
「お待たせいたしました。お茶とお菓子をお持ちしました」
ちょうどアルさんたちがお茶の準備が終わってこちらに戻ってきた。
「クロノルシア様、お連れの皆様もお茶をどうぞ」
僕たちの前にテーブルと椅子が用意され、そこに手際よくお茶とお菓子が置かれていく。
ルシアと僕とクリスタは手前の席に座ると、向かい側にはエルデボロス様が座ってお茶を勧められる。
『ほう。これは美味いな!』
「とっても美味しいです!」
ルシアとクリスタが驚いたように声をあげる。どれ、僕もいただいてみよう。
「うわ! 本当にすごく美味しい!」
なんだろう。普通のお茶なんだけど、すごく美味しく感じる。いくらでも飲めそうなほど、スッキリとした味わいだ。
「喜んでもらえて何よりです。私たちはエルデ様と情報を共有しておりますので、レアンデル様とクリスタ様にはウェスタール産とネイスエル産、クロノルシア様には龍界産の茶葉でお茶を淹れました」
そうだったんだ! 自分の国のお茶か。不思議と美味しく感じたのはそういうことか。
「フフフ。私の研究の成果の一つですな。各国の土を再現した茶畑を作っているのです。そこで摘んだ茶葉を使っているのですよ」
買ってきたやつじゃないんだ! 土を再現か。土龍様ならではの手法のような気がする。
『お主の研究がこういうところにも生かされるとはな。素晴らしいな』
エルデボロス様との会話には、頻繁に研究という言葉が出てくるよね。
「ルシア、エルデボロス様って、大龍穴を管理している方なんだよね?」
『そうだぞ。土の大龍穴の管理者だ。それと同時に龍族きっての研究者でもあるのだ』
研究者? 一体何を研究してるんだろう?
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